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【経済】【クラウドファンディング】画期的な「体外診断」で、沖縄を元気に! 由風BIOメディカル、10月26日募集開始

 体外診断薬の開発・原料製造を行う由風BIOメディカル株式会社(沖縄県うるま市)が、株式投資型クラウドファンディング(普通株式型)による出資を募集します。申し込みは10月26日19時30分開始を予定しています。

・ 普通株式型
・ 目標募集額:1504万8000円、上限募集額:9999万円
・ 事業会社/CVC出資実績あり
・ エンジェル税制あり(優遇措置A)
・ みなし時価総額:16億6500万円
・ 類似上場企業:トランスジェニック、キャンバス、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ、DNAチップ研究所、メディネット

※「みなし時価総額」はミンカブ編集部が「発行済み株式数×募集株式の払込金額」により試算

ナノ粒子制御に関する独自技術

 由風BIOメディカル(ゆかぜバイオメディカル)は、ナノ粒子制御に関する独自技術をもとにした体外診断薬の開発・原料製造を主力事業とするバイオベンチャーです。また、九州・沖縄地方で最大級の細胞培養加工施設(CPC)を活用し、再生医療関連の製造受託・開発製造支援などのバイオ医薬品関連事業を展開していく予定で、産業振興施策として、バイオ・医療領域に注力する沖縄県で、令和4年度のバイオ関連産業事業化促進事業に採択されています。

体外診断における「ELISA法」と「ラテックス凝集法」

 超高齢社会の日本で、65歳以上の高齢者の医療費は全体のおよそ6割、約24兆円に上るとともに、病気やけがなど、何らかの自覚症状のある65歳以上の高齢者の割合も43%以上であることから、同社は「治療を行うだけでなく、健康を維持・増進することを目的とする『早期診断』と『予防医療』の意義がこれまで以上に注目されている」と考えています。

 病気のリスクを早期に診断し、対処する予防医療に欠かせないのが、健康診断や病気の特定、治療方針の決定、治療効果の確認などを行う「体外診断」のプロセスだといいます。

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(出典:イークラウド)

 体外診断は人に由来する試料(血液・尿・便)などを検体とし、この中の物質などを検出することで疾病の診断を行うもので、健康診断などで生活習慣病のリスクを判断するようなものから、がん、HIVなど、情報の正確さが生命に関わるようなものまで多岐にわたります。同社によると、体外診断の一種、免疫診断薬の市場規模は国内約4000億円、グローバル14兆円程度、年成長率は5%以上と試算されています。

 現在、体外診断の多くのケースで使用されているのが「ELISA法(イライザ法:酵素結合免疫吸着測定法)」で、これは診断薬にレーザー光を照射し、光吸収を計測することで、疾患の有無やその重症度を診断するものです。

 ELISA法は妊娠検査やインフルエンザなど幅広い用途で利用され、特に血液検査における精密診断では、ほぼ全てのケースで利用されるほど標準的な手法ですが、「診断に時間がかかる」「診断コストが高い」などの課題があるといいます。

 一方、ELISA法よりも迅速に診断結果を得られるのが「ラテックス凝集法」で、これは、粒子を含む診断薬にレーザー光を照射し、入る光と出る光の強さを比較することで、疾患の有無やその重症度を診断するものです。

 ラテックス凝集法はELISA法よりも診断結果を迅速に得られる半面、精度・感度に劣るという課題があり、主な用途はスクリーニング(簡便な検査)にとどまっているといいます。

 同社のアプローチは、ラテックス凝集法に用いる粒子を独自技術によって高度に設計し、ELISA法よりも迅速、かつ低コストな高感度体外診断薬を開発するというもので、そのための鍵となる原料(キーマテリアル)が医用ナノ粒子です。

 同社は「この技術を通じて、患者の身体的・心理的な負担や医療財政の圧迫といった医療課題の解決を目指します」としています。

感度・精度が課題だったラテックス凝集法

 同社の主力事業は、ナノ粒子の表面を制御するナノバイオロジー領域の独自技術を活用した迅速、かつ低コストな高感度体外診断薬の研究開発です。

 従来のラテックス凝集法はELISA法よりも診断の迅速性に優れますが、感度・精度の面で課題があり、その原因の一つとして、凝集塊を作る際、ナノ粒子が目標の物質以外の不純物も吸着してしまうことが挙げられるといいます。

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(出典:イークラウド)

 同社は「ナノ粒子に生体分子を吸着させない界面設計」「特定の生体物質だけを選択的に吸着させる界面設計」によって、この課題を解決したといい、自社実験で、同社の開発品と従来のラテックス凝集法による診断結果を比較したところ、診断感度が5倍に、精度に関しても大幅に向上したという結果を得たとしています。

 ELISA法のデメリットである「診断時間の長さ」については、ラテックス凝集法の迅速性によって克服しており、自社実験で、診断時間が ELISA法の4分の1に短縮されたという結果だったそうです。

