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【特集】窪田朋一郎氏【日経平均切り返しへ、米株高受け流れ変わるか】(2) <相場観特集>

窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト)

―2万7000円台一時回復、買い戻しで上値指向に―

 週明け24日の東京株式市場では、日経平均株価が3日ぶり反発に転じ一時2万7000円台を回復した。前週末の米株市場ではFRBの金融引き締めピッチが緩むとの思惑で景気敏感株などを中心に買い戻され、NYダウは700ドルを超える上昇を示した。外国為替市場では政府・日銀の介入観測などを背景に急激に円高方向に振れた後、再び大きく円安に押し戻されるなど目まぐるしい動きだが、株式市場の方はこれに振り回されることなくボラティリティは限定的なものにとどまっている。今後の日経平均の動きや物色の方向性などについて、第一線で活躍する市場関係者2人に意見を聞いた。

●「米株市場横にらみに当面は戻り相場続く」

窪田朋一郎氏(松井証券 投資メディア部長 シニアマーケットアナリスト)

 東京市場は当面は戻りを試す展開が想定される。目先的な押し目はあっても日経平均は強調トレンドを継続しそうだ。米国株市場ではこれまでの金融引き締めに対する過度な不安が後退している。米ウォール・ストリート・ジャーナルの報道などで連邦準備制度理事会(FRB)により年内にも利上げ幅が縮小される可能性が高まったことで、ハイテクセクターのグロース株などに買い戻しが入るようになった。この地合いを東京市場も今後引き継ぐ格好となりそうだ。

 FRBが11月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の利上げを決めることは現状でマーケットにほぼ100%織り込まれた状態にあるが、Fedウォッチによると、12月も0.75%の利上げと見る向きが、これまでは全体の過半数を占めていた。ところがウォール・ストリート・ジャーナルの報道後は逆に0.5%の引き上げにとどまると見る方が多くなった。また来年にかけても仮に利上げ幅が11月でピーク越えとなるのであれば、金融引き締めを悪材料視する動きはかなり軽減されることになる。来年2月のFOMCでは0.25%の利上げにとどまり、これで打ち止めになるとの見方も強まっている。この見方が正しいとすると、利上げ終了に先駆して株式市場は上昇に転じることになる。

 米株市場が戻りに転じる過程で日本株は強い動きとなる公算が大きい。足もとで円相場は荒い値動きながら、ひと頃と比べればかなり円安が進んでおり、企業業績とりわけプライム市場に上場している輸出セクターの銘柄群の業績にプラス材料となりやすい。また、リオープン(経済再開)を促す政府の資金的支援や、新型コロナウイルスの水際対策の大幅緩和などでインバウンド関連企業にも追い風が期待される。これらが、日本株の優位性につながることが考えられる。

 向こう1ヵ月で見た日経平均の上値は2万8200円どころとみている。もっとも、下値リスクも少なからずある。それは今回の中国共産党大会を経て独裁体制を築いた習近平政権による弊害が表面化した場合。きょうは香港株が大きく下げているが、アジア株安に日本が引きずられるケースでは2万6500円どころへの調整はありそうだ。物色対象はグロース株の買い戻しが中心で、東京エレクトロン <8035> [東証P]やレーザーテック <6920> [東証P]などの半導体関連やエムスリー <2413> [東証P]のような高PERで成長性の高い銘柄の戻りについていきたい。


(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券に入社後、WEBサイトの構築や自己売買担当、顧客対応マーケティング業務などを経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。日々のマーケットの解説に加えて、「マザーズ信用評価損益率」や「デイトレ適性ランキング」「アクティビスト追跡ツール」など、これまでにない独自の投資指標を開発。

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