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【経済】【クラウドファンディング】難病治療実現へ! 幹細胞ソーティング装置「FENIX」のアライドフロー、1月30日募集開始

 「細胞治療」関連の最新技術の研究・開発を手がけるアライドフロー株式会社(兵庫県西宮市)が、株式投資型クラウドファンディング(新株予約権型)による出資を募集します。申し込みは1月30日19時30分開始を予定しています。

・ 新株予約権型
・ 目標募集額:1251万円、上限募集額:5004万円
・ VC出資実績あり
・ 2回目(1回目は4941万円調達)
・ 類似上場企業:サンバイオ、ヘリオス、ステムリム、セルソース、サイフューズ、ステムセル研究所

医療のほか、美容分野でも注目の「細胞治療」

 アライドフローは「細胞治療」の周辺に関する最新技術の研究・開発を手がけるベンチャー企業です。現在は主に、細胞治療の発展に欠かせない、幹細胞のソーティング(選別)装置「FENIX(フェニックス)」の開発を行っています。

 「FENIX」は、従来の高速ソーティング装置では難しかった、無菌状態を保ちながら特定の細胞のみ高純度・高速・高生存率・高増殖率で選別できる次世代セルソーターだといいます。

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(出典:FUNDINNO)

 同社は、さまざまな組織や臓器になれる細胞である「幹細胞(自己複製能とさまざまな細胞に分化する能力を持つ細胞)」を利用して、事故や病気で損傷した部位に移植して組織の生成を促したり、糖尿病のような完治が困難な病気の根本的な治癒を目指したりする「細胞治療」に着目しています。

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(出典:FUNDINNO)

 最近は美容分野で、肌のシワやたるみの原因の改善や、頭髪や歯の再生のために、基礎研究段階ながら、細胞治療(再生医療)が活用されており、私たちに身近な存在になりつつあるそうです。

 同社によると、細胞治療の普及に必要不可欠なのが、幹細胞を安全かつ効率的に量産できる環境であり、細胞治療の有効性・安全性・生産性を向上させるためには、細胞の中でも有効で、生産性の高い幹細胞のみをスピーディーに摘出する必要があります。

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(出典:FUNDINNO)

 同社は、細胞治療に使用できる、有効で生産性の高い幹細胞のみを安全な無菌状態で、かつ高速にソーティングできる装置「FENIX」を2021年に開発。また、同装置に備えた技術について日米で特許を6件出願し、うち3件を取得、昨年末に新たに1件出願しています。

 2022年2月からは、大学や研究所などで細胞から幹細胞を精製する研究用と、無菌室装置をセットにして、安全性を高めた治療細胞製造用の2種類の装置を販売。コロナ禍でデモ実施が延期になり、「FENIX」は成約に至っていないものの、2022年に4社でデモ稼働を実施しており、2023年度は2台の販売を計画しています。

 「今後、弊社のセルソーター『FENIX』が日本、そして世界で広く使われるようになることで、細胞治療のさらなる発展に貢献できると期待しています」(同社)



前回からの進捗

 第1回募集時は「FENIX」を2021年下期から販売する計画でしたが、コロナ禍の影響でテストの実施が遅れ、2022年2月に販売を開始したため、2022年11月期は「FENIX」の売上が計上されず、海外企業向けの電気処理ユニットの製造による売上高が主となっています。

 コロナ禍が落ち着いてきたことで、2022年からデモを実施しており、2023年度は2台の販売を計画しているそうです。

 ソーティング時の生存率や増殖性について、より高度な達成数値の要望があったことから、「FENIX」は第1回募集時における完成版から技術的に進歩しており、第1回募集時の開発計画であった「FENIXⅡ」改善開発計画を約2年前倒しし、約半年で実現できたとしています。

 改良機は、以前より、機器の低周波騒音が大幅に抑えられ、ソート速度も向上。さらには、ソート方式を改良したことで細胞生存率が約90%まで向上し、細胞の回収率も約98%へアップしています。廃液系の部品も交換可能にし、機械操作を全自動にしたことでセットアップの効率化も実現。このアップデートにより、新たに特許1件を申請しています。

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(出典:FUNDINNO)

 現在、全ラインナップのベースとなる研究用セルソーターと、そこに無菌室(グレードB)、または無菌室(グレードC・D)の機能を備えた無菌室装置をセットにして安全性を高めた治療細胞製造用セルソーターのラインナップを実用化しており、今後、より多様なニーズに応えられる体制を整えていきたい考えです。

