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【材料】アップル、明日のイベントが懸念をどの程度払拭するか注目も=米国株個別

 きょうもアップル<AAPL>は売買が交錯している。市場は明日の同社のイベントに注目している。毎年秋に開催される恒例のイベントだが、今年は「Wonder lust(不思議な欲望)」と名付けられ、新型の「アイフォーン15」のほか、スマートウオッチやワイヤレスイヤホン「AirPods」の最新モデルも発表される見通しだ。
 
 アイフォーンに関する最も注目すべき変更点は、同社独自のライトニング・コネクタから、広く使用されているUSB-C標準ポートへの移行とも言われている。また、Proモデルでは、バッテリー寿命を延ばし、USB-Cのデータ転送速度を速め、縁をより薄くするなどして、標準モデルとの差別化をさらに進める。カスタマイズ可能なアクションボタンと、より高速なチップも搭載されると見られている。

 同社は今回も高価格路線を打ち出し、最上位モデルの価格はさらなる上昇も予想されている。チタンフレームや新しいカメラセンサー、追加ストレージなど、より高価な部品を採用することで、ユーザーの高級路線への満足度を得ようとするものと見られている。潜望鏡レンズを使いより広範囲の光学ズーム機能を提供。これにより、ハードウエアレンズによる対象物のズーム能力を3倍から約6倍に倍増させる。

 同社は2016年にアイフォーンの販売台数が年2億台余りで頭打ちし始めた際に、高級化路線への変更で売上高の増収を図った。その戦略が奏功し、販売台数は過去7年ほど停滞したままだが、売上高はその間に約700億ドル伸びている。

 ただし、今回は従来とマクロ環境が違う。FRBのタカ派姿勢から消費者のセンチメントが徐々に悪化しており、特に同社のような消費者向けハイテク企業にとって、金利上昇は不利な状況。米消費者の裁量消費へのモメンタムがこれまで以上に低下が報告されている中で、アイフォーンのハイエンドモデルがどれだけの消費者に受け入れられるのか疑問視する声も出ている。

 また、同社にとって売上高の約5分の1を占める中国市場も懸念材料となっている。中国経済自体の低迷はもちろんのこと、同国政府機関での使用制限のニュースも流れる中で、中国での販売がこれまでのようには行かないとの指摘も少なくない。さらにファーウェイとの競争も意識されており、ファーウェイが中国市場でアップルから1000万台を獲得した場合、1株利益に0.11ドルの逆風が吹く可能性があるとの指摘も出ている。

 そのような中で、それらの懸念を明日のイベントがどの程度払しょくしてくれるか注目される。

(NY時間09:53)
アップル<AAPL> 177.96(-0.22 -0.12%)

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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