明日の株式相場に向けて=好業績バリューとテーマ株物色の二刀流
週明け12日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比58円安の2万7842円と反落。前週末に320円強の上昇をみせ年末高への助走開始かと思ったが、きょうはそのまま2万8000円大台へ進む展開とはならなかった。前週末は欧州時間まではリスクオンの流れが継続し、欧州株は文字通り全面高に買われていたのだが、米株市場はそのバトンをつかみ損ね、スルリと落としてしまった。特に終盤に値を崩し引け味が悪い。11月の米卸売物価指数(PPI)は総合指数、コア指数ともに市場予測を上回ったことで、今週13日に発表予定の米消費者物価指数(CPI)もにわかに警戒ムードを帯びてきた。
もっとも、14日に結果が開示されるFOMCでは0.5%の利上げがほぼ確定的であり、FRBもここで0.75%の選択肢を引くような逆噴射的なアクションをみせる可能性はほぼない。マーケットが気にしているのは引き締めが長期化するのかどうか。つまり、ドットチャートが示すターミナルレートが9月会合の4.5~5.0%から今回4.75~5.25%に引き上げられるかどうかという点だ。たかが0.25%でも、モノのインフレはほぼ終了したとみていたマーケットにとってはズシンとくる。今後も引き上げられる可能性を内包する重い0.25%で、ドットチャート次第で米株市場は再び荒れる可能性がある。しかし仮にここで深押しがあれば、短期的にはかなりの確率で買い場提供となりそうだ。逆業績相場を意識するにはまだ早く、インフレ減速から逆金融相場の終息を織り込む動きが先に来る。FOMC後に波乱があって、東京市場もツレ安するようならそこは買い向かうチャンスと見ておきたい。
今現在も個別株物色意欲は旺盛といってよい。前週に取り上げた藤商事<6257>が新値街道にあるほか、マミヤ・オーピー<7991>もきょうは2週間ぶりに年初来高値を更新した。スマートパチンコ・パチスロ関連には継続的に太い資金が流れ込んでいる。市場関係者は「新機種との入れ替えに際し、メダルや出玉に触れることがなくなるという非接触ニーズの実現はウィズコロナ社会で大義名分が立つ。だが真の狙いとしては、やはり出玉率を高めて客を呼び戻すというのが前提にある」(ネット証券アナリスト)とする。射幸心を煽るというと語弊があるが、射幸心がなければパチンコ店に客は来ない。客が入らなければ経営も立ち行かなくなるのはすべての業界に通じる話であり、それは株式市場にも当てはまる。
きょうはダイコク電機<6430>のほかゲームカード・ジョイコホールディングス<6249>、マースグループホールディングス<6419>なども値を飛ばしているが、同関連の出遅れではパチンコ店の広告取り扱いトップであるゲンダイエージェンシー<2411>をマーク。株価は低位ながら業績は急回復途上で、今後は更に広告案件が伸びそうだ。
このほか、好業績バリュー株では海運株が代表格だが、コンテナ船市況の底入れ観測が一部で出ており、これが投資資金の還流を誘っている。日本郵船<9101>や商船三井<9104>、川崎汽船<9107>の大手3社以外では、飯野海運<9119>、明治海運<9115>、そして乾汽船<9308>にも目を配っておきたい。また、海運以外の好業績バリュー株では紡績業界の老舗で土地含み資産も潤沢なシキボウ<3109>に意外性がある。12月1日にマド開け急騰を演じ、その後は950円近辺を軸にもみ合う展開だが、早晩ここをジャンプ台に1000円大台での活躍へ舞台を移しそうだ。
新たなテーマ買いの動きも活発だ。注目しておきたいのは来年1月に運用が開始される電子処方箋の関連銘柄。オンライン診察や自宅への薬の配送なども可能とし、超高齢化社会に突入している日本では様々な課題解決に向けた医療革命につながる。関連銘柄ではCEホールディングス<4320>が強い動きで目を引く。このほか、ソフトマックス<3671>の切り返しも鮮烈で目が離せない。
