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【市況】国内株式市場見通し:米CPIや米銀決算、国内内需企業決算などに注目

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより

■景気後退を織り込む動き強まる

年末年始の間(12/26-30、1/4-6)、日経平均は週間でそれぞれ140.75円安、120.65円安となった。週足のローソク足は実体の小さい陰線と陽線をそれぞれ形成した。

昨年末は、中国政府が新型コロナ対策として入国者に義務付けてきた隔離措置の撤廃を発表したことなどを支えに週前半は上昇。しかし、世界経済の景気後退懸念が根強い中、上値は重く、週後半は売りが優勢となり、大納会の日経平均は26094.50円で終えた。2022年の年間騰落幅は2697.21円の下落となった。

年明け大発会の日経平均は377.64円安と大きく下落し、26000円割れからスタートした。国際通貨基金(IMF)専務理事による世界経済見通しへの悲観的見解のほか、米国のアップルやテスラの需要・供給動向に対する懸念が投資家心理を悪化させた。一方、週末にかけての5日、6日は103.94円高、153.05円高と上昇。米供給管理協会(ISM)による12月製造業景気指数が2カ月連続で景況感縮小を意味する50割れとなった一方、雇用関連の指標は総じて労働市場の逼迫継続を示唆。米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め長期化と景気後退への懸念を強める内容となったが、年明けにかけて進んでいた為替の円高が一服したことが安心感を誘い、米雇用統計前に売り方の買い戻しが優勢となった。

■内需企業の決算は好反応が予想される

来週の東京株式市場は買い戻し優勢か。米12月雇用統計では非農業部門雇用者数の伸びが22.3万人と市場予想(20.5万人)をやや上回ったが、11月(修正値25.6万人)からは縮小。また、平均時給は前年比+4.6%と市場予想(+5.0%)を下回り、11月(+5.1%)から減速。前月比でも+0.3%と市場予想(+0.4%)を下回り、11月(+0.6%)から減速した。ただ、雇用者数及び平均時給の伸びは共にまだ水準としては高い。また、米11月雇用動態調査(JOLTS)や米12月ADP雇用リポート、米週間新規失業保険申請件数などは軒並み米労働市場の逼迫継続を示唆しているため、今回の結果だけでは、FRBの金融引き締め長期化観測はさほど後退しないだろう。

一方、米12月ISM非製造業(サービス業)景気指数が49.6と景況感縮小を意味する50割れとなり、市場予想(55.0)及び11月(56.5)から大きく低下した。米国債利回りは幅広い年限で大幅に低下し、今週末の米株式市場は大幅反発となっている。

確かに平均時給の伸びの減速と合わせて、ISMサービス業景気指数の50割れは、しつこく残るサービス分野のインフレ沈静化に対する期待を高める点でポジティブだ。しかし、今回の結果については、米国を襲った大寒波による影響が大きいと推察される。項目別では、新規受注が45.2と11月(56.0)から大きく低下し、指数の50割れの主因となった。一方、価格は67.6と11月(70.0)から低下したものの、依然として水準は非常に高い。大寒波の影響が収束し、新規受注が回復すれば、指数も再び50を上回る可能性がある。このため、今回のデータだけでインフレ沈静化への期待を高めすぎることは中長期的には危険が伴うだろう。

他方、米ミネアポリス連銀・カシュカリ総裁や米カンザスシティー連銀・ジョージ総裁がタカ派な姿勢を見せた反面、タカ派として有名な米セントルイス連銀・ブラード総裁はタカ派色をトーンダウンさせるような見解を示した。FRBもタカ派一辺倒というわけではなく、今後、インフレ減速を示すデータが続けば、スタンスの変化が期待されよう。

こうした中、12日には米12月消費者物価指数(CPI)が発表予定だ。食品・エネルギーを除いたコア指数では前年比+5.7%(11月:+6.0%)、前月比+0.3%(11月:+0.2%)と予想されている。米雇用統計などを除けば、すでに年明け以降に発表された一連の米雇用関連の指標やFRB高官のタカ派発言を受けて、インフレ・金融引き締め長期化への警戒は一旦織り込みが進んだと思われる。このため、CPIが予想を大幅にでも上回らない限りは、株式市場は一旦はあく抜け感で買い戻しが進みそうだ。

一方、週末には米国でJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融大手の決算が予定されている。景気後退懸念が強まっている中、JPモルガンのダイモン最高経営責任者(CEO)など各経営陣の実体経済への見解などが注目される。内容を見極めたいとの思惑から、CPI後の買い戻しの機運はさほど高まらないとみる。

他方、国内では、小売やサービス、情報・通信といった内需セクター企業の9-11月期決算の発表が多数ある。国内ではリオープン・インバウンド需要を背景に関連企業の堅調な業績が期待され、世界景気の後退懸念が強まる中、ディフェンシブ性も相まって株価については好反応が出やすいと考える。一方、製造業決算の先駆けとして注目される安川電機<6506>の決算(10日)は受注の鈍化などが警戒され、冴えない株価反応が予想される。

■12月都区部消費者物価指数、米1月ミシガン大消費者信頼感指数など

来週は10日に12月都区部消費者物価指数、11月家計調査、安川電機など決算、11日に11月景気動向指数、ABCマートなど決算、米10年国債入札、12日にファーストリテイリングなど決算、米12月CPI、13日に1月限オプション取引に係る特別清算指数(SQ)算出、米1月ミシガン大学消費者信頼感指数、米JPモルガンなど金融大手決算、などが予定されている。

《FA》

 提供:フィスコ

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