市場ニュース

戻る
 

【特集】馬渕治好氏【日経平均戻り足は本物か、期末目前で思惑錯綜】(1) <相場観特集>

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

―欧米株高受けリスク選好、中銀ウィークに変化する流れ―

 17日の東京株式市場はリスク選好の地合いとなり、日経平均株価は大幅続伸し3万7000円台半ばまで水準を切り上げた。前週末の欧米株市場が全面高様相に買われたことで、これを好感する買いが優勢だった。しかし、今週は金融政策を決定する会合が日米で開かれるなど中銀ウィークでもあり、マーケットも不安定な値動きとなりやすい面がある。また、3月期末から新年度入りにかけて株式市場は季節的な需給要因も働きやすく注意が必要だ。ここからの相場展望について、ブーケ・ド・フルーレットの馬渕氏と内藤証券の田部井氏の市場関係者2人にそれぞれ見解を聞いた。

●「前週の3万6000円割れが今年の底値の可能性も」

馬渕治好氏(ブーケ・ド・フルーレット 代表)

 週明けの東京市場は欧州株高や米株高の流れを引き継いで上値指向を強めたが、日経平均は3月下旬から4月いっぱいはトレンドが生じにくく、もみ合いが予想される。想定レンジは3万6500~3万8500円というゾーンで、昨年9月下旬から今年2月末まで続いた3万8000~4万円のレンジからはボックス圏が一段切り下がった形での推移となる可能性が高そうだ。

 今週は日銀の金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が同じ日程(18~19日)で行われるが、日銀は利上げを見送る公算が大きく、FOMCでは利下げが行われないとの見方が強い。金融政策は現状維持としてもガイダンスが注目され、日米ともに中央銀行が自国経済の現状をどう認識しているかということに市場の関心が高い。米国では景気後退懸念が一部で取り沙汰されており、これが投資家心理を揺れ動かす背景となっている。ただし、ガイダンスによる株価への影響は一過性で短期的なものにとどまるだろう。

 前週末に発表された3月のミシガン大学消費者態度指数(速報値)では事前予想を下回る内容であったにもかかわらず、市場の反応は限定的で、NYダウなど主要株価3指数はいずれも大幅高に買われている。つまり、ソフトデータは大方織り込まれているとみることもできる。一方、ハードデータの織り込みは進んでおらず、当面はトランプ関税による影響がどのように経済実勢に影響を及ぼすかという点を見守っていく必要がある。

 日本株は米国株市場の影響を当然受けるが、米国株よりは相対的に強さが発揮されやすい。PERなどバリュエーション比較で日本の方が米国よりも割安ということに加え、関税引き上げの影響についても日本は対米だけにとどまるのに対し、世界を相手に関税合戦を繰り広げる米国の方はダメージが大きくなるからだ。日経平均の下値は限られ、今月11日ザラ場につけた3万5987円が今年の安値になる可能性もあり得る。

 そのなか、テーマ買いの対象として半導体関連は引き続き厳しい環境が予想される。関税への警戒に加え、米国による対中輸出規制強化の懸念も拭えず、値ごろ感からの押し目買いは注意を要する。一方、内需株は相対的に優位性を持つ。どちらかといえば小売りやサービス、外食関連株などに投資資金を振り向ける方が賢明であろう。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(まぶち・はるよし)
1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米MIT修士課程修了。米国CFA(証券アナリスト)。マスコミ出演や講演を行なっている。日本経済新聞夕刊のコラム「十字路」の執筆陣のひとり。

株探からのお知らせ

    日経平均