明日の株式相場に向けて=成長シナリオが描ける銘柄を追う
きょう(8日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比111円安の2万7574円と続落。あすにメジャーSQ算出を控えており、日経平均は先物主導で下に押し込まれる展開となったが、それでも前場終盤からは流れが変わり、後場寄りにギャップアップして始まり2万7500円台で売り物を吸収する展開となった。
市場では「SQは2万7500円ラインを意識した攻防で、日経平均を構成する主力銘柄の中には実需の売り買いでは動いていない銘柄も散見される」(準大手証券ストラテジスト)とする声が聞かれた。ただその中で、日経平均寄与度上位のソフトバンクグループ<9984>は指数絡みの売り圧力を凌いで上昇した。香港株市場で同社が出資するアリババ集団<BABA>が大幅高となり、これによる含み資産拡大を材料視する買いを呼び込んだ。なお、アリババ株の上昇は新規の海外資金が香港株市場に流れ込んだ影響も大きい。中国のゼロコロナ政策の緩和が想定以上に急速で、中国経済に対するネガティブなイメージが和らいでいるというのがその背景だ。この日、香港ハンセン指数は3%を超える上昇となった。
一方、SQ絡みの売りの影響が如実に反映されたのがファーストリテイリング<9983>だ。きょうは一時1350円安まで売られた。前日は1600円あまりの下げをみせており、2営業日で一時3000円近く水準を切り下げたことになる。ただ、午後2時半過ぎからインデックス買いが流れ込み動きが一変、急速に下げ渋り終値は0.4%の下げにとどまった。結局メジャーSQ前に波乱と呼べるような荒い値動きはみられなかったが、それでも今週は週明けから全体相場の実態が日経平均の値動きと大分カイ離していた感が強い。裏を返せばSQ通過後に相場の方向性が見えてくる公算は小さくないのだが、何はともあれ来週13~14日に行われるFOMCが年内最後の難所として立ちはだかる。ここを確認しないことには、売り買いともにポジションを一方向には傾けにくいのが実情だ。
個別では、継続フォローしてきたビリングシステム<3623>が朝安後に目の覚めるような切り返しをみせ年初来高値を更新。ここで12月1日につけた高値1727円を上抜けたことは結構なインパクトがある。高値をつけた同日の売買高は311万株に膨らんだが、それよりも遥かに少ない商い水準でここをブレークしてきた。かなりの株数が吸い上げられたままの状態で新値街道に突入したことが分かる。同社の決済アプリ「PayB(ペイビー)」で厚生労働省案件である国民年金のスマホ払いの業務を受託、これは今後の「デジタル円」構想でも同社のポジションを高める強力な布石となる。
また、半導体 関連ではジェイテックコーポレーション<3446>の存在は継続マーク。同社独自のCARE加工技術を駆使して開発した次世代半導体ウエハー研磨装置は現在進行形で商談が進んでいるもようだが、仮に1件でも受注を獲得すれば同社の技術の粋を集めた最先端商品が日の目を見ることになり、株価も変貌を遂げる公算大。最有力ターゲットとなる市場はSiC材料などを使った次世代パワー半導体(化合物半導体)で、これは株価を大化けさせたタカトリ<6338>の次世代マルチワイヤーソーと同じ領域の製品である。
このほか、にわかに規制が「レベル4」まで緩和されたドローン も息の長い物色テーマとして注目され、その関連株へのアプローチも活発化しそうだ。ドローン規制があっという間に取り払われた感もあるが、その背景には米国の意思が働いていると見る向きも多い。「物流分野での大型ドローン活用を前提にしているが、穿った見方をすれば、ロシア・ウクライナ間の戦争で世界の視線がドローンに集まったという背景がある。日本の技術力を周回遅れの規制で腐らせるなという圧力ではないか」(中堅証券ストラテジスト)という声もある。個別株ではACSL<6232>が先駆したが、ディジタルメディアプロフェッショナル<3652>も強いチャートで目を引く。このほかドーン<2303>、FIG<4392>、アクモス<6888>、イメージ ワン<2667>なども注目される。
あすは株価指数先物・オプション12月物の特別清算指数(メジャーSQ)算出日にあたる。このほか11月のマネーストック、10月の特定サービス産業動態統計が発表される。また、3カ月物国庫短期証券の入札も予定される。海外では11月の中国消費者物価指数(CPI)、11月の中国生産者物価指数(PPI)、11月の米PPI、12月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)、10月の米卸売在庫・売上高など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2022年12月08日 17時13分
