【市況】明日の株式相場に向けて=急騰株繚乱の「防衛関連」、三菱重が大進撃

東京市場も欧米株高を受け、朝方からリスク選好の地合いとなった。前週末にエヌビディア<NVDA>が5%超の上昇で切り返すなど半導体株が軒並み上昇しており、これが追い風となるはずだったが、ディスコ<6146>が安くなるなど半導体関連株の動きは今一つであった。代わって全体相場の牽引役として浮上したのは防衛関連株だ。下値の買い板に厚みが加わるのは決して強い相場ではないが、上値の売り板が厚くなってきたときに真価が問われる。押し目買い指値などの駆け引きなしに、売りを呑み込んでしまうのが本当に強い相場で、異色人気を博す銘柄が相次いだ。これらが資金を呼び込む背景については、直近15日の株探トップ特集「激動する防衛関連株、世紀のゲームチェンジ7銘柄」を参考にしていただくとして、この日はくしくも、これまで繰り広げられてきた 防衛関連物色の流れが一気に堰を切ったような相場つきとなった。
欧州では独防衛大手のラインメタルが昨年11月を起点に大化けを果たしたが、直近改めて買い直されている。フランスでも防衛関連のタレスが年初から急騰パフォーマンスを演じている。また、米国ではここ全体下げ相場に引きずられ調整していた防衛ビッグデータ解析のパランティアテクノロジーズ<PLTR>だったが、前週末は8.3%高と急騰した。トランプ政権の関税政策に世界は振り回されており、株式市場でもその影響が色濃く出ている。唯一、聖域として資金が躊躇なく流れ込んでいるのが防衛関連セクターである。買いの根拠としては米国がアメリカファーストを前面に押し出すプロセスで浮き彫りとなった潜在的な地政学リスクの高まりだ。ウクライナ・ロシア戦争に停戦の方向が見えてきたことが、逆に国防費拡大に欧州を突き動かす背景となっている。
きょうの東京市場では4000億円超という全上場銘柄の中で一頭地を抜く売買代金をこなした三菱重工業<7011>が、プライム市場の値上がり率でも2位となる怒涛の人気となった。リアル防衛関連の象徴株であり、時価総額ベースでみた膨張効果は目を見張るものがある。三菱重は上場来高値を大幅更新したが、これが号砲となって川崎重工業<7012>やIHI<7013>はもとより、関連株への買いが加速した。
中小型株では当欄でも今月上旬に取り上げた防衛関連の精鋭、日本アビオニクス<6946>が本領を発揮している。また、防衛関連向け試験装置の引き合いが活発化しているIMV<7760>もきょうは一時1600円台半ばまで水準を切り上げ、今月7日の上場来高値に肉薄。時価総額を考慮すると早晩青空圏に突入しても不思議はない。
ここからマークしておきたい銘柄では防衛省向け案件が増加している豊和工業<6203>や2020年に大相場の実績がある重松製作所<7980>、防衛予算拡充で化薬事業が収益の追い風となっている日油<4403>などがある。
あすのスケジュールでは、日銀金融政策決定会合が19日までの日程で行われる。1年物国庫短期証券の入札が午前中に行われ、午後取引時間中には1月の第3次産業活動指数が開示されるほか、2月の首都圏マンション販売も発表される。また、この日はIPOが1社予定されており、東証グロース市場にTalentX<330A>が新規上場する。海外では、3月の欧州経済センター(ZEW)の独景気予測指数、1月のユーロ圏貿易収支などが開示されるほか、米国では2月の輸出入物価指数、2月の住宅着工・許可件数、2月の鉱工業生産指数などにマーケットの注目度が高い。また、米20年債の入札も予定されている。なお、マレーシア市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS