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【特集】Eギャランティ Research Memo(1):市場環境変化を好機と捉え、2028年3月期に経常利益100億円を目指す


■要約

イー・ギャランティ<8771>は、企業の売上債権に対する信用リスク保証サービスを主力事業として展開している。「保証債務×保証料率」が売上高となるストック型のビジネスモデルで、毎月3万社を超える企業情報の収集力と審査力により、最適な保証料率を設定できることが強みである。主に提携金融機関等を通じて新規顧客を獲得、リピート率も9割超と高く保証債務を積み上げることで成長を続けている。

1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比7.9%増の9,165百万円、経常利益で同15.9%増の4,902百万円と22期連続の増収増益となった。企業の倒産件数増加を背景とした顧客ニーズの高まりや営業リソース拡大の効果により、期末の保証債務残高が前期末比10.4%増の7,518億円※に拡大した。リスクの高い業種に対するリスクポートフォリオの見直しを実施したことにより、平均保証料率が前期から若干低下したため増収率は10%を下回ったが、原価率の好転と営業活動の効率化による経費削減効果等により、経常利益率は前期の49.8%から53.5%に上昇し、初めて50%台に乗せた。

※ 実際の保証残高(保証対象先ごとに設定している保証枠(保証対象先が特定できない場合は、契約先ごとに設定している保証枠))の合計は前期末比31.3%増の1兆4,132億円だが、対象先を複数社まとめて保証サービスを提供するケースが増えており、売上高に影響する保証債務額との乖離が年々大きくなっている。

2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比10.2%増の10,100百万円、経常利益で同6.1%増の5,200百万円を見込む。売上高は保証債務の積み上げが加速することで増収増益が続く見通しだ。一方で、営業体制の強化により人件費で同3億円程度の増加を見込んでおり、利益率の低下要因となる。第1四半期の業績は売上高で前年同期比7.4%増の2,406百万円、経常利益で同1.5%増の1,187百万円、保証債務で同11.6%増の7,802億円と計画どおりに進捗した。増収率は保証料率が上昇に転じる下期以降に拡大する見込みだ。

3. 中期経営計画
同社は2024年6月に2028年3月期までの中期経営計画「Accelerate2028」を発表した。企業倒産件数の増加や金利上昇、労働人口の減少など外部環境の変化に伴い、企業の保証ニーズが一段と高まることが予見されるなかで、飛躍的成長を図る好機と捉え、積極的な事業展開を進めていく方針を打ち出した。主に、豊富な企業データベースに裏打ちされた積極的なリスク引受け、営業リソースの積極投下並びに商品ラインナップの拡充、DX推進により効率的に売上拡大を図り、2028年3月期に売上高20,000百万円、経常利益10,000百万円を目指す。経常利益の年平均成長率は19.5%と直近4年間の実績(15.5%)を上回るが、前半は成長基盤強化のための先行投資を実施するため、利益成長は後半にかけて加速していく計画である。

4. 株主還元策
株主還元策は、財務状況と今後の事業展開等を総合的に勘案しながら、連結配当性向50%以上を目標に配当を実施し、配当総額を持続的に高めることを基本方針としている。同方針に基づき2025年3月期の1株当たり配当金は前期比2.0円増配の37.0円(配当性向51.1%)と、株式上場以来の増配を継続する予定だ。

■Key Points
・企業の倒産件数の増加を背景に売掛債権保証サービスの需要が拡大、2024年3月期は22期連続で増収増益を達成
・市場環境の変化を好機と捉え、積極的な事業展開により2028年3月期に経常利益で100億円、2024年3月期比2倍以上を目指す
・2025年3月期は人件費の増加により増益率は一時的に鈍化するも、2026年3月期以降は2ケタ増益基調に復帰する見通し

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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