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【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:米債務上限問題の行方、米FOMC議事録、米PCEコアデフレーター

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■株式相場見通し

予想レンジ:上限31500円-下限29500円

来週の東京株式市場は上昇一服か。日経平均の上昇が止まらない。5月限オプション取引特別清算指数(SQ)算出を通過したほか、決算発表も一巡し、手掛かり材料難のなかでの躍進劇であり、これには舌を巻かざるを得ない。背景としては東証によるPBR改善要請や米著名投資家バフェット氏の追加投資表明、新日銀体制下での追加緩和継続などがある。足元の日本株の世界株に対するアウトパフォームは鮮明で、日本株の持たざるリスクを意識せざるを得ないとの指摘もある。


しかし、上昇ペースはスピード違反級で、バブル崩壊後の高値更新によりさすがに達成感もより強く意識される。また、今週半ば以降は東証プライム市場の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数がほぼ拮抗するなか、値がさ株など指数寄与度上位の銘柄の上昇が指数をけん引しており、それまでの現物主体の動きから先物主導の動きに変化しつつあることも気掛かり。実際、18日から先物の取引高は急増している。現物買いの一服も想定されるなか、目先は大幅調整とまでは言わずとも小休止を想定しておいた方がよいだろう。


楽観的な見方が広がりはじめていた米連邦政府の債務上限問題についても、週末には交渉が一時停止され、合意には程遠い状況が伝えられている。欧米外資証券などは、米財務省が法定の連邦債務上限のもとで、6月上旬ころには現金と特別措置の能力を使い切る可能性があると指摘している。「Xデー」が近づくなか、債務上限交渉の進展が遅々としたままであれば、相場のボラティリティーは高まろう。その際には、リスク回避の円買いが日本株の調整要因として働くことも考えられる。


一方、今週末のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の発言は安心感を誘う。今週は連銀総裁から利下げはおろか、追加利上げを示唆する発言が相次ぎ、前回の5月会合での利上げ停止を見込んでいた市場は期待の修正を迫られていた。ただ、パウエル議長は銀行の貸し渋りなど信用収縮がもたらす金融引き締め効果を指摘し、6月会合の利上げ停止を示唆した。6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)が近づくなか、市場の波乱材料が一つ取り除かれたことはサポート材料となろう。


来週は23日に米5月購買担当者景気指数(PMI)が発表される。今週発表された米経済指標は総じて底堅く、経済のソフトランディング期待が高まっている。PMIは経済指標の中でも先行性が高く注目度も高い。今回の結果が予想を下回れば、パウエル議長の発言ですでに追加利上げ観測が後退しているなか、予想比下振れは景気後退懸念の再燃につながり得る。


ほか、米国では24日にFOMC議事録(5月2-3日開催)が公表され、26日には米4月個人消費支出(PCE)コアデフレーターが発表される。議事録で改めてFRBの利上げ停止スタンスへの傾きが確認されれば株式市場のサポート要因となろう。また、これまでの物価指標が総じて予想を下回っていたことを踏まえれば、米4月PCEコアデフレーターもマイルドな結果が予想され、その場合は翌週以降のグロース(成長)株の支援材料となろう。


24日に発表されるエヌビディアの決算も重要だ。年後半の半導体市況の底入れや生成AI(人工知能)需要への期待を背景に同社株価は上昇トレンドを形成している。ただ、株価は2022年10月安値からすでに3倍近い水準にまで上昇し、21年11月高値を窺う展開となっている。日本の半導体企業でもアドバンテスト<6857>やディスコ<6146>は上場来高値圏にある。これまで半導体を中心としたハイテク株が指数をけん引してきただけに、エヌビディアの決算を機に一段高となるか、利食い売りが強まるかは今後の市況全体のムードも左右しよう。


■為替市場見通し


来週のドル・円はもみ合いか。連邦債務上限引き上げへの期待や日米金利差の拡大を受けて140円近辺を目指すか、それとも利益確定売りに押され失速するかを見極める展開となりそうだ。米国のインフレ率がすみやかに低下する可能性は低いため、連邦準備制度理事会(FRB)はインフレ抑止の方針を堅持している。ただし、連邦債務上限を巡る協議は一時中断しており、パウエルFRB議長は追加利上げの必要性を示唆していないため、リスク選好的なドル買い・円売りは一服した。年内利下げ観測は大幅に後退しているものの、米長期金利の上昇につながる新たな材料が提供されない場合、ドルは伸び悩む可能性がある。


今月2-3日に開催された連邦準備制度理事会(FRB)の声明などから目先の利上げ休止の可能性が浮上し、ドル売りに振れる場面もあった。ただ、米国インフレ率は3%超の水準を長期間維持するとの見方が依然として多いようだ。連邦債務上限引き上げを巡る政府と議会の協議が進展した場合、次回6月13-14日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で追加利上げが決定される可能性は再び高まり、リスク選好的なドル買い・円売りが強まりそうだ。


■来週の注目スケジュール

5月22日(月):日・コア機械受注(3月)、中・1年物/5年物ローンプライムレート(LPR)、米・セントルイス連銀総裁が講演、米・リッチモンド連銀総裁とアトランタ連銀総裁がリッチモンド連銀主催の会合で討論、など

5月23日(火):日・欧・英・米・製造業/サービス業PMIPMI(5月)、日・全国百貨店売上高(4月)、米・新築住宅販売件数(4月)、米・ダラス連銀総裁が歓迎のあいさつ (リッチモンド連銀主催の会合2日目)など

5月24日(水):日・工作機械受注(4月)、英・消費者物価コア指数(4月)、独・IFO企業景況感指数(5月)、米・連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(5月2-3日会合分)、NZ・ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、など

5月25日(木):トルコ・中央銀行が政策金利発表、米・GDP改定値(1-3月)、米・中古住宅販売成約指数(4月)、南ア・南アフリカ準備銀行(中央銀行)が政策金利発表、など

5月26日(金):日・東京CPI(5月)、米・耐久財受注(4月)、米・個人消費支出(PCE)価格コア指数(4月)、米・ミシガン大学消費者マインド指数(5月)、など

《YN》

 提供:フィスコ

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