【特集】サンワテクノス Research Memo(1):3つの成長戦略により2028年3月期に営業利益80億円超を目指す
■要約
サンワテクノス<8137>は産業用エレクトロニクス・メカトロニクス関連の装置・機器・部品を取り扱う独立系技術商社で、「双方向取引」(顧客であると同時に仕入先である取引先との取引)を特徴として業容を拡大してきた。国内30拠点、海外40拠点で事業展開しており、単体ベースで顧客企業は3,100社以上に上る。
1. 2026年3月期中間期の業績概要
2026年3月期中間期の連結業績は、売上高で前年同期比0.1%減の69,380百万円、営業利益で同11.2%減の1,464百万円と減収減益となった。期初計画(売上高71,700百万円、営業利益1,080百万円)に対して、売上高は若干未達となったが、採算重視の営業活動により売上総利益率が改善したほか、販管費の縮減を継続したことで営業利益は期初計画を上回った。受注高は日本市場の回復により同13.5%増の72,682百万円と増加基調に転じており、2024年3月期以降続いた業績悪化局面も当中間期で終止符を打ち、下期以降は増収増益に転じるものと予想される。
2. 2026年3月期通期の業績見通し
2026年3月期通期の連結業績は、期初計画を据え置き、売上高で前期比11.0%増の155,000百万円、営業利益で同0.2%減の3,500百万円を見込む。下期に回復を見込んでいた中国市場の低迷が長引いている影響で、売上高は計画を下回る可能性が高まっているが、営業利益は中間期で上振れたことや為替前提レート144.00円/米ドル※に対して円安で推移していることもあり、会社計画を達成する可能性は十分あると弊社では見ている。なお、2025年9月末に業務提携先であった(株)エムテックを子会社化した。3D解析技術や独自のモーション制御技術を持っており、同技術を活用したロボットソリューションを提案することで受注拡大につなげる。また、同年10月末には本多通信工業(株)の英国子会社であるHTK Europe Ltd.(HTK Europe)を子会社化し、社名をSUN-WA TECHNOS (UK) Connect Solutions Ltd.に変更した。ワイヤーハーネスや制御盤の加工・組立工場を有しており、現地設計・現地対応が求められる欧州優良企業の開拓を推進し、欧州での事業拡大を目指す。
※ 1円/米ドルの変動による年間の収益影響額は売上高で444百万円、営業利益で66百万円(他通貨も米ドルと同じ変動率と仮定)。
3. 中期経営計画「SUN-WA Growth Plan 2027」の概要
2028年3月期までの3ヶ年の中期経営計画「SUN-WA Growth Plan 2027」では、「市場環境の変化に適合する事業構造改革」「3つの成長戦略(商品戦略、顧客セグメント戦略、エリア戦略)による収益力の強化」「成長を支える投資と個別戦略の実施」の3つの基本方針に取り組み、最終年度に営業利益80億円超、ROE10.0%超、PBR1.0倍超を目指す。特に業界に精通した営業人員を配置することで、新規優良顧客の開拓・既存顧客との取引深耕につなげる。顧客セグメント戦略では、従来の6セグメント※に新たに医療機器と社会インフラセグメントを追加した。両分野ともに景気変動の影響を受けにくい業界であり、収益基盤の安定性を向上するねらいがある。
※ 半導体製造装置、ロボット、工作機械、車載、FAコンポーネント、専用機械の6セグメント。
4. 株主還元策
同社はPBR(株価純資産倍率)1.0倍超の実現に向けた施策の1つとして、積極的な株主還元に取り組んでいる。配当金については、DOE(連結株主資本配当率)4.0%以上を目途に継続的かつ安定的配当を行う方針で、2026年3月期の1株当たり配当金は前期と同額の120.0円(DOE4.31%)を予定している(前期は記念配当10.0円含む)。また、新たに株主優待制度の見直しを発表した。長期保有優待(2年以上)を廃止し、保有株式数の区分変更を行ったほか、株主優待品を従来のQUOカードからデジタルギフトに変更し、利便性の向上を図った(毎年3月末時点の株主に対して、保有株数100株の場合は2,000円分のデジタルギフトを贈呈)。
■Key Points
・2026年3月期中間期は利益ベースで期初計画を上回る
・中国市場の低迷を日本市場の回復でカバーし、2026年3月期営業利益は前期並みの水準を見込む
・2028年3月期に連結営業利益80億円超、ROE10.0%超、PER10倍超でPBR1.0倍超の達成を目指す
・DOE4.0%以上を目標に配当を実施、株主優待も内容を一部変更し拡充を図る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《MY》
提供:フィスコ

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