【市況】米国株式市場見通し:サンタクロースラリーへの期待高まる、PPIや小売決算に注目
年末に向けたサンタクロースラリーへの期待が高まってきた。ジョージア州の上院選が決選投票となり、明確な結果判明は12月6日以降となるものの、中間選挙終了で不透明感が払しょくすることは相場の買い材料となる。通常、中間選挙後、6カ月間の株式相場の上昇率は1桁または2桁台とされている。今回は共和党が小幅ながら下院で過半数を奪還する見通しで、ねじれ議会の誕生も相場の支援材料となるだろう。
今週は主要小売企業の決算が発表され
るほか、小売売上高が発表される予定で、結果に注目だ。小売企業は年末商戦を例年よりも早めに開始しているが、事前にはインフレ高進や金利高で消費の鈍化が想定されており、リスクになり得る。
10月CPIは予想以上に伸びが鈍化し、インフレピークアウトを示唆した。ただ、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は利上げを減速させる時期としながらも、+7.7%のインフレは歴史的にも依然高水準であると指摘。「勝利宣言には程遠い」と言及しており、利上げの必要は依然ありそうだ。
こうした中、FRBが重要視しているインフレ指標のひとつ卸売物価指数(PPI)が発表予定で、10月のインフレピークアウトをより確実にできるかどうかが注目される。総合で前年比+8.3%と9月+8.5%から減速する予想だが、CPIと同様にインフレ減速が確認できれば、さらなる相場上昇材料となるだろう。
11月連邦公開市場委員会(FOMC)でのパウエル議長のタカ派発言後、短期金融市場は今回の利上げサイクルにおける最高金利水準として5%超を織り込んでいたが、CPIの発表後は4%台後半にまで低下した。FRBの利上げサイクルが終盤に近付いたことも年末にかけた相場上昇を後押しするだろう。
経済指標では11月二ューヨーク連銀製造業景気指数、10月卸売物価指数(PPI)(15日)、10月小売売上高、10月輸入物価指数、10月鉱工業生産・設備稼働率、9月企業在庫、11月NAHB住宅市場指数、9月対米証券投資(16日)、10月住宅着工・建設許可件数、11月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、週次新規失業保険申請件数(17日)、10月中古住宅販売件数、10月先行指数(18日)などが発表予定。また、バイデン大統領はインドネシア、バリ島で開催されるG20サミットに出席する。17日に中国習国家主席との会談を予定しており、経済、インフレやロシア、ウクライナ問題関連の発言に注目だ。
主要企業決算では、食品関連でJ&Jスナック・フーズ、肉食品メーカーのタイソン・ブーズ(14日)、小売セクターではディスカウント小売のウォルマート、ホームセンターのホームデポ(15日)やロウズ、衣料品小売りのTXJ、ターゲット、パーソナルケアのバス&ボディワークス(16日)、廉価アパレルのロス・ストアーズ、百貨店メーシーズやコールズ、衣料品小売りのギャップ(17日)、家具販売会社ウィリアムズ・ソノマ、靴会社のフットロッカー(18日)などが予定されている。そのほか、ネットワーク機器メーカーのシスコ・システムズ、半導体メーカーのエヌビディア(16日)も予定されている。
小売企業決算では需要の鈍化、人件費や輸送費などのコスト高が収益を圧迫している可能性があり、見通しの下方修正などには警戒が必要だ。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
提供:フィスコ