APAMAN Research Memo(4):Platform事業は増収、DX推進による生産性向上も寄与し大幅増益に
■APAMAN<8889>の業績動向
2. 事業セグメント別の動向
(1) Platform事業
Platform事業の売上高は前期比1.0%増の36,078百万円、営業利益は同32.7%増の2,646百万円と2期連続で増収増益となった。収益認識会計基準の適用等により売上高及び売上原価が695百万円減少となり、旧会計基準ベースでは売上高は2.9%増となった。特筆すべきは営業利益の伸びで、現在の事業セグメントで区分を開始した2017年9月期の2,200百万円を5期ぶりに更新するなど、ここ数年低迷していた収益力の回復が際立つ格好となった。
斡旋事業、賃貸管理及びサブリース事業ともに増収増益となり、収益性も向上した。斡旋事業については、予約や内見、重要事項説明など各種サービスのオンライン化を推進したほか、2022年5月からは法改正によりオンライン契約も解禁されたことで、1顧客当たりの接客時間が従来より2~3割短縮できた。オンラインサービスの取り組みにより顧客の利便性も向上したことで斡旋件数が増加し、店舗の収益力も向上するといった好循環が生まれている。店舗数についてもここ数年、不採算店舗の削減や従業員の独立開業支援などを行ってきたことから減少傾向が続いたが、2022年9月期末は不採算店舗の整理も一巡したことで、前期末比3店舗増の71店舗と5期ぶりの増加に転じた。
一方、賃貸管理・サブリース事業についても、入居率の向上と解約件数の削減に取り組んだことが奏功し、増収増益となった。賃貸管理戸数については前期末比で813戸減の90,608戸と2期連続で減少したものの、サブリース物件を中心に入居率が1%ほど上昇し増収に寄与した。従来、九州エリアの直営店舗で自社管理物件を優先して斡旋してきたが、そのほかのエリアについても同様の取り組みを推進した効果が出たようだ。2022年9月期はM&Aによる取得はなかった。そして、既存顧客(不動産オーナー)へのフォローアップを強化して、解約件数を削減することを重点課題として挙げていた。解約率については前期比で大幅に抑えることができ、取り組みの成果が出たものと評価される。既存オーナーとの良好な関係を構築することで、物件の売却・取得情報などを早期に入手することができるほか、口コミ紹介による新規オーナーの開拓を進めることができると見ている。
付帯商品・関連サービスの粗利益については、前期比58百万円増加の1,519百万円と4期ぶりの増加に転じたものの、まだ2018年9月期と比較すると77%の水準に留まっており回復力は鈍い。こうしたことから、今回の営業利益の増加は斡旋事業や賃貸管理事業における基本的な収益力が回復してきたことの表れと見ることができる。なお、新規事業である借上社宅事業については、借上社宅提携社数が前期比54社増の115社、社宅斡旋提携社数が同224社増の3,189社と順調に拡大し、売上規模も4億円程度になったと見られる。
(2) Technology事業
Technology事業の売上高は前期比4.3%増の7,930百万円、営業利益は同3.5%増の952百万円と2期連続で増収増益となった。FC店舗についても「SKIPS」の導入等によってオンライン化の推進に取り組んだ結果、生産性が向上し、収入の増加につながった。なお、2022年9月期末のFC店舗数は前期末比9店舗減の1,027店舗と2期連続で減少した。FC展開については既存加盟店とのつながりを重視しており、各加盟店の投資余力が回復してくれば店舗数も再び増加する可能性があるが、オンライン化の進展により店舗形態が従来と変わってくる可能性もあり、こうした状況を見極めながら各加盟店で店舗戦略を検討していくものと思われる。従来は、1店舗当たりの商圏を考慮すると国内で2千店舗程度まで出店余地があると見ていた。
(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比7.4%減の1,791百万円、営業損失は959百万円(前期は859百万円の損失)となった。売上高は2021年1月にfabbitが子会社から外れたことや、保有不動産の売却による賃貸収入の減少、コインパーキング事業における管理台数の減少や稼働率の低迷などにより減収となった。2022年9月期末のコインパーキングの管理台数は前期比270台減の4,050台となり、前期末の4,320台をピークに減少に転じた。利益面では、売上高の減少による売上総利益の減少に加えて、営業投資有価証券評価損を2億円ほど計上したことが損失拡大要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《NS》
提供:フィスコ