【市況】米利下げ観測の後退や地政学リスクが警戒され39000円を割り込む【クロージング】
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
5日の日経平均は大幅反落。781.06円安の38992.08円(出来高概算18億2000万株)と3月15日以来約3週間ぶりに39000円を割り込んで取引を終えた。前日の米国市場で早期の利下げ観測が後退したことや中東情勢に対する警戒感も加わり、リスク回避の動きが強まった。日経平均は39237.39円と大幅安で始まり、前場終盤にかけては38774.24円まで下押しした。ただ、心理的な節目の39000円を割り込む水準では押し目を拾う動きがみられたほか、米国で5日に発表される雇用統計の結果も見極めたいと考える向きも多く、次第に模様眺めムードが広がり、38900円前後と日中の安値圏でもみ合っていた。
東証プライムの騰落銘柄は、値下がり銘柄数が1000を超え、全体の約6割を占めた。セクター別では、繊維製品、陸運、石油石炭など8業種が上昇。一方、精密機器、証券商品先物、電気機器、機械など25業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、エーザイ<4523>、TOTO<5332>、キッコーマン<2801>、花王<4452>がしっかりだった半面、東エレク<8035>、ファーストリテ<9983>、アドバンテス<6857>、ソフトバンクG<9984>、信越化<4063>が軟調だった。
前日の米国市場では、主要株価指数が下落した。ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁が「インフレ率が横ばいで推移し続けるなら、利下げを行う必要があるのか疑問視される」と発言したことが早期利下げ観測の後退につながったほか、イランがシリアにおけるイラン大使館の攻撃への報復を行うとの宣言が地政学リスクの高まりを誘発させ、リスクオフの動きが強まった。東京市場でもこの流れが波及し、取引開始直後から広範な銘柄に売りが先行。日経平均下げ幅は一時1000円に迫る場面があった。また、円相場が一時150円台へと円安が一服したことが輸出採算の悪化につながった。
日経平均は下落したが、需給悪化の最悪期は脱しつつあるとの指摘もある。新年度入りとなった今週は期初の益出し売りに見舞われたほか、中東情勢の緊迫化、米利下げ観測の後退などが重なったためだ。機関投資家の益出し売りはほぼ峠を越えたとみていいだろう。また、原油価格の上昇によるインフレ再加速への懸念も10日に予定される米消費者物価指数(CPI)が前月との比較で鈍化が想定されており、インフレ懸念も落ち着きを取り戻すきっかけになるとの見方もある。
《CS》
提供:フィスコ