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【注目】前日に「売られた株!」総ザライ ―本日への影響は?―

ディスコ <日足> 「株探」多機能チャートより

■ディスコ <6146>  24,420円 (-2,170円、-8.2%)

 ディスコ <6146> [東証P]が急反落。前日8日の米国株市場では主要株価指数が揃って下落し、エヌビディア <NVDA> をはじめ半導体セクターも総じて下落、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は3.6%安と前日にリバウンドした上げ幅よりも大きな下げとなった。これを受けて東京市場でも半導体製造装置関連株に戻り売り圧力が改めて意識される状況となった。そのなかディスコは25年3月期の連結営業利益について前の期比3割増の1650億円程度と5期連続過去最高を更新したもようと日本経済新聞が伝えたが、トランプ米政権の関税引き上げを背景とした世界経済の不透明感が強まるなか、先行き業績に対する警戒感から買いのニーズは限定的となった。

■第一生命HD <8750>  868.5円 (-74.9円、-7.9%)

 第一生命ホールディングス <8750> [東証P]が大幅安。9日の円債市場では、20年債や30年債といった超長期金利が急上昇(債券価格は急落)した。時間外取引において米金利の利回り曲線(イールドカーブ)は、傾きが急となるスティープ化が顕著となっており、その影響が円債相場にも波及。超長期金利に強い押し上げ効果をもたらしたようだ。超長期債は生保が主なプレイヤーとされている。超長期金利が緩やかに上昇する際には、運用利回りの拡大による業績押し上げ効果が期待されるものの、こうした見方をもとに生保株に買い向かう姿勢は限られた。むしろ、急速な金利上昇による金融システムへの悪影響や、マーケット環境が一段と混乱するリスクが懸念される格好となり、全体相場に連れる形で生保株に下押し圧力が掛かった。

■東レ <3402>  868.6円 (-74円、-7.9%)

 東レ <3402> [東証P]が急反落。9日付の日本経済新聞朝刊は「欧州連合(EU)が自動車の材料として使われる炭素繊維について、原則禁止を検討していることが8日わかった」と報じた。炭素繊維を手掛ける東レの業績を押し下げる可能性が意識され、売りがかさんだようだ。三菱ケミカルグループ <4188> [東証P]と帝人 <3401> [東証P]も大幅安となった。報道によると、炭素繊維は廃棄時に細かい繊維が人体に悪影響を及ぼす恐れがあるとの見方から、欧州議会が提示した廃棄車のリサイクルを規定する指令の改正案では、使用を大幅に制限する有害物質の項目に炭素繊維が加わったという。

■INPEX <1605>  1,672.5円 (-109円、-6.1%)

 INPEX <1605> [東証P]が急反落。8日の米原油先物相場はWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の5月限が前日7日比1.12ドル安の1バレル=59.58ドルと下落した。米国による「相互関税」に対する警戒感が高まるなか、中国との関税の報復措置が止まらない状態となっており、世界経済の悪化懸念が強まり、原油需要の低迷が警戒された。WTI価格は、この日の時間外取引で一時56.70ドル近辺まで下落。この原油安を受け、石油資源開発 <1662> [東証P]やENEOSホールディングス <5020> [東証P]などを含め石油関連株には売りが膨らんだ。

■東エレク <8035>  17,420円 (-1,130円、-6.1%)

 東京エレクトロン <8035> [東証P]が急反落。アドバンテスト <6857> [東証P]、レーザーテック <6920> [東証P]など半導体製造装置関連株が売りを浴びた。ロイター通信が8日、トランプ米大統領が台湾積体電路製造(TSMC) <TSM> に対し、「米国内に工場を建設しない場合は最高100%の税金を支払うことになると伝えたと明かした」と報じた。TSMCに対する100%課税または米国内での工場建設により同社の投資余力が低下し、半導体関連の装置受注に悪影響が出るとの見方から、売りが膨らんだようだ。

■科研薬 <4521>  4,195円 (-270円、-6.1%)

 科研製薬 <4521> [東証P]が急反落。8日取引終了後に25年3月期連結業績予想の修正を発表。売上高を885億円から940億円(前の期比30.5%増)へ上方修正した一方、最終利益を142億円から140億円(同74.5%増)へ下方修正しており、これが売り材料視されたようだ。契約一時金の受領や支払い、M&A費用などを精査し、業績予想に反映した。なお、「長期経営計画2031」の一部見直しをあわせて発表した。株主還元方針について従来の配当性向30%以上、総還元性向50%以上に加え、2024年度の配当(190円)を下限とすることや7年間の還元総額を500億円以上とする方針を追加した。

■ダイセキ <9793>  3,350円 (-180円、-5.1%)

