市場ニュース

戻る
 

【特集】データセク Research Memo(1):2025年3月期もトップラインの成長と連結黒字化への転換を目指す

データセク <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

データセクション<3905>は、テキスト解析技術及びAI開発技術を基盤にビッグデータの分析サービスを提供する企業である。同社は経営管理・業績管理体制の見直しと高度化を図り、投資家やステークホルダーへの分かりやすさを重視しながら、国内事業と海外事業の2区分で事業を推進している。2025年3月期も引き続きトップラインの成長と連結黒字化への転換を目指しており、黒字事業のオーガニックな利益成長を重視しつつ、国内事業のリストラクチャリングを通じて採算改善に取り組んでいる。具体的には、事業ドメインの再定義と事業構造改革を進めることで、国内事業の黒字化を実現し、営業黒字転換を達成する計画だ。調整後EBITDAも前期比377百万円の増加を目指しており、これにより大幅な業績改善を見込んでいる。同社は国内外双方の成長を通じて最高売上高を計画しており、将来的な事業展開に向けたバランスの良い投資を推進している。

1. 2024年3月期の業績概要
2024年3月期の業績は、売上高で前期比15.9%増の2,229百万円、営業損失は216百万円(前期は55百万円の損失)、経常損失は235百万円(同46百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,261百万円(同530百万円の損失)となった。2024年3月期の売上高は過去最高を更新したものの、営業損失と経常損失は拡大した。国内では子会社(株)ディーエスエス(以下、DSS)のシステム開発案件の受注増加とパブリックセクター向けのソリッドインテリジェンス(株)(以下、SI)案件が貢献し、海外では新たに連結子会社化した企業のサービス受注が増加した。一方で、人件費と業務委託費の増加により、売上原価と販管費が大幅に増加し、最終的に親会社株主に帰属する当期純損失は1,261百万円となった。特別損失の影響で最終損失が拡大したものの、調整後EBITDAは修正計画を上回った。

2. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期通期の連結業績は、売上高で前期比18.9%増の2,650百万円、営業利益で80百万円(前期は216百万円の損失)、経常利益で55百万円(同235百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益で17百万円(同1,261百万円の損失)となる見通しだ。国内事業でコンサルティング機能の強化とエンジニア採用により大型案件の受注を狙い、データサイエンスや「FollowUP」の提供を通じたオーガニック成長、自社プロダクトのクロスセルで売上と利益の拡大を目指す。海外事業では、南米市場に注力し、上場デベロッパーや小売業オーナーとのリレーションを生かし、大型案件の獲得を目指す。戦略的買収でリセラー販路を抑え、プロダクトラインナップを強化する。スーパーコンピュータやデータセンター分野での提携も視野に入れ、南米市場での競争力を高める計画だ。

3. 中長期の成長戦略
同社は、事業ドメインの再定義を通じて収益性の高い分野に集中し、各事業の採算管理を強化する。特に国内事業では親会社の黒字化と収益性改善を最優先課題とし、不採算事業のリストラクチャリングを実施する。海外事業では既存基盤を生かしたオーガニックな成長を目指し、新規事業ではSuper Micro Computer<SMCI>(以下、Supermicro)との業務提携を中心にAIサーバー分野におけるR&DやAIデータセンター運営における協議を継続する。全社戦略としては、ガバナンス強化と人事制度の改定を行い、コーポレート・ブランディングを強化する。また、サステナビリティの充実により企業価値の向上を図る。2025年3月期には「データとAI」を強みとする事業ドメインに回帰し、全社的な成長を目指す。これにより、国内外での成長と連結黒字化を実現し、持続的な企業価値の向上を図る。

■Key Points
・2024年3月期の売上高は過去最高を更新したものの、営業損失と経常損失は拡大
・ 国内事業は、親会社の黒字化と収益性改善を最優先課題とし、海外事業は、既存基盤を生かしたオーガニックな成長を目指す
・2025年3月期には「データとAI」を強みとする事業ドメインに回帰し、全社的な成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

《HN》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均