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【特集】大谷正之氏【上昇続く日経平均、3万3000円は通過点か】(2) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―8月の夏枯れ相場返上で思惑募る9月相場の展望は―

 4日の東京株式市場は買いが優勢、日経平均株価は6日続伸と気を吐いた。注目された8月の米雇用統計は労働需給の緩和を示す内容で、FRBの追加利上げに対する警戒感が和らいだ。ただ、NYダウは上昇したものの朝高後に値を消す場面もあり、ナスダック総合株価指数は小幅ながら終値でマイナスとなった。9月相場の見通しは分かれるところだが、ここからの全体相場の動向をどう読むか、第一線で活躍する市場関係者2人に見解を聞いた。

●「日経平均株価に上放れ期待高まる、下げの倍返しも」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 1日に発表された米8月雇用統計は、労働需給の緩和を示すものとなり、米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ見送りを期待させる内容だった。まだ米8月消費者物価指数(CPI)など幾つかの指標を確かめる必要があるが、これまで進めてきた米国の利上げの影響が表面化し始めたようにみえる。

 すでにTOPIXは33年ぶりの高値圏に上昇し調整は一巡している。ただ、日経平均株価でみた場合、調整は終了したとはまだいえない。調整の一巡には7月3日の高値3万3762円と8月1日の高値3万3488円を結んだ上値抵抗ラインを抜く必要がある。同ラインを突破するには3万3130円前後の水準まで日経平均株価が上昇することが求められる。株式相場は6月高値からのもみ合いが3ヵ月近くに及んだことから日柄調整は十分であり、そろそろ相場は上放れの局面に入ってもいい頃だろう。

 日経平均株価の今後の上値の見通しとしては、8月の高値3万3488円から同月安値3万1275円までの押しの倍返しが3万5700円前後となる。年末から年明けまでも視野に入れれば、この倍返しの水準までの上昇も期待できそうだ。

 当面はメインの物色対象はバリュー株だろう。ただ、半導体関連などのグロース株も押し目は拾い場となりそうだ。連結PBR1倍割れや配当利回り3%超といった銘柄への人気が続くだろう。三菱商事 <8058> [東証P]など商社株や三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> [東証P]など銀行株、日本郵船 <9101> [東証P]のような海運株、日本製鉄 <5401> [東証P]といった鉄鋼株などの活躍が期待される。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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