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【特集】円熟のライフステージ、「アクティブシニア」関連株に勇躍の刻 <株探トップ特集>

医療技術の進歩などから心身ともに健康なシニアが増えている。仕事や趣味などの活動に意欲的なアクティブシニアが増加すれば、関連するビジネスを手掛ける企業は恩恵を受けそうだ。

―健康寿命の延伸で活動的なシニアが増加、貯蓄率高く国内消費の牽引役として期待―

 高齢化の進行に伴ってシニアマーケットの重要性が増している。医療技術の進歩や健康意識の高まりを背景に平均寿命と健康寿命(日常生活に制限のない期間)の延びが予想されるなか、つれて仕事や趣味などの活動に意欲的な「アクティブシニア」も増加する見通し。この層は貯蓄率が高いことから国内の消費を牽引することが期待でき、関連ビジネスを手掛ける企業に注目しておきたい。

●これからの主役はシニア層に

 総務省によると、2022年9月15日時点(推計)の総人口は1億2471万人(前年比82万人の減少)で、そのうち65歳以上の高齢者は3627万人(同6万人の増加)となっている。高齢化率は29.1%(同0.3ポイント上昇)となり、過去最高となった。高齢者人口は70歳以上が2872万人(同39万人の増加)、75歳以上が1937万人(同72万人の増加)で、総人口に占める75歳以上の割合が初めて15%を超えている。

 一方、内閣府が6月に公表した22年版の高齢社会白書によれば、65歳以上で経済的な暮らし向きについて「心配がない(家計にあまりゆとりはないが、それほど心配なく暮らしているとの回答も含む)」と感じている割合は全体で68.5%となっており、2人以上の世帯で世帯主が65歳以上の貯蓄現在高は中央値で1555万円と全世帯の中央値1061万円の約1.5倍となっている。また、労働力人口に占める65歳以上の比率は13.4%と上昇を続けている。

 65歳以上の人口は団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる25年に3677万人に達するとみられ、主役となるシニア に関連したビジネスを展開する企業の投資妙味が増しそうだ。

◎フルキャストホールディングス <4848> [東証P]

グループ会社がシニア専門の人材派遣を手掛ける

 フルキャストは短期業務支援事業や営業支援事業などを展開しており、グループのフルキャストシニアワークスでは高い就労意欲を持つ60歳以上のシニアを専門に人材派遣 を行っている。対応業種は清掃、飲食、小売り、製造、物流・倉庫、オフィス、コールセンターなど多岐にわたり、必要な時に必要な人数を供給できることが強みだ。株価は10月31日に年初来高値3040円をつけたあと一服商状となっているが、今月11日には22年12月期通期の連結営業利益予想を従来の92億円から97億円(前期比27.8%増)に上方修正している。

◎リゾートトラスト <4681> [東証P]

会員制リゾートホテル大手で、予防医療などのサービスも提供

 リゾートトラは会員制リゾートホテルの大手で、高精度な検診から治療までをサポートする「グランドハイメディック倶楽部」、予防医療や美容・エイジングケアといったサービスを提供する医療施設なども展開している。足もとのメディカル事業は、ハイメディック会員権の販売が引き続き好調で、4~5月に一時クローズした一般健診やエイジングケアも順調に回復。シニア向け施設の運営ではコロナ禍の影響があるものの、会社側では新商品を検討中だとしている。株価は上値の重い展開となっているが、今月9日には23年3月期通期の連結営業利益予想を従来の92億円から115億円(前期比32.3%増)に上方修正していることから押し目は仕込み好機と捉えたい。

◎新日本製薬 <4931> [東証P]

スキンケアブランド「パーフェクトワン」を展開

 新日本製薬はコラーゲンを追求したスキンケアブランド「パーフェクトワン」を展開。健康食品 医薬品 も手掛けており、シニアの更なる需要が見込めそうだ。今後はデジタルマーケティングを中心としたデータベースマーケティングの強化や海外展開の加速、ヘルスケア事業の開発と育成、新商品及び新サービスの開発などの取り組みを推進し、持続的な成長を目指す考え。株価は軟調な動きだが、75日移動平均線からの下方カイ離が10%超となっていることから自律反発に期待したい。なお、23年9月期通期の連結営業利益は35億6000万円(前期比1.1%増)が見込まれている。

◎Career <6198> [東証G]

シニアワーク事業とシニアケア事業が主力

 キャリアはシニア派遣のシニアワーク事業と、介護施設に看護師や介護スタッフを派遣するシニアケア事業が主力。子会社のプレニチュードでは高齢化社会の多様な課題を解決することを目的に、人工知能(AI)技術を活用した人材関連サービスを展開している。15日に23年9月期通期の連結営業利益が3億円(前期比15.8%減)になる見通しが示されたことで足もとの株価は急落しているが、シニアワーク事業は既存の人材派遣のスケールを推進するとともに、新規事業(障がい者雇用支援など)の早期収益安定化を図り、シニアケア事業では新規需要の取り込みを促進するとしている。

◎カーブスホールディングス <7085> [東証P]

中高年をターゲットにした女性向けフィットネスクラブを運営

 カーブスHDは女性向けフィットネスクラブ 「カーブス」を運営。顧客層は50歳以上が中心で、運動に苦手意識を持っている会員が約8割だという。今期は新規出店を25店舗、フランチャイズ加盟店の閉店・統合を20店舗予定しており、店舗数は5店舗純増の期末1952店舗を計画。期末の会員数はキャンペーンなどにより、82万4000人(22年8月末に比べ7万人の純増)を見込んでいる。23年8月期通期の連結営業利益は37億円(前期比34.9%増)となる見通しで、これを手掛かりに株価は堅調に推移。25日・75日移動平均線ともに上昇基調を維持し、更に上値を試す展開が期待できそうだ。

●エスエムエス、ラウンドワン、バイセルなどにも注目

 このほか、シニアライフ事業を展開するエス・エム・エス <2175> [東証P]、健康食品受託製造(OEM)メーカーのAFC-HDアムスライフサイエンス <2927> [東証S]、健康食宅配サービスを行うファンデリー <3137> [東証G]、自社企画の健康食品・化粧品・医薬品を販売するティーライフ <3172> [東証S]、アクティブシニア向けのボウリングゲームパックを提供するラウンドワン <4680> [東証P]、コラーゲン化粧品などを扱うニッピ <7932> [東証S]、出張買い取りでシニア向けに強みを持つBuySell Technologies <7685> [東証G]なども関連銘柄として挙げられる。

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