【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(1):アイスペース、Jフロント、トヨタ
アイスペース <日足> 「株探」多機能チャートより
ispace<9348>が上げ幅を急拡大した。この日、イタリア宇宙機関のAgenzia Spaziale Italianaとペイロードサービス契約を締結すると発表。これを材料視した買いが入ったようだ。契約金額は35万ユーロ(約5600万円)。25年3月期の業績予想には織り込み済みとしている。
■ユカリア <286A> 893円 +83 円 (+10.3%) 本日終値
ユカリア<286A>が急伸。医療経営総合支援事業を展開する同社は12日に東証グロース市場に新規上場したニューフェース。同日に公開価格(1060円)を8%下回る975円で初値を形成した後、株価は公開価格割れの水準で切り下がり、23日には756円まで調整した。同社は24年12月期について、売上高は前期比10.0%増の198億6300万円、経常利益は同33.5%増の24億7300万円、最終利益は同91.7%増の20億1500万円と見込む。モルガン・スタンレーMUFG証券は25日付で、ユカリアについて投資判断「オーバーウェート」で新規に調査を開始した。成長性はJMDC<4483>に匹敵する最も高い部類と評価したうえで、株価は低位にあり、投資魅力度は高いとの見解を示している。目標株価は1200円に設定した。
■タウンズ <197A> 591円 +52 円 (+9.7%) 本日終値
タウンズ<197A>は高い。25日取引終了後、スイス製薬大手ロシュの診断薬事業部門の日本法人であるロシュ・ダイアグノスティックスとの間で取引基本契約に関する基本合意書を締結したと発表した。この契約はタウンズがロシュに自社製品を販売するにあたり、両社間の基本的な取引条件と権利義務を定めるもの。契約締結を目指し、今後協議・検討を進めていく。これが材料視された。
■伊勢化学工業 <4107> 32,700円 +2,740 円 (+9.2%) 本日終値
伊勢化学工業<4107>、K&Oエナジーグループ<1663>が高い。足もと積水化学工業<4204>によるペロブスカイト太陽電池の量産に向けた動きが話題となるなか、株式市場ではこれが刺激材料となり、ペロブスカイト太陽電池関連に位置づけられる銘柄群に物色の矛先が向かっている。同太陽電池の主原料であるヨウ素の生産を手掛ける伊勢化、K&Oエナジの両銘柄にも思惑的な買いが入った。
■Jフロント <3086> 2,159円 +165 円 (+8.3%) 本日終値 東証プライム 上昇率2位
J.フロント リテイリング<3086>が売り物をこなし、5日移動平均線をサポートラインとする強力な上昇トレンドを継続。同社は25日取引終了後に25年2月期第3四半期(24年3~11月)の決算を発表、最終利益は前年同期比71%増の370億4100万円と大幅な伸びを達成した。訪日外国人が増勢一途となるなかで、インバウンド消費が収益を押し上げている。通期の最終利益見通しは365億円(前期比22%増)で第3四半期時点で既にこれを超過している状態だが、第4四半期に構造改革費用やカード発行などの経費計上を見込み、上方修正は見送っている。
■三越伊勢丹 <3099> 2,711.5円 +191.5 円 (+7.6%) 本日終値 東証プライム 上昇率4位
三越伊勢丹ホールディングス<3099>が急騰。高島屋<8233>やエイチ・ツー・オー リテイリング<8242>が買われ、百貨店株が物色人気化。日本時間25日午後4時30分から約1時間10分の間、岩屋毅外相と中国の王毅外相らが参加する第2回日中ハイレベル人的・文化交流対話が実施された。中国が日本人に対する短期滞在ビザの免除措置を再開したことを受けて、ハイレベル対話のなかで日本側は中国人に対する観光に関するビザ緩和措置の実施を決めたと表明。10年間有効の観光ビザの新設が打ち出された。富裕層を念頭に発給するとみられる10年観光ビザにより、国内百貨店などで中国人による消費活動が活発化するとの思惑が広がり、買いが集まったようだ。パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>やマツキヨココカラ&カンパニー<3088>なども上昇している。
■積水化学工業 <4204> 2,632.5円 +178.5 円 (+7.3%) 本日終値 東証プライム 上昇率6位
積水化学工業<4204>は大幅高で4日続伸し、上場来高値を更新した。日本経済新聞電子版が26日未明、「積水化学工業は薄くて曲げられる次世代の太陽電池『ペロブスカイト型』の量産に約3100億円を投じ、堺市に新工場を建設する」と報じた。中期的な業績拡大を見込んだ買いを集めたようだ。記事によると、新工場は2030年までに稼働し、生産能力は電池の発電容量で年100万キロワット分程度と、原子力発電所1基分に相当。政府は投資の5割にあたる約1600億円を補助するという。
■トヨタ自動車 <7203> 3,142円 +177.5 円 (+6.0%) 本日終値
トヨタ自動車<7203>が連日の大幅高に買われたほか、日産自動車<7201>、ホンダ<7267>、SUBARU<7270>、マツダ<7261>など自動車株が軒並み高、業種別騰落では全業種中で断トツの上昇率を示している。業種別上昇率では前日も自動車セクターが群を抜いていた。台湾の鴻海精密工業による日産自に対する買収に向けた動きが思惑として依然としてくすぶるなか、自動車業界全体の株価を刺激する格好となっている。直近ではホンダが上限1兆1000億円の大規模な自社株買い発表が話題を呼んだほか、前日はトヨタがROEを20%に引き上げるという観測報道がなされており、にわかに投資マネーの食指を動かしている。自動車セクターは会社解散価値を大幅に下回るPBRが1倍未満の企業がひしめいており、企業価値向上に向けた方策が打ち出されることに対する期待もあるようだ。
■ミツバ <7280> 968円 +46 円 (+5.0%) 本日終値
ミツバ<7280>がマド開け急伸、ホンダ<7267>向けを主力に二輪車や自動車向け汎用電装品を手掛けており、電気自動車(EV)シフトの動きにも対応している。ホンダと日産自動車<7201>の経営統合に向けた動きが明らかとなり、自動車周辺の関連メーカーにも物色の矛先が向いている。有配企業にもかかわらず、PERやPBRが極めて割安な水準に位置する銘柄は多く、業界再編の思惑が改めて強まったことで水準訂正余地がクローズアップされている。そのなか、同社は25年3月期は減益予想ながら、PERが4倍程度、PBRが0.5倍前後と超割安圏にあり、時価1000円未満は見直し必至とみた買いが流入している。
■ステラ ケミファ <4109> 4,250円 +170 円 (+4.2%) 本日終値
ステラ ケミファ<4109>が後場に一段高となった。同社は26日午後2時、25年3月期の連結業績予想の上方修正を発表。今期の売上高予想を10億円増額して355億円(前期比16.6%増)、営業利益予想を5億5000万円増額して42億円(同54.3%増)、最終利益予想を4億円増額して30億円(同62.6%増)に引き上げた。自社株買いと消却に関する発表も行っており、好感されたようだ。高純度薬品事業では半導体部門において、AI向け半導体を中心に市況が回復。国内外で出荷量が好調に推移し、収益が上振れする。同社は取得総数24万株(自己株式を除く発行済み株式総数の2.0%)、取得総額12億円を上限とする自社株買いも発表。取得期間は25年1月6日から3月24日までとする。また、3月31日に自己株24万株を消却する。
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