【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】中小型のAI関連などテーマ性ある銘柄に注目

「中小型のAI関連などテーマ性ある銘柄に注目」
●海外投資家の資金流入が続く
日経平均株価は中東情勢が緊迫の度を増すなかでも強い基調を保ち、心理的な抵抗である3万8500円を巡り攻防を繰り広げている。
海外投資家は6月第2週(6月9日-13日)時点で、現物と先物の合算では9週連続で買い越しており、海外資金の流入が指数を押し上げている。また、アドバンテスト <6857> [東証P]のリバウンドが本格化しており、半導体株へのショートカバーもセンチメントを明るくさせている。海外投資家の資金は中小型株ファンドにも流入しているとみられ、東証グロース250指数やグロースコア指数は上昇トレンドを継続している。
イラン攻撃への米国の関与について、トランプ米大統領は「2週間以内に決断を下す」と述べており、この期間内に交渉によって解決を図ることになる。ただし、近く交渉の場にイランが着いたとしても、米国が軍事行動に移る可能性がある状況では、積極的な上値追いは期待しづらい。
これらを踏まえると、今回は外部要因の影響を受けにくい中小型のAI(人工知能)関連など、テーマ性のある銘柄に注目したい。
●活躍が期待される「注目5銘柄」
◆キオクシアホールディングス <285A> [東証P]
NAND型フラッシュメモリー世界大手。同社は2029年度までにメモリーの生産能力を記憶容量ベースで24年度の2倍に高める計画であり、AIデータセンター向けにNAND型フラッシュメモリーを増産する。直近では生成AIや高性能計算(HPC)用途でGPU(画像処理半導体)稼働率を高めてシステム改善に貢献するSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)の試作品を開発したと発表。同製品は生成AIなどの次世代環境で求められる速度・応答性に対応し、GPUにデータを絶えず供給し続けるとともに、GPUが最大限効率的に稼働するように開発されている。株価は1900円~2300円辺りの保ち合いレンジで推移するが、週末20日に75日移動平均線を突破してきており、レンジの上抜けに期待したい。
◆VRAIN Solution <135A> [東証G]
製造業に特化したAIソリューションを提供。製造現場の課題を汎用的に解決できるAIプロダクトを開発するほか、顧客がDX内製化を進めるためのパッケージをコンサルティングサービスとして展開する。25年5月28日、AI技術とX線検査技術を融合した新製品「PX-1000N」をリリースすると発表。食品業界を主な対象とし、独自のAI画像認識技術と最先端のX線技術を融合して高精度な内部欠陥検出を実現している。株価は25年4月高値2800円を突破し、24年9月高値の3295円が次の目標となる。上場翌月の24年3月に付けた7890円を頂点に1年近く続くボトム圏からの脱出に期待したい。
◆AIフュージョンキャピタルグループ <254A> [東証S]
同社はAIを軸に自己投資事業、ファンド事業、PIPEs(私募増資の引き受け)事業、投資銀行事業の4つの事業ドメインをコア領域と定めている。また、これらに加えて、新規事業として暗号資産事業に進出。株価はボトム圏からのリバウンドにより75日線を上抜いてきた。値動きの荒さは目立つものの、押し目狙いのスタンスでの対応となるか。
◆技術承継機構 <319A> [東証G]
製造業・製造関連企業の譲受、譲受企業の経営支援を展開。企業が有する技術・技能の散逸を防ぎ、次世代に繋ぐことをミッションとする。中小製造業の主要な悩みである人材不足の改善、IT化を推進。株価は足もとのリバウンドにより25日・75日線を突破。まずは25年5月19日の戻り高値6230円が射程に入ろう。
◆ヘッドウォータース <4011> [東証G]
企業の経営課題を、IT・AIシステム開発を通して解決するソリューション事業を展開。25年6月19日に富士通 <6702> [東証P]と共同で、AIアバターによってプレゼンテーションと質疑応答の自動化を実現する「Fujitsu AI Auto Presentation」を開発したと発表。言語とプレゼンテーション資料を指定することで、AIが説明文を自動生成。ユーザーの顔や声を模したAIアバターによるプレゼンテーションを実行する。この発表の前日18日にはFastLabel(東京都新宿区)と協業し、業界特化型AIエージェントや小規模言語モデル(SLM)、次世代型の情報活用アーキテクチャーであるエージェンティック・ラグの開発強化に取り組むことも明らかにしている。株価は節目の3500円処をクリアして急伸、週末20日には3カ月半ぶりに4500円台を回復する場面があった。上値抵抗の200日線に差し掛かり、同線突破によるリバウンド加速が実現するか注目される。
(2025年6月20日 記)
株探ニュース