あすのスケジュールでは、11月の投信概況が引け後に投資信託協会から開示される。またIPOが1社予定されており、東証グロース市場にproperty technologies<5527>が新規上場する。海外では14日までの日程でFOMCが開催される。また、11月の米消費者物価指数(CPI)への注目度も高い。このほか、欧州では12月のZEW独景気予測指数が発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2022年12月12日 18時44分
もっとも、14日に結果が開示されるFOMCでは0.5%の利上げがほぼ確定的であり、FRBもここで0.75%の選択肢を引くような逆噴射的なアクションをみせる可能性はほぼない。マーケットが気にしているのは引き締めが長期化するのかどうか。つまり、ドットチャートが示すターミナルレートが9月会合の4.5~5.0%から今回4.75~5.25%に引き上げられるかどうかという点だ。たかが0.25%でも、モノのインフレはほぼ終了したとみていたマーケットにとってはズシンとくる。今後も引き上げられる可能性を内包する重い0.25%で、ドットチャート次第で米株市場は再び荒れる可能性がある。しかし仮にここで深押しがあれば、短期的にはかなりの確率で買い場提供となりそうだ。逆業績相場を意識するにはまだ早く、インフレ減速から逆金融相場の終息を織り込む動きが先に来る。FOMC後に波乱があって、東京市場もツレ安するようならそこは買い向かうチャンスと見ておきたい。
今現在も個別株物色意欲は旺盛といってよい。前週に取り上げた藤商事<6257>が新値街道にあるほか、マミヤ・オーピー<7991>もきょうは2週間ぶりに年初来高値を更新した。スマートパチンコ・パチスロ関連には継続的に太い資金が流れ込んでいる。市場関係者は「新機種との入れ替えに際し、メダルや出玉に触れることがなくなるという非接触ニーズの実現はウィズコロナ社会で大義名分が立つ。だが真の狙いとしては、やはり出玉率を高めて客を呼び戻すというのが前提にある」(ネット証券アナリスト)とする。射幸心を煽るというと語弊があるが、射幸心がなければパチンコ店に客は来ない。客が入らなければ経営も立ち行かなくなるのはすべての業界に通じる話であり、それは株式市場にも当てはまる。
きょうはダイコク電機<6430>のほかゲームカード・ジョイコホールディングス<6249>、マースグループホールディングス<6419>なども値を飛ばしているが、同関連の出遅れではパチンコ店の広告取り扱いトップであるゲンダイエージェンシー<2411>をマーク。株価は低位ながら業績は急回復途上で、今後は更に広告案件が伸びそうだ。
このほか、好業績バリュー株では海運株が代表格だが、コンテナ船市況の底入れ観測が一部で出ており、これが投資資金の還流を誘っている。日本郵船<9101>や商船三井<9104>、川崎汽船<9107>の大手3社以外では、飯野海運<9119>、明治海運<9115>、そして乾汽船<9308>にも目を配っておきたい。また、海運以外の好業績バリュー株では紡績業界の老舗で土地含み資産も潤沢なシキボウ<3109>に意外性がある。12月1日にマド開け急騰を演じ、その後は950円近辺を軸にもみ合う展開だが、早晩ここをジャンプ台に1000円大台での活躍へ舞台を移しそうだ。
新たなテーマ買いの動きも活発だ。注目しておきたいのは来年1月に運用が開始される電子処方箋の関連銘柄。オンライン診察や自宅への薬の配送なども可能とし、超高齢化社会に突入している日本では様々な課題解決に向けた医療革命につながる。関連銘柄ではCEホールディングス<4320>が強い動きで目を引く。このほか、ソフトマックス<3671>の切り返しも鮮烈で目が離せない。
あすのスケジュールでは、11月の投信概況が引け後に投資信託協会から開示される。またIPOが1社予定されており、東証グロース市場にproperty technologies<5527>が新規上場する。海外では14日までの日程でFOMCが開催される。また、11月の米消費者物価指数(CPI)への注目度も高い。このほか、欧州では12月のZEW独景気予測指数が発表される。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2022年12月12日 18時44分