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4582 シンバイオ製薬

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シンバイオ製薬 Research Memo(9):「トレアキシン(R)」の売上拡大により大幅増収増益に


■業績動向

1. 2022年12月期第3四半期累計業績の概要
シンバイオ製薬<4582>の2022年12月期第3四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比32.5%増の7,355百万円、営業利益で同274.5%増の1,588百万円、経常利益で同344.8%増の1,843百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同378.9%増の1,555百万円と大幅増収増益となった。

売上高は「トレアキシン(R)」のBR療法並びにP-BR療法の浸透に加えて、患者や医療従事者の負担を大幅に軽減するRI投与が承認されたこともあり、市場シェアの拡大が順調に進んだことが増収要因となった。後発医薬品が1社から発売されたものの影響は軽微だったと見られる。

売上総利益率は前年同期の72.9%から74.3%に上昇した。第3四半期に販売マイルストーン550百万円を売上原価に計上しており、同影響額を除いたベースでは81.8%となり、8.9ポイント上昇したことになる。これはFD製剤からRTD製剤へ完全に切り替わったことが要因となっている。なお、為替レートが急速に円安に進んだものの、120円弱/ドルで為替予約を行っていたことから、影響は軽微にとどまった。また、「トレアキシン(R)」の販売マイルストーンに関しては今回で終了となり、今後発生することはない。

販管費のうち研究開発費は前年同期比21.6%増の1,563百万円となった。BCVに関する臨床試験費用や共同研究費用の増加、並びに米国子会社の費用が増加要因となっている。その他の販管費については、同0.9%減の2,314百万円と微減となった。新型コロナウイルス感染症拡大で「トレアキシン(R)」の営業活動がオンライン主体となり、CMR(派遣MR)を削減できたことやその他経費の抑制に取り組んだことによる。営業外収支は円安に伴う為替差益345百万円の計上を主因として、前年同期比264百万円改善した。

四半期業績の推移を見ると、2022年12月期第3四半期は売上高で前年同期比3.1%増の2,481百万円、営業利益で同65.1%減の216百万円と増収減益となっているが、販売マイルストーンの影響を除けば営業利益は同23.8%増益の766百万円と堅調に推移している。


収益化フェーズに入り、手元キャッシュが増加

2. 財務状況
2022年12月期第3四半期末の総資産は前期末比2,165百万円増加の10,618百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が2,272百万円増加したほか、在庫が52百万円増加した。固定資産では減価償却の進展に伴い有形固定資産が10百万円、無形固定資産が27百万円それぞれ減少したほか、繰延税金資産が143百万円減少した。

負債合計は前期末比56百万円増加の1,763百万円となった。主な変動要因を見ると、未払金が752百万円増加した一方で商品及び製品切替引当金186百万円がなくなったほか、未払法人税及び消費税等が減少した。また、純資産は同2,108百万円増加の8,854百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が1,464百万円増加したほか、2022年6月に実施した第三者割当(CVI Investments,Inc.)による新株式及び第58回新株予約権の発行により資本金及び資本剰余金が379百万円それぞれ増加した。この結果、自己資本比率は前期末の73.7%から79.6%と5.9ポイント上昇した。

なお、新株予約権については行使価額が785円で固定されており、潜在株式数は200万株となっている。新株発行で調達した662百万円と新株予約権の行使により調達予定の1,568百万円の大半はBCVの開発資金に充当し、一部は新規ライセンスの導入やM&A等の投資資金にも充当する計画となっている。そのほか、同社は2022年3月末に金融機関3行と、シンジケート・ローン(コミットメントライン)の契約更新を行っている。上限金額は3,150百万円でコミットメント期間は2024年4月4日までとなっており、急な資金需要が発生した場合には金融機関からの借入れでも対応していくことにしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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