【特集】No.1 Research Memo(6):販路開拓や新たな事業領域への進出など事業拡大及び構造改革に向けた動きが活発化
No.1 <日足> 「株探」多機能チャートより
■No.1<3562>の主なトピックス
1. ハイパーとの資本業務提携による販路開拓
2024年3月14日付で企業向けクラウド運用保守サービス「デジテラス」やWebソリューションを提供する子会社であるNDSと、ITサービス事業とアスクルエージェント事業などを展開するハイパー<3054>との第三者割当増資を伴う資本業務提携を公表した※。ハイパーとはこれまでも連携を図ってきたが、さらなるシナジー創出が見込めるとの意見が合致したことで本件に至った。特にNDSが提供する「デジテラス」やWebソリューションは、ハイパーがターゲットとする中規模企業層(社員数100人規模)との親和性が高く、新たな顧客層の開拓に大きな狙いがある。
※ハイパーに対してNDSの普通株式3,000株を割り当てた(資金調達額は30百万円)。本件後のハイパーによるNDS株式の保有比率は30%となる(同社の保有比率は65%)。
2. M&Aによる成長(戦略)分野への積極投資
2024年4月24日付で、同社及びアレクソンがSES事業※・ソフト開発受託を手掛けるOZ MODEとアイ・ティ・エンジニアリングをそれぞれ子会社化し、新規事業としてSES事業への進出を決定した。後述する新中期経営計画の重点戦略に沿った「新たな事業領域」への第一弾の投資であり、成長領域への参入を図るものである。
※システムエンジニアリングサービス事業の略。ソフトウェアやシステムの開発・保守・運用などの業務の継続に必要なエンジニア(技術者)を、必要な期間提供するサービスのこと。
(1) OZ MODEの概要
半導体製造装置業、旅行業、医療といったIT開発需要の高い領域を主要顧客に持ち、約30名のエンジニアをSESとして派遣している※1。簡易株式交換により2024年6月に子会社化を予定※2。1) SES事業への参入、2) デジタル人財の確保、育成、3) システム開発機能の取り込み、4) 同社従業員のリスキリング、5) 同社基幹システムの開発・保守・運用業務の内製化などに狙いがある。
※1 直近期(2023年3月期)の業績は、売上高が484百万円、営業利益が25百万円。
※2 交付株式数は319,200株。
(2) アイ・ティ・エンジニリングの概要
近年、ニーズの高いPython※1などの高スキルを保有し経験年数15年以上のエンジニアを有している。アレクソンによる株式取得(完全子会社化)により2024年4月にグループインした※2。SES事業に関するノウハウの獲得とともに、相手先の顧客基盤へのアプローチにもメリットがある。
※1 汎用性が高く、理解しやすい、初心者にも扱いやすいプログラミング言語。オープンソースで開発されており、多くのプラットフォームで利用されている。
※2 直近期(2023年9月期)の業績は、売上高が103百万円、営業利益が13百万円。取得価額は非開示。
3. グロースパートナーズとのハンズオン業務提携を締結
2024年4月24日付で、豊富な経営コンサルティング実績を持つ古川徳厚氏が代表を務めるグロースパートナーズ(株)と業務資本提携契約を締結した。1) 既存事業の競争力向上、2) 新規商品・サービスの開発支援、3) M&Aの紹介・交渉支援、4) 人財採用・IRのアドバイスなど、投資家の視点を踏まえたハンズオン型※1の支援を受けることにより同社の企業価値向上を目指す。同社は、グロースパートナーズに第三者割当により新株式31,900株、新株予約権3,808個(第10回1,808個、第11回2,000個)を2024年5月10日に割り当てた※2。
※1 経営に深く踏み込んだ支援のこと。
※2 新株式による資金調達額は約30百万円、新株予約権の発行価額は約2.5百万円。また、新株予約権が当初行使価額ですべて行使された場合の資金調達額は約472百万円に上る。なお、行使価額は第10回が940円、第11回が1,500円。行使請求期間は第10回が2026年5月11日から2030年5月10日まで、第11回が2028年5月11日から2030年5月10日まで。調達資金のほとんどはM&Aに活用する予定としている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
《SO》
提供:フィスコ