貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価15分ディレイ → リアルタイムに変更

4845 スカラ

東証P
461円
前日比
+3
+0.66%
PTS
456円
22:30 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
23.5 2.02 3.47 3.75
時価総額 81.9億円

銘柄ニュース

戻る
 

スカラ Research Memo(9):2021年6月期の業績は継続事業ベースで10%以上の増収増益となる見通し


■今後の見通し

1. 2021年6月期の業績見通し
スカラ<4845>の2021年6月期の業績見通しは、新型コロナウイルス感染症拡大の動向が不透明なほか、主要子会社であるソフトブレーンの全株式を売却する予定のため、第2四半期以降連結対象から外れることなどから、レンジでの開示としている。具体的には、売上収益で10,000~13,000百万円、営業利益及び税引前利益で3,100~3,500百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益で2,900~3,300百万円とした。ソフトブレーンが連結対象から外れることによる影響額は、売上収益で約72億円、営業利益で約6億円の減収減益要因となる※。また、第3四半期には会計上の株式売却益約26億円が営業利益段階で計上される見込みとなっている。こうしたソフトブレーンにかかる影響を除いたベースで見ると、売上収益、利益ともに前期比で10%以上の増収増益となる見通しとなっている。

※ソフトブレーンが公表している2019年10月-2020年6月の連結業績数値。


(1) ソフトブレーン株式の売却により高収益案件の投資を加速
ソフトブレーン株式の売却に関しては、事業上のシナジーがほとんどなかったことや、同社の目指している「価値共創プラットフォーム」の構築に向けて、方向性が必ずしも同じではなかったことが背景にある。同社では中期経営計画において価値創造経営支援事業を積極的に推進していく方針であり、その中で成長ポテンシャルが高い企業への投資も合わせて行っていくため、資金効率の点から計算して今回、株式売却を決断するに至った。同社ではソフトブレーン株式の保有を継続するよりも、株式売却金額で他の高収益案件への投資を行ったほうが、今後2~3年間での株主価値の増大額は4倍に拡大すると試算している。前提として投下資本利益率(ROIC)で15%以上の投資案件にフォーカスしていくとしている。

既に、ジェイ・フェニックス・リサーチが中心となって10社程度の候補先企業と具体的な出資交渉を行っている。これら企業については、価値創造経営支援とAI/IoTのコンサルティング、DX化支援及び実装までのトータル支援を提供していくことになる。企業価値を高めていくためのコンサルティングサービスやDX化のための各種SaaS/ASPサービスを提供することで、1社当たり年間100~200百万円の売上が見込まれる。出資については2020年3月に組成したSCSV1号投資事業有限責任組合を通じて行っていく。対象企業は時価総額で100億円規模までの上場企業となり、このうち2021年6月期中に最大5社程度、1社当たり1~1.5億円の投資実行の実現を目指している。なお、投資後の運用方針としては想定した企業価値に達した段階で売却し、次の投資先企業の株式取得資金に充当していく格好となる。同社では、中小企業で価値創造経営支援事業の成功事例を積み重ねていくことで、将来的には大企業向けでも同様のスキームで事業展開していくことを視野に入れている。

(2) SaaS/ASP事業
2021年6月期のSaaS/ASP事業は、2ケタ増収増益となる見通しだ。「i-ask」「i-search」などSaaS/ASPの月額課金収益が積み上がっていくほか、前期に減少したカスタム開発案件の売上増も見込めるためだ。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で遅延していた保険募集システムや「1クリック見積システム」の横展開が見込めるほか、「xID」の金融機関、人材サービス会社向けへの導入が見込まれる。人材サービス会社では派遣者の登録作業などを簡便にするため「xID」の活用を検討するところも出ていると言う。また、継続的に開発案件のある損害保険ジャパン向けについても、比較的規模の大きいテレマティクス分野の案件が2021年6月期は予定されている。

開発面では前期から取り組んできた外注クラウドプラットフォームの体制が、2021年2月頃からスタートできる見通しとなっており、従来と比較して開発の生産性向上や外部委託パートナーの柔軟な活用が可能となり、開発リソース面での課題が解消されることになる。また、エンジニアの採用面では、グリットグループホールディングスがグループ化したことによるシナジーも生まれている。グリットグループホールディングスでは人材サービス業を展開しているため、エージェント会社とのネットワークが幅広く、同ルートを活用した中途採用者も増えている。

また、コネクトエージェンシーについても増収増益を見込んでいる。アウトバウンドコールサービスを主とする事業者に対して「コネクトエージェンシー」と基幹システム「C7」を連携させたコールシステムの拡販を進めていく。なお、スカラネクストや同社の先行投資については、2021年6月期も前期と同様に実行していく計画となっている。

(3) カスタマーサポート事業
カスタマーサポート事業については、前期に引き続き低採算案件の見直しと新規顧客の獲得を進めていくことで収益性の向上に取り組んでいく。売上高については減収となる可能性があるが、「C7」や「i-ask」等の導入を進めていくことで増益となる見通しだ。なお、同事業の営業利益率については将来的に10%を目標としている。

(4) その他
EC事業に関しては、トレーディングカードのECサイト大手として国内だけでなく海外からの取引拡大が見込めることに加えて、既述のとおりスマートフォンアプリの投入やAI機能の実装なども寄与して、増収増益が続くものと予想される。また、グリットグループホールディングスについては、2020年7月以降、企業の採用活動が動き始めてきたことから、2021年6月期は収益貢献するものと期待される。なお、2019年5月期の売上規模は概算で1,999百万円、営業利益で31百万円の水準となっている。また、グリットグループホールディングスは地方創生事業を展開しており、自治体とのネットワークも幅広く持っていることから、同ネットワークを通じた自治体向けのSaaS/ASPサービスの拡販が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均