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【特集】プレミアム志向で成長加速、「ペット関連」魅惑の株高ステージへ <株探トップ特集>

コロナ禍でペットを飼う人が増えていることに加え、飼い主のプレミアム志向でペット関連市場は拡大傾向にある。新たに参入する企業もあり、関連銘柄に注目したい。

―コロナ禍で新たにペットを飼う人が増加、関連各社の高付加価値品提案も市場を牽引―

 コロナ禍でペットを飼う人が増えている。ペットフード協会が毎年実施している全国犬猫飼育実態調査によると、コロナ禍前の2019年と比較して20年、21年ともに犬や猫を飼い始めた世帯が増加した。今やペットを大切な家族の一員であるとの考えを持つ人も多くなっており、犬や猫の飼育数は今後も増加しそうだ。

 その一方、6月の改正動物愛護法施行により、販売業者がマイクロチップを装着・登録しないと犬・猫を販売できなくなった。それに伴う販売価格への上乗せに加えて、フードの健康・高級志向なども含め、ペットにかかる費用は右肩上がりになっている。ペット関連市場は更なる成長が期待でき、その裾野も広がりをみせそうだ。

●コロナ禍で増加するペット関連の支出

 ペットやペット用品を購入する場所は多岐にわたるものの、一例としてホームセンターでの品目別の販売動向をみると、販売額は増加傾向にある。

 経済産業省の商業動態統計によると、コロナ禍前の19年が2556億円だったのに対して、20年は2766億円と前年比8.2%の増加。21年も2846億円に増加した。コロナ禍に伴う消費行動の変化もあるが、増加の背景にはコロナ禍でペットを飼う人が増加していることも寄与したとみられている。また、外出自粛のなかでペットと過ごす時間が増えたことや、ペットとよりコミュニケーションをとりたいという意識の高まりも販売額の増加につながったようだ。

 総務省の家計調査でも20年の2人以上の世帯のペット・ペット関連(ペットフード、ペット・ペット用品、動物病院、他のペット関連サービス)の支出は前年に比べ4.2%増加した。21年は前年よりも減少したものの、19年の実績は上回り堅調に推移している。

●市場の拡大傾向続く

 これらを受けて、ペット産業の市場規模も増加が見込まれている。

 矢野経済研究所(東京都中野区)が今年8月に発表した「ペットビジネスに関する調査を実施(2022年)」によると、ペットフードと用品、生体及びサービス分野を含めたペット関連総市場は19年度に1兆5705億円だったが、20年度には1兆6882億円へ、21年度には1兆7187億円へ拡大した。飼育数は伸びが鈍化しているものの、各社による高付加価値品の提案や、猫向け商品の投入によって売上高は増加傾向となったという。

 同社では排泄ケアの消耗品であるペット用おむつや、飼い主がペットの健康管理に用いるセルフケア用品などの需要が伸長するとみているほか、ペットフード分野において、飼い主のプレミアム志向が強まる傾向がみられるとして、市場規模は23年度に1兆7977億円、24年度には1兆8370億円になると予測しており、拡大傾向は当面続きそうだ。

●新規市場参入のエステーなどに注目

 ペット市場の更なる成長を見越して、関連企業による新商品の投入や新規に参入する企業も増えており、裾野の拡大が期待できる。特に注目されるのは、飼い主のプレミアム志向に沿った商品・サービスを展開する企業だろう。

 マルハニチロ <1333> [東証P]は、23年3月期上期(4-9月)連結決算で営業利益が159億3300万円(前年同期比27.9%増)となったが、水産商事ユニットにおける相場の上昇などと並んで、タイのペットフードの北米向けの販売好調をその要因として挙げている。同社では、中期経営計画でも成長ドライバー領域の一つとしてペットフード事業の強化を掲げており、今後も成長が期待されている。

 はごろもフーズ <2831> [東証S]は、23年3月期上期(4-9月)連結決算で営業利益が3700万円(前年同期比98.2%減)と落ち込んだが、そのなかで「ペットフード・バイオ他」部門は好調に推移。特に新製品を投入した添加物不使用のペットフード「無一物」シリーズが好調で、同部門は2ケタ増収を記録した。ペットフード市場の拡大を背景に、今後も引き続き成長が期待されている。

 エステー <4951> [東証P]は、今年2月に新ブランド「エステーペット」を立ち上げ、ペット用品市場に初参入した。自社で行った調査により、猫を飼育していて困ったことの1位に「トイレや排泄物のニオイがくさい」が挙げられ、猫の臭いの問題が家庭で飼育する上で課題となっていることを受けて、猫用システムトイレや消臭チップなどを販売している。他社の従来製品に比べ割高感はあるものの、臭いの悩みは大きいことから、高付加価値商品の需要が見込めると判断。23年3月期上期(4-9月)にあった品質課題も解消し、下期からは成長分野と位置づけ国内の認知拡大や海外販売体制の強化に取り組むとしている。

 国内ペットフード、ペット用トイレタリー最大手のユニ・チャーム <8113> [東証P]は、22年12月期第3四半期累計(1-9月)連結決算でコア営業利益が916億6200万円(前年同期比5.9%減)と減益となったが、ペットケア部門は健康志向の高まりに対応した猫用フードや犬用ペットシート、猫用システムトイレなどが堅調に推移し2ケタの増収増益を記録した。急激なコスト上昇の販売価格への転嫁も順調で今後も伸長が見込まれるほか、近年では、生活水準の向上に伴い中国を中心としたアジアでもペット関連の市場は拡大していることから、こうした地域への展開にも注力している。

●ペットのヘルスケア商品をEC販売するペットゴー

 サービス面では、ペットのヘルスケア商品をECサイトを通じて販売するペットゴー <7140> [東証G]が注目される。23年3月期上期(4-9月)連結決算で営業利益は1億9400万円となり、通期予想の1億7300万円(前期比4.9%増)を上回った。原材料価格の高騰や円安などを起因としたナショナルブランド(NB)商品の値上げがあったものの、サブスクリプションコマースやD2Cブランドが好調に推移したという。引き続きマルチコマース展開により主要ECモールへの出店を継続するほか、サブスクコマースへのスイッチの促進、D2Cブランド製品の拡充などで成長を目指す方針だ。

 日本動物高度医療センター <6039> [東証G]は23年3月期上期(4-9月)連結決算で営業利益が2億9300万円(前年同期比60.8%増)となった。犬猫の高齢化に伴い疾病は多様化。それに伴い飼い主の動物医療に対する多様化・高度化要請は高まっており、同社へのニーズも増加している。

 このほか、ペット保険を提供するアニコム ホールディングス <8715> [東証P]、SBIインシュアランスグループ <7326> [東証G]が関連銘柄として関心が高い。更に、イオン <8267> [東証P]はグループ会社イオンペットで保護犬猫の譲渡施設を運営しており注目されている。

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