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【市況】ソフトランディングを期待している投資家は失望感を味わうことになるとの指摘

 きょうのNY株式市場でダウ平均、ナスダックとも反落している。中東情勢の緊迫化でリスク回避の雰囲気が広がっている模様。本日はコロンブスデーで米連邦法では祝日であることから、米国債の取引が停止している。ただ、原油相場が急上昇していることから、利回りは上昇している可能性もあり、IT・ハイテク株中心に売りが先行している。

 先週は米雇用統計で非農業部門雇用者数(NFP)が予想を大きく上回る大幅増が記録されたにもかかわらず、米株式市場は買戻しが優勢となった。平均時給が落ち着いていたほか、失業率が上昇したことに着目し、市場ではFRBの追加利上げ期待が高まっていない。短期金融市場では11月FOMCでの据え置きの確率を85%、12月FOMCまででは74%で織り込む動きを見せている。

 ただ、エコノミストからは、FRBが米経済をソフトランディングさせると期待している投資家は失望感を味わうことになるだろうとの見通しも出ている。銀行のバランスシートは金利上昇により歪みを見せ、米10年債利回りは5%台に達する可能性も高く、退職貯蓄が株離れを引き起こす可能性があるという。

 「FRBはいつものように、何かが壊れるまで利上げを続けるだろう。そして、現在の金利は何かが壊れる可能性があるところまで来ている」と述べている。

 銀行が保有する債券の時価評価損の拡大は、金融システムの潜在的な亀裂を探す際の簡単な方法である。一方、高齢化が進む米国にとって高利回りはますます魅力的に映り、それは資産の債券シフトを促し、過去30年のトレンドを逆転させる可能性があるという。それは株式の急落が起こる可能性を意味する。

 市場の歴史には、急激な金利上昇によって引き起こされた突然のショックの傷跡が残っている。20年以上前のITバブルを終わらせたニューエコノミーの崩壊や、サブプライムローンの崩壊に続く、世界的な金融危機に伴うものだった。

 現在の米国債の売り越し(利回り上昇)は、すでに金利上昇に脆弱性を見せている株式市場の一角に圧力を加えているほか、3月にSVBが破綻したのも、金利上昇によって保有債券の価値が低下し、米地銀の危機に拍車をかけたからだという。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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