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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「ほしかったスピード調整」

株式評論家 富田隆弥

◆33年ぶりの高値圏に突入した日経平均株価。テクニカル指標が過熱を強める中、5月22日まで8日続伸し、23日は反落したものの3万1352円まで高値を伸ばした。さすがにその後は3万0558円(25日時点)まで下げているが、これはほしかったスピード調整である。

◆11日安値の2万9028円から23日高値まで8日間で2324円幅(+8%)も上げてきただけに、日足チャートで3分の1押し(3万0577円)や半値押し(3万0190円)程度は通常のスピード調整の範囲内と言える。また、1~2週間の日柄調整になれば、25日移動平均線(25日時点2万9440円)に近づくケースもあるだろう。

◆ただし、2021年に付けたダブルトップ高値の3万0700円台を突破した週足チャートは強い。強い相場の場合、軽い調整を挟んですぐまた上値追いに走ることは珍しくない。25日に付けた安値3万0558円はちょうど「3分の1押し」水準であり、早ければここを下値に切り返してもおかしくない。

為替(ドル円)は139円70銭台(25日時点)へと円安を進めている。137円台の節を抜いて円安に振れるチャートは140円台突入から150円台を目指してもおかしくなく、そうなれば日本株には心強い追い風となる。

◆大きな流れの月足チャートを見ると、日経平均株価は2021年から2万5000円~3万円のもみ合いを2年以上続けた。今回の上昇はそのもみ合いからの上放れであり、「大きな変化」を示唆したものと言える。月足チャートで5000円幅のレンジ移行では「3万5000円」、そしてあの1989年の過去最高値「3万8957円」を視野に入れる展開も否めなくなってきた。

◆一方、米国では債務上限問題のリミット「6月1日」が迫る。最終的に与野党が合意してデフォルトを回避すると見ているが、注視が怠れないことは間違いない。また、米国は債務上限問題だけでなく、地銀の信用不安、銀行の融資基準の厳格化などの懸念材料も抱えており、NYダウは24日時点で4日続落(3万2799ドル)と軟調な地合いが続く。目先的にはこの米国の動向を注視する必要があるが、波乱がなければ日本株は3万円台で上昇基調が続くと見ておきたい。

(5月25日 記、次回更新は6月3日を予定)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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