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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─無視できない日本市場!存在感が高まる!

経済評論家 杉村富生

「無視できない日本市場!存在感が高まる!」

●宇宙資源で初の商取引となるispace!

 2025年のビッグイベントは1月20日のドナルド・トランプ大統領(アメリカ)の就任式だろう。彼の言動が世界経済、金融マーケットに重大な影響を与えるのは間違いない。すでに、各方面に軋轢を生み、政財界は身構え、脅えている。なにしろ、その思考回路は常識をはるかに超えた人物である。

 カナダに対し、アメリカ51番目の州になったらどうかと発言。ほかにも、パナマ運河の管理権掌握、デンマーク自治領のグリーンランドの買収提案、メキシコ湾の呼称をアメリカ湾に変える、などの主張は「正気なのか」と疑いたくなる。さらに、NATO(北大西洋条約機構)加盟国には国防予算をGDPの5%にせよ、と主張している。

 メチャクチャである。国家主権などの概念はないらしい。そのうち、南極、月の領有権を主張するのだろうか。確かに、月はアポロ計画によってアメリカが第一歩を踏んだ。しかし、それを唱えるのであれば日本の「かぐや姫」はもっと前に、月に帰った。「おとぎ話じゃないか」。いや、トランプ氏の発言はそれ以下だ。割り切って受け止める必要があろう。

 ispace <9348> [東証G]は15日に、月着陸船「レジリエンス」を打ち上げる。場所はフロリダ州のケネディ宇宙センター、スペースXのロケットを使う。発射は成功するだろう。2023年春は月面着陸に失敗したが、今回はどうか。結論が出るのは5月末から6月の初め頃だ。それまでは十分に楽しめる。

 この銘柄には“夢とロマン”がある。2024年2月16日には1625円、2023年4月19日には2373円の高値をつけている。失敗すれば急落するが、この株価(900円絡み)水準であればリスクを取る価値はありそうだ。採取した砂、石はNASA(米航空宇宙局)が買う。成功すれば宇宙資源の商取引の初の事例となる。

●1月20日の就任式が相場の転機になる!

 全般相場については前述したように、アメリカ大統領の就任式待ちの状況になっている。様子見姿勢が強い。筆者はトランプ政権の発足をそんなに危惧していないが、マーケットは違う。昨年11月5日の“当選”以来、マーケットは「関税と減税」のうち、減税効果ばかりを評価した「アニマルスピリッツ」(自発的な楽観主義)に陥っていた、と思う。

 ただし、関税に関しては多分にディール(交渉の取引材料)、ないしはブラフ(脅し)の色彩が強い。選挙公約だ。実際は「話半分」だろう。輸入品に10~25%の高関税を課した場合、輸入物価が上昇、インフレの火種になるし、原材料価格の高騰によって、企業の競争力は確実に低下する。

 トランプ政権は政策の核にインフレ抑制のほか、「偉大なアメリカの再構築」を据えている。まあ、彼の言動は矛盾に満ちており、驚きはない。しかし、政権運営では現実的な対応が求められる。それに、閣僚候補はみんな優秀だ。彼は「最低限のルールはあるが、各省庁のやり方に口出ししない」と語っている。

 いずれにせよ、1月20日を過ぎると、本格的な2025年相場が始まるだろう。物色面ではアドバンテスト <6857> [東証P]の強さが際立っている。キオクシアホールディングス <285A> [東証P]が堅調だ。フジクラ <5803> [東証P]の人気は衰えていない。2024年の値上がり率ランキングの第3位だったのだが……。

 アメリカ市場では相場巧者のドラッケンミラー氏がエヌビディア<NVDA>を売却、シーゲイト・テクノロジー・ホールディングス<STX>、コヒレント<COHR>を買っている、と話題だ。バークシャー・ハサウェイ<BRK.B>のウォーレン・バフェット氏はアップル<AAPL>を売りまくり、現金ポジションを50兆円まで高めた、という。

 ともあれ、外国人は2024年に日本株を約5兆円売り越したが、世界の株式市場を見渡せば中国、インド、ヨーロッパは買いづらく、アメリカは「トランプ大統領次第」の面がある。となると、外国人は日本市場を無視するわけにはいかないだろう。国内勢は年金、自社株買いなどがしっかり取得している。日経平均株価は5万円に挑戦する。

2025年1月10日 記

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