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(出典:FUNDINNO)

「細胞治療」にはさまざまな課題がある

 同社は「細胞治療」について、軟骨や心臓などの細胞をシート状に培養してから患者に移植し、治療をするなどの医療分野のほか、糖尿病や毛髪・歯などさまざまな分野への応用が期待されている革新的な医療技術ではあるものの、細胞治療技術は発展途中であり、産業化までにはまだ多くの課題が残っていると考えています。

 それらの課題の中で同社が注視しているのが、細胞製造の工程の一つである、有効な幹細胞を摘出する工程の効率化です。

 細胞治療に必要な幹細胞を検体から採取して、顕微鏡でのぞくと、そこには何種類もの細胞が混在しており、取得された細胞はそれぞれ、大きさや表面・内部構造などの性質の違いがあるといいます。

 そのため、有効性の高い治療をするには、目的の有効な細胞だけを高純度、高速で分取し、それを無菌状態で操作する必要があるそうです。

 現在、それらの作業はセルプロセッシングセンター(CPC:無菌室)に設置された装置(無菌セルソーター)で行われていますが、セルソーターの機種によって、摘出する時間も質も異なり、セルソーター内部で菌が発生したり、患者間の細胞が混入したりする可能性もあるそうです。

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(出典:FUNDINNO)

 現状の装置は、(a)無菌性はあるが選別速度や性能が劣る装置(b)選別速度や性能は高いが、セルソーター内部で菌が発生したり、無菌性が確保できない装置の2つに分類されるといい、再生医療の現場で使用するには、両方を満たすセルソーターが必要だと同社は考えています。

 「無菌性もソート速度・性能も持ち合わせ、なおかつ、生存率やソート後の増殖性も高い細胞選別機能が必要になると弊社は考えます。つまり、安全性(無菌性)と生産性(選別速度が速く、正確に選別し、細胞にダメージを与えない生存率や増殖率)を兼ね備えるセルソーターが求められていると考えます」(同社)

「無菌状態での高速ソーティング」を可能に

 上記の課題を解決するため、同社は、無菌状態を保ちながら特定の細胞のみを高純度・高速・高生存率・高増殖率で選別できるセルソーター「FENIX」を開発しています。

 セルソーター本体は除染できる設計とし、細胞やシース(細胞を実際に包み込んで搬送するための溶液)の送液・廃液系は全てシングルユースとすることで、他製品で実現が難しかった「無菌状態での高速ソーティング」が可能となり、従来の約1/5の時間でソーティングできるようになったといいます(同社調査)。

 「FENIX」は既存の細胞培養アイソレーター(完全無菌空間で細胞培養できる装置)と連結も可能で、完全無菌環境下「グレードA」での細胞の全製造もできるそうです。

 さらに、多くの研究者を悩ませてきたという、ソーティング中のノズル詰まりを監視し、詰まりを検知したら、自動的に除去・復旧させる機能も搭載。「革新的な機能を多く持つ『FENIX』を用いれば、細胞治療の実用化・産業化の実現に大きく近づけると考えています」(同社)。

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(出典:FUNDINNO)

直接の除染、部品交換、想定価格に強み

 同社は、他社の高速セルソーターは機器を直接除染できない、研究用に特化した装置がほとんどで、将来的に細胞治療の実用化に耐えうる製品はまだ開発されていないと見ています。

 「FENIX」は過酸化水素などによる直接の除染、送液や廃液部品の全交換が可能で、また、ソート方式を改良したことで細胞の回収率や生存率、増殖率が大幅に向上しており、機械操作を全自動にしたことで効率化も実現しているそうです。

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(出典:FUNDINNO)

 販売価格は、無菌状態での作業が可能なクリーンボックス型で約3820万円(税別)を想定、本体価格で他社よりも低価格を実現しているといいます(同社調査)。

 同社は2021年末、世界的な医療機器メーカーであるシスメックス <6869> [東証P]と販売委託契約を締結しており、今後は、同社の医療や再生医療業界とのネットワークを活用して、業界各社に広く営業をかけていく計画です。

 また、商品を取り扱う販売代理店を増やし、病院や研究所、大学などに「FENIX」を普及させていきたい考えです。

 なお、「FENIX」は安全に使用するために、摘出する細胞を変えるごとに部品交換が必要で、シングルユース部品(使い捨て交換部品)は設置機器1台当たり、少なくとも約3週間に1度は交換が必要だといいます。

