【特集】フルテック Research Memo(6):2024年12月期第2四半期は増収大幅増益、建具関連事業が黒字化
フルテック <日足> 「株探」多機能チャートより
■フルテック<6546>の業績動向
1. 2024年12月期第2四半期の業績概要
2024年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高6,922百万円(前年同期比7.5%増)、営業利益381百万円(同97.3%増)、経常利益416百万円(同91.5%増)、親会社株主に帰属する中間純利益275百万円(同98.3%増)と増収かつ大幅増益となった。売上高は、大型物件の新規受注が増加するとともに、リニューアル受注が好調だった建具関連事業が同11.7%増収とけん引した。自動ドア関連事業も同5.2%増、その他事業も同7.3%増と順調に推移した。損益面では、選別受注・採算管理の徹底や仕入価格上昇に対する価格転嫁の効果により、建具関連事業の利益率が改善した。全体の売上総利益率は33.1%と前年同期を2.8ポイント上回り、売上総利益は同17.3%増となった。販管費は、昇給や採用増による人件費増、スマートドアコントローラーなどの新商品開発に向けた研究開発投資増、M&A関連費用の発生など成長投資のほか、連結子会社化したワイズ・コーポレーションの販管費が加わり同8.5%増、同150百万円増となった。これを売上総利益の増益338百万円で吸収し、営業利益ほか各利益は大幅な増益となった。前年同期に6百万円の損失を計上した建具関連事業のセグメント利益は162百万円増益となり黒字転換した。
2. 事業セグメント別動向
(1) 自動ドア関連事業
2024年12月期第2四半期の売上高は4,138百万円(前年同期比5.2%増)、セグメント利益は1,047百万円(同12.0%増)と増収増益となった。新規の販売台数は4,359台と前年同期を7台下回ったが、大型物件の増加や販売単価が上昇したことにより同11.5%の増収となった。メンテナンスの保守契約台数は91,405台と前年同期から1,127台増加し、同2.2%の増収となった。リニューアルの取替台数は3,132台と前年同期を51台上回り、販売単価も上昇したことで同6.2%の増収となった。セグメント利益は大型物件の計上や販売単価の上昇、ストック収益となるメンテナンス売上の堅調な推移に加えて、利益率の高いリニューアル売上の増加が寄与し同12.0%の増益となった。
(2) 建具関連事業
売上高は2,354百万円(前年同期比11.7%増)、セグメント利益は155百万円(前年同期は6百万円のセグメント損失)と増収大幅増益となった。大型物件数の増加を主因に増収となったことに加えて、選別受注や採算管理の徹底や仕入価格の上昇に対する価格転嫁を進めた結果、利益率が改善しセグメント利益は162百万円の増益となった。
(3) その他事業
売上高は429百万円(前年同期比7.3%増)、セグメント利益は12百万円(同61.0%減)と増収減益となった。前年に計上したセキュリティゲートの大型売上(北海道エスコンフィールドへのゲート納入)の反動減があった一方で、連結子会社化したワイズ・コーポレーションの2024年1?3月の売上が加わったことにより増収となったが、M&A関連費用25百万円の計上などにより減益となった。
3. 財務状況と経営指標
2024年12月期第2四半期は、必要運転資金が162百万円増加したが、税金等調整前中間純利益426百万円、減価償却費94百万円に加えて、未払金・前受金・前受収益などその他の負債が194百万円増加したため営業活動によるキャッシュ・フローは622百万円の収入となった。必要運転資金は、棚卸資産が仕掛品の減少により442百万円減少したが、売掛債権が105百万円増加、仕入債務も498百万円減少したため162百万円増加した。投資活動によるキャッシュ・フローは、ワイズ・コーポレーションの株式取得による支出199百万円などで254百万円の支出となった。財務活動によるキャッシュ・フローは配当金支出112百万円、長短借入金のネット返済72百万円により187百万円の支出となった。その結果、第2四半期末の現金及び現金同等物の残高は前期末比で180百万円増加し2,813百万円となった。現金及び預金は、ワイズ・コーポレーションの連結子会社化もあり3,013百万円と前期末比で360百万円増加している。
総資産は12,466百万円と前期末比468百万円増加した。流動資産が71百万円増加し、固定資産が397百万円増加した。固定資産は、のれんを97百万円計上したほか、保険積立金が93百万円、投資有価証券が78百万円、繰延税金資産が72百万円それぞれ増加した。一方、負債では長短借入金が209百万円増加した。キャッシュ・フローでは72百万円返済しているが、ワイズ・コーポレーションの連結子会社化により増加している。また、親会社株主に帰属する中間純利益275百万円から配当支出112百万円を差し引いた162百万円が利益剰余金として増加するなど、純資産合計は前期末比182百万円増加した。総資産の増加額が大きくなったが、大幅な増益効果もあり、自己資本比率は52.8%と同0.6ポイント低下にとどまった。財務の安全性・健全性は継続して維持されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 松本章弘)
《HN》
提供:フィスコ