USENNEX Research Memo(9):社債100億円を調達、広がる打ち手
■業績動向
3. 財務戦略
2017年12月のUSENとU-NEXTの戦略的統合は、グループシナジーによる効率化と業容拡大を同時に実現することで、成長性の高い強固な収益基盤を構築するという大きなメリットがあった。一方、統合の当初、負債比率の上昇など財務悪化というデメリットもあった。しかし、利益成長に伴って負債の圧縮を進めたことで、自己資本比率は統合当時の1ケタから2022年8月期末には26.3%へと改善し、財務悪化というデメリットも解消されつつある。このため負債圧縮一本槍から資本とのバランスを取った戦略へと、財務戦略のステージを一段上げることが可能となってきた。
USEN-NEXT HOLDINGS<9418>は、2022年9月に国内無担保普通社債100億円を市場から調達した。資金は中期経営計画の4期で予定している400億円超の事業投資などに当てる計画である。特に世界的に不足している半導体については、店舗サービス事業におけるDXプロダクトに必要な部品のため、先行して調達する考えである。また、従来から計画していたコンテンツや販促への投資も十分実行することができると思われる。そのほかにも、中期経営計画では4期で160億円超の成長投資を予定している。主な投資範囲は大型のM&Aのほか、現在の事業周辺のコンテンツやIP(Intellectual Property:知的財産)、アニメ原作になる見込みである。今回の調達による資金確保で、2023年8月期以降の中期的な利益成長の実現可能性が高まったと言うことができる。なお、同社の成長を見込んでか、市場では社債の募集が旺盛であったようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《SI》
提供:フィスコ