明日の株式相場に向けて=「パワー半導体」と「デジタル円」に刮目
きょう(24日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比267円高の2万8383円と3日続伸。米株高を拠りどころに休み明けの東京市場も強い動きとなった。先物主導の上昇ながら、以前のような「無人のエレベーター」という印象は全く受けない。
個別株物色意欲は旺盛である。決算発表期間を通過して超短期トレードの「決算プレー」から解放され、好実態株の選別物色や半導体関連などテーマ買いの動きに資金の流れが回帰していることから、個人投資家も参加しやすくなっている感がある。直近の日経平均ベースの騰落レシオ(25日移動平均)は129%まで上昇、プライム市場全体でも124%台まで水準が切り上がり、過熱ゾーンに入ってきてはいるとはいえ、今のところ“熱暴走”しているような気配も感じられない。
また、スタンダード市場の騰落レシオは110%前後、グロース市場では依然として100%近辺で推移しており、こうしたデータを横目に主力大型からリターンリバーサルを意識した中小型株への資金シフトも上手い具合に機能している。企業業績の停滞をネガティブ材料とする逆業績相場のステージを回避したまま、全体株価が長期上昇波動へ復帰するとは思えないものの、その洗礼を受けるタイミングについてはもう少し先になりそうだ。今は行き過ぎた逆金融相場の打ち返し局面で、米長期金利の低下を株価上昇の拠りどころとするアップトレンドが続く公算が大きい。
物色テーマとしては半導体関連が引き続き強い。そのなかでも「パワー半導体」関連に太い資金が流れ込んでいる。何と言ってもタカトリ<6338>の上げ足が鮮烈を極める。同社株はグローバル・ニッチトップの座を射止めたレーザーテック<6920>を想起させる大出世街道を走っているが、株価は今年6月に離陸をはじめ初動から既に5倍化している。レーザーテックはマスクブランクス検査装置で世界シェア100%という看板を掲げ、EUV対応の次世代機への展開も追い風にテンバガー化した。タカトリの方は次世代パワー半導体の有力候補であるSiCデバイスの精密切断装置が最強の成長ドライバーだ。ここ最近の同社株の急騰劇はさすがにスピード警戒感が拭えないが、PERはきょうのストップ高後の水準で換算してもまだ24倍台である。パワー半導体関連では、当欄でも取り上げたタムラ製作所<6768>やシキノハイテック<6614>なども元気印で、相対的に出遅れていた三社電機製作所<6882>なども上値追いに拍車がかかってきた。
このパワー半導体関連で新たに注目したいのはジェイテックコーポレーション<3446>。同社の超高精度X線集光ミラーはナノレベルでも先端を行く超ハイスペック商品であり、産業用への応用はこれからだが、現在は国内、海外を問わず研究機関が主要顧客となっている。パワー半導体関連として注目されるのは、これとは別に、同社が独自技術で開発に成功した次世代半導体用研磨装置だ。パワー半導体分野でも高付加価値を生む商品として会社側の期待を担っている。集光ミラーはあくまで装置向け「部材」だが、今回は装置そのものを技術的に開発成功したことで、需要を開拓した時の利益寄与度も大きくなることが予想される。
パワー半導体以外では、「デジタル通貨」がテーマ性を発揮している。次世代パワー半導体が製造業の要を担うキラーコンテンツなら、こちらは金融バーチャル化のカギを握るキラーコンテンツということになる。日銀が「デジタル円」の発行に向け、3メガバンクや地銀と実証実験を行う調整に入ったことを複数のメディアが一斉に報じた。デジタル通貨については、グローバル規模で中央銀行が研究を進捗させている。日銀も昨年から漸次検証を進め、来年は実用化に向けた最終段階ともいえるパイロット実験にステージを移す。政府も骨太の方針でデジタル円の導入に前向きな姿勢を示し、日銀の尻を叩いていた立場にあるだけに、これは国策始動という捉え方もできる。きょうは、金融向けシステムに強いクロスキャット<2307>、ニーズウェル<3992>、アイリッジ<3917>などが値を飛ばしていたが、業績好調で低PERのアイエックス・ナレッジ<9753>にも目を配っておきたい。
あすのスケジュールでは、11月の都区部消費者物価指数(CPI)、10月の企業向けサービス価格指数など。3カ月物国庫短期証券の入札や40年国債の入札も行われる。また、東証グロース市場にtripla<5136>が新規上場する。海外では、米国でブラックフライデーにあたるほか、感謝祭の翌日に伴い米株・米債券市場などが短縮取引となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2022年11月24日 18時21分