 ダイセキ <9793> [東証P]が急反落。同社は8日の取引終了後、25年2月期の連結決算発表にあわせ、26年2月期の業績予想を開示した。今期の売上高は前期比4.0%増の700億円、最終利益は同6.3%増の99億円を見込む。2期ぶりに過去最高益を更新する見通しで、同時に自社株買いの実施も公表した。ただ株価は前日に大きく水準を切り上げていたとあって、発表内容を手掛かりに買い上がる姿勢は限られた。全体相場に再び下押し圧力が掛かるなかで、同社株も売りに押された。ダイセキ単体では2月末時点のマーケットシェアは25.6%となり、取引工場数は前の期比で270工場増加した。今後、シェア30%超を目指して新規開拓に注力する方針。自社株買いは総数80万株(自己株式を除く発行済み株式総数の1.66%)、総額32億円を上限とし、4月9日から7月31日の間に実施する予定。

■トレファク <3093>  1,717円 (-91円、-5.0%)

 トレジャー・ファクトリー <3093> [東証P]が急反落。8日の取引終了後に発表した3月度の月次売上概況で、既存店売上高は前年同月比4.4%増と43ヵ月連続で前年実績を上回ったものの、地合い悪に売り優勢の展開となった。月前半は天候に恵まれなかったものの、後半に回復し気温が上昇するにつれて、春物衣料の販売が伸長したほか、服飾雑貨、生活家電、ホビー用品なども堅調だった。なお、全店売上高は同12.4%増だった。

■ミニストップ <9946>  1,675円 (-72円、-4.1%)

 ミニストップ <9946> [東証P]が大幅反落。8日の取引終了後、集計中の25年2月期連結業績について、売上高が従来予想の900億円から874億7500万円(前の期比10.6%増)へ、営業損益が23億円の赤字から34億8600万円の赤字(前の期6億900万円の赤字)へ、最終損益が25億円の赤字から67億7400万円の赤字(同4億6800万円の赤字)へ下振れて着地したようだと発表しており、嫌気された。想定を超える原材料費の高騰に加えて、販売構成が価格訴求型商品に集中したことなどが要因としている。

■三菱マ <5711>  2,023円 (-86円、-4.1%)

 三菱マテリアル <5711> [東証P]が大幅反落。トランプ米政権の相互関税が世界景気を後退させるとの警戒感が続くなか、世界経済の動向を診断する「ドクター・カッパー」の異名を持つ銅相場の下げが止まらなかった。8日のロンドン金属取引所(LME)で銅3ヵ月先物は8655ドル台まで水準を切り下げており、非鉄株の重荷となった。東証の業種別指数の非鉄金属は下落率トップ。データセンター関連での需要拡大期待で買われていた電線株が引き続き大きく売られたことも非鉄金属株指数の下げに拍車を掛けた。

■アドヴァンG <7463>  744円 (-29円、-3.8%)

 アドヴァングループ <7463> [東証S]が大幅反落。8日の取引終了後に発表した26年3月期連結業績予想で、営業利益28億2000万円(前期比10.5%減)と2ケタ減益を見込むことが嫌気された。世界経済の先行き不透明感が強いことから、売上高は185億円(同0.1%減)と前期並みを予想。一方で、物価高や賃金上昇などの販管費増を見込むことから減益予想としたとしている。なお、25年3月期決算は、売上高185億1800万円(前の期比8.8%減)、営業利益31億5000万円(同20.0%減)だった。円安による仕入れコストの上昇に加え、職人不足や2024年問題の影響などにより一部大型案件の工期の遅れや見直しがあり、営業利益は従来予想の41億円を下回って着地した。

■SGHD <9143>  1,420.5円 (-49.5円、-3.4%)

 SGホールディングス <9143> [東証P]が大幅安で3日続落。同社は8日にデリバリー事業の月次取扱個数の速報値を開示した。3月の合計取扱個数は前年同月比2.7%減の1億1500万個と、前年割れが続き、嫌気されたようだ。飛脚宅急便は同2.7%減の1億1100万個となった。

■中外薬 <4519>  6,359円 (-183円、-2.8%)

 中外製薬 <4519> [東証P]が反落。トランプ米大統領が医薬品への大規模な追加関税を近く発表すると述べたことが、日本時間9日午前に複数のメディアが伝えた。医薬品セクターの中でも個別で材料が出た中小型株を中心に高いものもあるが、主力どころの銘柄は報道を受けて軒並み売られた。

■トヨタ <7203>  2,365.5円 (-63円、-2.6%)

 トヨタ自動車 <7203> [東証P]が反落。そのほか、SUBARU <7270> [東証P]が後場に一段安となった。トランプ米政権の相互関税が日本時間9日午後1時1分に発動した。マーケットでは悪材料出尽くしとの受け止めは広がらず、世界経済に対する悪影響が引き続き警戒された。発動後に外為市場ではドル売り・円買い圧力が掛かり、ドル円相場は1ドル=144円台まで円高に振れた。米国が輸入する自動車に対しては先行して25%の追加関税が発動していたが、足もとの円高進行と世界景気の減速懸念が自動車株の重荷となったようだ。日産自動車 <7201> [東証P]やホンダ <7267> [東証P]も下値を再び探る展開。マツダ <7261> [東証P]も軟調に推移した。

※9日の下落率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋

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