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【市況】米国株式市場見通し:債務上限問題の行方やFOMC議事要旨に注目


 

債務上限交渉の行方に注目だ。マッカーシー下院議長は早くて週末に基本合意、来週にも議会での討論が可能と楽観視していたものの、政府の歩みよりが見られずに交渉を中断。バイデン大統領はアジア歴訪を短縮、週末に帰国する。交渉が難航した場合は、債務不履行懸念が上値を抑制することになりそうだ。来週の間に交渉妥結にこぎつけられれば相場のプラス要因になるだろうが、金融混乱の行方なども依然不透明で、リスクになりそうだ。週後半は、メモリアルデーの連休を控えていることもあり調整が強まりそうだ。

また、FRBが公表する連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(5月2-3日開催)やFRBがインフレ指標として注目しているPCEコアデフレーターにも注目だ。議事要旨は6月FOMCでの金融政策を判断する上で参考材料になる。FRBはこの会合で0.25ポイントの追加利上げに踏み切った。地銀破綻をきっかけにした金融混乱のなか、システム全体への影響は限定的との見方に基づき、インフレ制御を優先した。同時に、今後利上げを停止する選択肢を残した。4月PCEコアデフレーターは横ばい予想でインフレの遅い鈍化が確認されると相場の上昇が妨げられる。しかし、想定外に鈍化が確認できれば追加利上げ観測が後退し相場を押し上げるだろう。

週次失業保険申請件数は特に増加が見られず、失業率も過去50年間で最低水準を維持するなど、労働市場の逼迫が緩和する兆候はあまり見られない。さらに、インフレもピークに達したものの、改善ペースは遅い。長期期待インフレ率は逆に上昇が見られ、6月FOMCでの利上げも完全には除外されていない。FRB高官の追加利上げへの意見も分かれているようだ。

数名の高官は1980年以降で最も急速な金融引き締めによる経済や金融への影響を見極める必要があると主張している。パウエル議長も信用ストレスを考えると、それほど高く金利を引き上げる必要がないかもしれないと追加利上げには慎重で、夏にかけて利上げが中断される可能性もある。一方、インフレが高過ぎで、まだ十分な金融引き締め域ではないと追加利上げを支持する高官もいる。強い経済指標をきっかけに追加利上げ観測がくすぶると売り材料になりそうだが、値ごろ感からのハイテク関連株の買いが下支えとなろう。

経済指標では、5月製造業・サービス業PMI速報、4月新築住宅販売件数、5月リッチモンド連銀製造業指数(23日)、4月シカゴ連銀全米活動指数、週次失業保険申請件数、1-3月期国内総生産(GDP)改定値、4月中古住宅販売仮契約(25日)、4月個人所得・支出、PCEコアデフレーター、4月卸売在庫速報、4月耐久財受注速報、5月ミシガン大消費者信頼感指数確定値(26日)、などが予定されている。また、FRBは24日にFOMC議事録(5月開催分)を公表する。

主要企業決算では、小売り関連でホームセンターのロウズ(23日)、会員制倉庫型販売・小売り会社のコストコホールセール、ディスカウント小売りのダラー・ツリー、化粧品小売りチェーンのアルタ・ビューティ(25日)、そのほか、ソフトウェア・ソリューションのスノーフレーク、半導体のエヌビディア(24日)、給与などのクラウド・アプリケーションを手掛けるワークデー(25日)などが予定されている。エヌビディアは人工知能絡みの商品の強い需要を背景とした好決算に期待が高まっている。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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