個別株物色意欲は旺盛である。決算発表期間を通過して超短期トレードの「決算プレー」から解放され、好実態株の選別物色や半導体関連などテーマ買いの動きに資金の流れが回帰していることから、個人投資家も参加しやすくなっている感がある。直近の日経平均ベースの騰落レシオ(25日移動平均)は129%まで上昇、プライム市場全体でも124%台まで水準が切り上がり、過熱ゾーンに入ってきてはいるとはいえ、今のところ“熱暴走”しているような気配も感じられない。
また、スタンダード市場の騰落レシオは110%前後、グロース市場では依然として100%近辺で推移しており、こうしたデータを横目に主力大型からリターンリバーサルを意識した中小型株への資金シフトも上手い具合に機能している。企業業績の停滞をネガティブ材料とする逆業績相場のステージを回避したまま、全体株価が長期上昇波動へ復帰するとは思えないものの、その洗礼を受けるタイミングについてはもう少し先になりそうだ。今は行き過ぎた逆金融相場の打ち返し局面で、米長期金利の低下を株価上昇の拠りどころとするアップトレンドが続く公算が大きい。
物色テーマとしては半導体関連が引き続き強い。そのなかでも「パワー半導体」関連に太い資金が流れ込んでいる。何と言ってもタカトリ<6338>の上げ足が鮮烈を極める。同社株はグローバル・ニッチトップの座を射止めたレーザーテック<6920>を想起させる大出世街道を走っているが、株価は今年6月に離陸をはじめ初動から既に5倍化している。レーザーテックはマスクブランクス検査装置で世界シェア100%という看板を掲げ、EUV対応の次世代機への展開も追い風にテンバガー化した。タカトリの方は次世代パワー半導体の有力候補であるSiCデバイスの精密切断装置が最強の成長ドライバーだ。ここ最近の同社株の急騰劇はさすがにスピード警戒感が拭えないが、PERはきょうのストップ高後の水準で換算してもまだ24倍台である。パワー半導体関連では、当欄でも取り上げたタムラ製作所<6768>やシキノハイテック<6614>なども元気印で、相対的に出遅れていた三社電機製作所<6882>なども上値追いに拍車がかかってきた。
このパワー半導体関連で新たに注目したいのはジェイテックコーポレーション<3446>。同社の超高精度X線集光ミラーはナノレベルでも先端を行く超ハイスペック商品であり、産業用への応用はこれからだが、現在は国内、海外を問わず研究機関が主要顧客となっている。パワー半導体関連として注目されるのは、これとは別に、同社が独自技術で開発に成功した次世代半導体用研磨装置だ。パワー半導体分野でも高付加価値を生む商品として会社側の期待を担っている。集光ミラーはあくまで装置向け「部材」だが、今回は装置そのものを技術的に開発成功したことで、需要を開拓した時の利益寄与度も大きくなることが予想される。
パワー半導体以外では、「デジタル通貨」がテーマ性を発揮している。次世代パワー半導体が製造業の要を担うキラーコンテンツなら、こちらは金融バーチャル化のカギを握るキラーコンテンツということになる。日銀が「デジタル円」の発行に向け、3メガバンクや地銀と実証実験を行う調整に入ったことを複数のメディアが一斉に報じた。デジタル通貨については、グローバル規模で中央銀行が研究を進捗させている。日銀も昨年から漸次検証を進め、来年は実用化に向けた最終段階ともいえるパイロット実験にステージを移す。政府も骨太の方針でデジタル円の導入に前向きな姿勢を示し、日銀の尻を叩いていた立場にあるだけに、これは国策始動という捉え方もできる。きょうは、金融向けシステムに強いクロスキャット<2307>、ニーズウェル<3992>、アイリッジ<3917>などが値を飛ばしていたが、業績好調で低PERのアイエックス・ナレッジ<9753>にも目を配っておきたい。
あすのスケジュールでは、11月の都区部消費者物価指数(CPI)、10月の企業向けサービス価格指数など。3カ月物国庫短期証券の入札や40年国債の入札も行われる。また、東証グロース市場にtripla<5136>が新規上場する。海外では、米国でブラックフライデーにあたるほか、感謝祭の翌日に伴い米株・米債券市場などが短縮取引となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2022年11月24日 18時21分