 この交換部品で定期的な売上につながるため、セルソーター単体の売り切り型販売のほか、ストック型の収益モデルを確立することで安定した経営ができるとしています。

今後の成長に向けて

(1)2025年より、中国・欧州への「FENIX」導入を目指す

 同社は国内での普及を目指しつつ、早い段階での海外展開も想定しています。今後、海外へ向けた販売ルートを開拓し、2025年上期に中国、その後、欧米へ展開したい考えです。

 海外展開の実現には「CEマーク」などの輸出認証を取得する必要がありますが、「FENIX」はすでに、手続きを十分にクリアできる段階にあるとしています。

(2)独自ソーティング技術を活用し、酪農分野やバイオマスなどへの多展開も

 同社は強みである微細粒子を光学的に解析する技術を活用すれば、医療分野以外でも幅広い分野へとソーティング技術が応用できると考えています。

 例として、牛の精子を高速で摘出して人工授精を行う技術があり、このような酪農分野への進出はすでに進行中で、EU域内の企業から委託を受けて開発を始めているそうです。

 バイオマス関連でも、地球温暖化防止(カーボンフリー、CO2削減)に貢献するために、オイル生成藻類へ、サイトメトリー(細胞を1個ずつ定量測定する統計的精度の高い細胞測定法)技術を応用する計画です。

 「『FENIX』のようなセルソーターは主に再生医療の分野で開発が進められてきましたが、弊社としては、このようにさまざまな分野に横展開していきたい考えです。こうして経営上のリスクヘッジを図るとともに、世界の技術革新に貢献していきます」(同社)

(3)将来のEXITはバイアウトを想定

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(出典:FUNDINNO)

(4)2029年に年間34台の研究用セルソーターの販売を計画

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(出典:FUNDINNO)

株主構成

 同社は以下のVCなどより出資を受けています。

・TNPスレッズオブライト投資事業有限責任組合
・あましん信金キャピタル投資事業有限責任組合

類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)

・サンバイオ <4592> [東証G]
・ヘリオス <4593> [東証G]
・ステムリム <4599> [東証G]
・セルソース <4880> [東証G]
・サイフューズ <4892> [東証G]
・ステムセル研究所 <7096> [東証G]

発行者・募集情報

■募集新株予約権の発行者の商号及び住所、資本金等
アライドフロー株式会社
兵庫県西宮市戸田町5番30ー1201号
資本金:65,298,000円(2023年1月16日現在)
発行済株式総数:102,016株(同)
発行可能株式総数:1,000,000株
設立日:2016年1月15日
決算日:11月30日

■本新株予約権の発行者の代表者
代表取締役 神田昌彦

■本新株予約権の数(以下の個数を上限とする)
5,004個

■本新株予約権の払込金額
1個あたり 10,000円

■投資金額のコース及び個数
90,000円コース(9個)
180,000円コース(18個)
270,000円コース(27個)
360,000円コース(36個)
450,000円コース(45個)
900,000円コース(90個)
1,800,000円コース(180個)
3,600,000円コース(360個)
7,200,000円コース(720個)
14,400,000円コース(1,440個)
28,800,000円コース(2,880個)
※特定投資家口座以外からの申し込みの場合、450,000円コース(45個)までしか申し込みできない。特定投資家口座からの申し込みの場合、28,800,000円コース(2,880個)を上限とする。

■申込期間
2023年1月30日~2月5日

■目標募集額
12,510,000円(上限募集額 50,040,000円)
※特定投資家口座全体からの申し込みの上限は39,960,000円とする。

■払込期日
2023年3月1日

■資金使途
・目標募集額達成時の資金使途内訳
調達額1,251万円を以下の目的に充てる予定
FENIX最終開発費 175万円
牛精子ソータ開発費 869万円
手数料 206万円

・上限募集額達成時の資金使途内訳
上記に追加し、調達額3,753万円(目標募集額1,251万円と上限募集額5,004万円との差額)を以下の目的に充てる予定
FENIX最終開発費 200万円
牛精子ソータ開発費 1,000万円
CEマーク取得開発費 1,933万円
手数料 619万円

■連絡先
アライドフロー株式会社
電話番号:090-3277-8669
メールアドレス:info-fd@allied-flow.jp

※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、FUNDINNOの下記ページをご覧ください。

【第2回】最新の再生医療機器で細胞治療を変革? 細胞回収率が約98%まで向上。無菌状態による細胞の精製時間を約1/5に短縮する「FENIX」

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