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【特集】動物高度医療 Research Memo(1):総合動物病院としての強みや知名度向上効果に期待

動物高度医療 <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

日本動物高度医療センター<6039>(JARMeC=Japan Animal Referral Medical Center)は、ペット(犬・猫)向け高度医療を専門に行う総合動物病院(二次診療施設)を展開し、動物医療業界の総合的企業を目指している。同社は、ペットの飼い主にとっての「かかりつけの動物病院」となる地域の動物病院(一次診療施設)からの完全紹介により、一次診療施設では対処が困難な重度の患者動物に対して高度な専門医療(二次診療)を行う。事業拠点は川崎本院、名古屋病院、東京病院、及び2023年6月に開院した大阪病院である。ペットの家族化、長寿命化、疾病多様化などで、飼い主の間に「ペットにも人間と同じように高度な医療を受けさせたい」という、動物医療に対する多様化・高度化のニーズが高まるなか、一次診療施設である全国各地の「かかりつけの動物病院」との分業によって、高度で充実した動物医療を実現している。また子会社の(株)キャミックは画像診断サービスを展開、子会社のテルコム(株)は動物の在宅医療に必要な「酸素ハウス」の製造・販売・貸与を展開している。

1. 2024年3月期は一時的費用増加で減益だが、売上高は過去最高と順調
2024年3月期の連結業績は売上高が前期比10.3%増の4,270百万円、営業利益が同14.4%減の496百万円、経常利益が同8.3%減の489百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同11.4%減の337百万円だった。大阪病院の開院に伴う一時的費用増加の影響などで減益だったが、売上高は計画を上回る2ケタ増収で過去最高と好調だった。売上高の内訳は二次診療サービスが前期比12.5%増の2,917百万円、画像診断サービスが同14.1%増の539百万円、健康管理機器レンタル・販売サービスが同4.0%増の806百万円だった。二次診療サービスでは大阪病院の開院が寄与しただけでなく、既存病院においてもおおむね順調に推移した。主要KPIとして、全国の連携病院数は同6.1%増加して4,439施設、二次診療サービスの初診件数(紹介件数)は同8.5%増加して8,265件となった。いずれも過去最高だった。2024年3月期は減益だったが、これは一時的費用の増加が主たる要因であり、売上面が順調に拡大していることを勘案すれば、特に懸念材料にはならないと弊社では考えている。

2. 2025年3月期は大幅増収増益予想
2025年3月期の連結業績予想は売上高が前期比12.9%増の4,820百万円、営業利益が同25.8%増の625百万円、経常利益が同27.6%増の625百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同30.5%増の440百万円としている。売上面は、一次診療施設との連携強化などにより初診件数の増加を図ることで大幅増収を見込んでいる。利益面は、積極的な人員採用等に伴い人件費が増加するほか、業務委託費や減価償却費などの増加を見込むが、増収効果で吸収し、前期の一時的費用の影響一巡なども寄与して大幅増益予想としている。収益の前提となる連携病院数及び初診件数が増加基調であり、関西エリアにおける大阪病院の認知度向上効果なども勘案すれば、会社予想に上振れの可能性があるだろうと弊社では考えている。

3. 総合動物病院としての強みや知名度向上効果などを評価
ペット市場及び動物高度医療の市場環境は良好であり、市場拡大余地も大きい。同社については、高度な医療サービスを提供できる総合動物病院としての強みに加えて、2024年3月期に初配当を実施したことも弊社では高く評価している。また、東京・名古屋・大阪の各エリアにおいて強固な連携病院ネットワークを構築していることから、新病院の開院時だけでなく、さらなる知名度向上効果などによって既存病院においても売上拡大基調が期待できると弊社では考えている。したがって今後は、新たな成長ステージに向けて新規病院開院計画のみならず、一次診療施設を多方面からサポートするサービスによるグループシナジーの進捗などにも注目したい。

■Key Points
・ペット(犬・猫)向け高度医療専門の総合動物病院
・2024年3月期は一時的費用増加で減益だが、売上高は過去最高と順調
・2025年3月期は大幅増収増益予想
・動物医療の「総合企業」を目指す
・総合動物病院としての強みや知名度向上効果などを評価

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《SO》

 提供:フィスコ

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