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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】流動性の高い主力大型株への物色が続く

RAKAN RICERCA 取締役 会長 村瀬智一

「流動性の高い主力大型株への物色が続く」

●AI過剰投資と収益性への警戒が高まる

 日経平均株価は5万1000円近辺で上値を抑えられ、今週は11月半ば以来となる4万9000円割れの水準まで売られる場面もみられた。これまで相場を牽引してきた 半導体AI(人工知能)関連株への持ち高調整が重荷となっている。米国で巨額のAI投資に見合う収益獲得への疑念が高まっていることが背景にあるが、AIの成長期待自体は依然として大きい。目先では半導体・AI関連株の底入れを見極めつつ、投資家は押し目狙いのスタンスを強めそうだ。

 日銀の金融政策決定会合を通過し、年内は国内外の機関投資家の商いが一段と細るため、個人投資家主体の売買が中心になりそうだ。AI関連のほか、高市政権が掲げる「責任ある積極財政」に関連した政策テーマなど、来年も成長が期待される銘柄への物色が強まるだろう。

 年末相場では、これまで材料株への資金流入による短期的な値幅取りの売買が中心だったが、足もとではNISA(少額投資非課税制度)資金など長期投資のウェートも高まっている。相対的に流動性の高い主力大型株への物色が続く可能性は大きいとみておきたい。

●活躍が期待される「注目5銘柄」

◆プラスアルファ・コンサルティング <4071> [東証P]
テキストマイニングやデータマイニングなどの技術を核に、データ分析プラットフォームのクラウドサービスを提供。HRソリューションでは、データ分析に基づく「科学的人事」をコンセプトとした、タレントマネジメントシステム「タレントパレット」を導入する企業が増えている。2025年9月期の連結営業利益は前の期比40.8%増の63億7800万円で着地。続く2026年9月期の営業利益は前期比17.6%増の75億円と連続で過去最高益更新を見込む。

◆中外製薬 <4519> [東証P]
ロシュ傘下の医薬品大手。12月18日、同社が創製し、米イーライリリー<LLY>が全世界での開発権・販売権を保有する経口肥満症糖尿病治療薬「オルホルグリプロン」が、第3相試験において良好な結果を示したと発表。「オルホルグリプロン」は、ノボノルディスク<NVO>が開発した「セマグルチド」またはイーライリリーが開発した「ゼップバウンド」による減量が確認された後の追加の52週間で、体重維持に関する主要評価項目と全ての重要な副次評価項目を達成した。株価は11月中旬以降、8000円~8600円処の高値圏で保ち合いを続けているが、日柄調整を経てのレンジ上限突破を想定。

◆トライアルホールディングス <141A> [東証G]
九州を地盤にディスカウントストアを全国展開するほか、セルフレジ機能を搭載したスマートショッピングカートなどの店舗用デバイスを開発・販売している。西友の完全子会社化により次世代型小型店の出店を進める。効率化をテコに衣類などでは競合大手の半額以下に抑えた商品も目立ち、物価高に伴って強まる消費者の節約志向を背景に、優位性の発揮が期待される。株価は12月15日の2909円を高値に調整局面にあるが、出直りから8月28日につけた年初来高値2965円の更新に期待したい。

◆積水ハウス <1928> [東証P]
住宅メーカー大手。遠州鉄道(浜松市)と共同で戸建て住宅事業を12月から開始。同社が住宅の基礎工事や構造を手掛け、遠州鉄道が内外装や販売を担当する。静岡県は南海トラフ地震の想定震源域に近く、同社独自の耐震技術「ダイレクトジョイント構法」をアピールする。また、2032年1月期までに米国で戸建て住宅の販売を年2万戸(26年1月期見込みは1万2600戸)とする目標を掲げており、追加利下げ期待が根強い同国での成長が期待される。株価は集束する13週、26週、52週移動平均線を支持線に変えてきており、リバウンド基調が強まりそうだ。

◆UACJ <5741> [東証P]
アルミニウム総合メーカー。圧延板材で世界有数、国内首位。三菱重工業 <7011> [東証P]などとJAXA(宇宙航空研究開発機構)の「革新的将来宇宙輸送システム」向けに、ロケット用高強度アルミ合金の研究開発を進めている。12月3日、第2位株主の古河電気工業 <5801> [東証P]による保有株の一部売却を発表し、株価は急落する場面もみられた。しかし、アク抜けにより足もとで急落分を埋めてきており、25日線を支持線とした再動意に期待したい。

2025年12月19日 記 (次回は2026年1月1日に更新予定)

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