市場では「SQは2万7500円ラインを意識した攻防で、日経平均を構成する主力銘柄の中には実需の売り買いでは動いていない銘柄も散見される」(準大手証券ストラテジスト)とする声が聞かれた。ただその中で、日経平均寄与度上位のソフトバンクグループ<9984>は指数絡みの売り圧力を凌いで上昇した。香港株市場で同社が出資するアリババ集団<BABA>が大幅高となり、これによる含み資産拡大を材料視する買いを呼び込んだ。なお、アリババ株の上昇は新規の海外資金が香港株市場に流れ込んだ影響も大きい。中国のゼロコロナ政策の緩和が想定以上に急速で、中国経済に対するネガティブなイメージが和らいでいるというのがその背景だ。この日、香港ハンセン指数は3%を超える上昇となった。
一方、SQ絡みの売りの影響が如実に反映されたのがファーストリテイリング<9983>だ。きょうは一時1350円安まで売られた。前日は1600円あまりの下げをみせており、2営業日で一時3000円近く水準を切り下げたことになる。ただ、午後2時半過ぎからインデックス買いが流れ込み動きが一変、急速に下げ渋り終値は0.4%の下げにとどまった。結局メジャーSQ前に波乱と呼べるような荒い値動きはみられなかったが、それでも今週は週明けから全体相場の実態が日経平均の値動きと大分カイ離していた感が強い。裏を返せばSQ通過後に相場の方向性が見えてくる公算は小さくないのだが、何はともあれ来週13~14日に行われるFOMCが年内最後の難所として立ちはだかる。ここを確認しないことには、売り買いともにポジションを一方向には傾けにくいのが実情だ。
個別では、継続フォローしてきたビリングシステム<3623>が朝安後に目の覚めるような切り返しをみせ年初来高値を更新。ここで12月1日につけた高値1727円を上抜けたことは結構なインパクトがある。高値をつけた同日の売買高は311万株に膨らんだが、それよりも遥かに少ない商い水準でここをブレークしてきた。かなりの株数が吸い上げられたままの状態で新値街道に突入したことが分かる。同社の決済アプリ「PayB(ペイビー)」で厚生労働省案件である国民年金のスマホ払いの業務を受託、これは今後の「デジタル円」構想でも同社のポジションを高める強力な布石となる。
また、半導体 関連ではジェイテックコーポレーション<3446>の存在は継続マーク。同社独自のCARE加工技術を駆使して開発した次世代半導体ウエハー研磨装置は現在進行形で商談が進んでいるもようだが、仮に1件でも受注を獲得すれば同社の技術の粋を集めた最先端商品が日の目を見ることになり、株価も変貌を遂げる公算大。最有力ターゲットとなる市場はSiC材料などを使った次世代パワー半導体(化合物半導体)で、これは株価を大化けさせたタカトリ<6338>の次世代マルチワイヤーソーと同じ領域の製品である。
このほか、にわかに規制が「レベル4」まで緩和されたドローン も息の長い物色テーマとして注目され、その関連株へのアプローチも活発化しそうだ。ドローン規制があっという間に取り払われた感もあるが、その背景には米国の意思が働いていると見る向きも多い。「物流分野での大型ドローン活用を前提にしているが、穿った見方をすれば、ロシア・ウクライナ間の戦争で世界の視線がドローンに集まったという背景がある。日本の技術力を周回遅れの規制で腐らせるなという圧力ではないか」(中堅証券ストラテジスト)という声もある。個別株ではACSL<6232>が先駆したが、ディジタルメディアプロフェッショナル<3652>も強いチャートで目を引く。このほかドーン<2303>、FIG<4392>、アクモス<6888>、イメージ ワン<2667>なども注目される。
あすは株価指数先物・オプション12月物の特別清算指数(メジャーSQ)算出日にあたる。このほか11月のマネーストック、10月の特定サービス産業動態統計が発表される。また、3カ月物国庫短期証券の入札も予定される。海外では11月の中国消費者物価指数(CPI)、11月の中国生産者物価指数(PPI)、11月の米PPI、12月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)、10月の米卸売在庫・売上高など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2022年12月08日 17時13分