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【市況】ESG最前線レポート ─「取締役会に求められるダイバーシティ」

株式会社グッドバンカー リサーチチーム 倉橋 麻生

第21回 「取締役会に求められるダイバーシティ」

●政府が新目標を発表

 政府は6月5日、男女共同参画会議を開催し、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)」の原案を発表しました。そこには、東京証券取引所のプライム市場に上場する企業の女性役員の比率を2030年までに30%以上にするという目標が掲げられています。

 2022年7月時点では、プライム市場の上場企業のうち、女性役員がゼロの企業は18.7%、目標としている30%を超える企業は2.2%にとどまっています。まずは、2025年を目途に女性役員を最低一人登用するよう促し、目標を達成するための行動計画をつくるよう推奨しています。

 同時に、優良なスタートアップ企業に占める女性起業家を2033年までの10年で20%にする新目標も設けました。

●機関投資家がダイバーシティ推進への働きかけを強化

 昨年6月のESG最前線レポート(「多様性と企業価値」)では、国内の機関投資家が、女性取締役のいない投資先企業に対し、取締役選任案などの総会議案に反対することを議決権行使基準に盛り込む動きが広がっていることを紹介しました。

 その中で、2023年2月からアメリカの議決権行使助言会社がその方針や基準に取締役会の多様性を重視する基準や方針の導入、厳格化に取り組む予定であると述べました。実際に、米議決権行使助言会社のグラスルイス(Glass Lewis)は、2023年2月以降に開催される株主総会から、プライム市場の上場企業については少なくとも10%以上の性別の多様性がない取締役会の場合、取締役会議長または指名委員会委員長に対して反対助言を行うことを「2023年助言方針改定」に盛り込みました。

 同社は上記基準を満たさない場合でも、ダイバーシティ促進に関する開示情報の中で十分な説明や改善計画などが確認できれば、反対助言を控えることもあるとしていますが、2024年2月以降に開催される株主総会からはこの例外条項もなくすとしており、さらに厳格化される見込みです。

 このような状況の中、「6月に株主総会を開く企業で、株主から提案を受けたのは82社と過去最高になったことがわかった」(日本経済新聞6月3日付)と報じられています。

●ESGは企業経営の必須条件に

 女性の活躍推進をはじめとして、ダイバーシティへの取り組みは、これまでESGの取り組みの一つとして注目されてきました。そして、企業もESG投資の対象として評価され、女性活躍を推進している優良な企業を認定する「えるぼし」や子育て支援に積極的な企業を認定する「くるみん」など、行政からの評価を得るために努力してきました。

 しかし、昨今はより厳しい条件となり、上場を維持して企業が存続するための必須条件となってきています。持続可能な取締役会にはダイバーシティが必須であり、それは企業の持続可能性と競争力につながると評価されているのです。

 今後は、個人投資家としてもさらにESGの知識を深めることが必要になってきていると言えるのではないでしょうか。そのため、ESGに特化して調査・評価した企業群を対象とする投資信託への注目が高まると見られます。

情報提供:株式会社グッドバンカー

(2023年6月22日 記/次回は7月29日配信予定)

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