 同社によると、感染症など症例の多いケースでは、臨床検査センターなどで1日に数万検体以上も体外診断を行う場合があり、体外診断の迅速性(スループット)は、診断医療のコスト削減、患者の身体的・精神的負担の軽減につながるといいます。

 また、同社のコア技術を応用することで、将来、各種感染症や腫瘍マーカー、ホルモン系疾患など、既存の体外診断を置き換えていける可能性があるとしています。

 なお、同社はグローバルに展開する大手医療メーカー(企業名非公表)とアライアンスを構築しながら事業を推進しており、同社は体外診断薬とその原料となるナノ粒子の研究・生産技術開発に注力、医療機関などへの販路拡大は同メーカーのリソースを活用することで、効率的な開発オペレーションや販売を可能にしたい考えです。

次世代モジュール採用のCPCによる参入障壁

 沖縄県はバイオ関連産業を重要な戦略的産業と位置付け、積極的な設備投資やバイオ関連スタートアップ企業の集積を行うとともに、県内のバイオ関連産業と既存産業のシナジー創出も目指していることから、同社はこれを追い風に、地域連携型の事業展開を通じて、地方創生に貢献したい考えです。

 同社は九州・沖縄地方で最大級の再生医療安全確保法に準拠する細胞培養加工施設(CPC)を基盤とし、再生医療関連の製造受託・開発製造支援(CMO・CDMO)を展開する予定です。再生医療関連の「CMO」とは、医療メーカーなどから医薬品などの製造を受託する事業、「CDMO」とは、製造に加えて、製剤研究や治験薬製造まで支援する事業で、その市場はグローバルで5000億円規模、今後10年で年8%の成長が見込まれるといいます。

 同社が沖縄県うるま市に保有するCPCは次世代モジュール(ファン付フィルターユニットシステムにより、室圧の制御性と省エネルギーを高いレベルで両立する最新型CPC)を採用しており、これを活用することで、この事業で高い参入障壁を築けると考えています。

 本来、再生医療製品や特定細胞加工物は長距離輸送に適さないといいますが、同社は自社の細胞培養加工施設で、再生医療に関連する特定細胞加工物を製造し、提携医療機関に提供することで、再生医療サービスの地産地消を沖縄に浸透させ、再生医療の産業化に貢献するとしています。

 また、日立グループ(株式会社日立製作所・日立グローバルライフソリューションズ株式会社)と連携し、特定細胞加工物を含む再生医療製品などのサプライチェーンプラットフォームを整備していく予定です。

 これは細胞の加工培養・物流・医療行為をはじめとする再生医療に関わる全行程情報のトレーサビリティーを可視化する国内初の取り組みだといい、同社は細胞培養加工施設の次世代モジュールと再生医療に関わる全行程情報の可視化により、高品質と安全・安心を実現し、沖縄県の再生医療をブランディングしていきたい考えです。

 同社は「人材育成、研究機関や行政・金融機関などのネットワーク構築をはじめとする先端医療技術の実用化に向けた行政の支援施策は、今後も、由風BIOメディカルの事業推進において追い風になる」としています。

医療ツーリズムの活性化に貢献

 沖縄県には、海外旅行者が1泊すると医療ビザを取得しなくても日本国内に30日間滞在でき、3年以内なら何度でも利用できるマルチビザ制度(観光促進制度)があり、以前から、同制度を利用する医療ツーリズムによる観光促進施策が検討されています。同社は、県内で再生医療関連のCMOビジネスを集約する体制を構築していくことで、医療ツーリズムの活性化と、県内リゾート産業とのシナジー創出により、ウィズコロナ・アフターコロナにおける県内産業の再活性化に貢献していきたい考えです。

 なお、CMOのパイプライン(再生医療の項目)としては、令和4年度内に1項目を稼働させることを既に発表しており、令和5年度には、さらに2項目を稼働させることを目指しています。さらに、CDMO事業として、製造受託のみならず製造開発支援も実施していく計画で、同社の細胞培養加工施設の施工事業者である日立グローバルライフソリューションズと議論を進めているといいます。

 その他、以下の関連事業を進めていく予定です。

(1)医療研究の成果を活用したコンシューマー事業

 診断医療や再生医療の研究成果物を応用したコンシューマー(一般消費者)向けの健康食品などを販売する計画で、診断医療や再生医療の認知度向上にも役立てていくことを狙います。同社は機能性に関するエビデンスの取得を主に担い、製品の生産は外部の事業者への委託(OEM)、販売活動は代理店などを活用する予定です。

(2)バイオ3Dプリンターの実用化事業を推進

 同社は令和4年度バイオ関連産業事業化促進事業に採択され、バイオ3Dプリンターの実用化を目指しています。

 バイオ3Dプリンターとは、一般的な3Dプリンターで使用される樹脂や金属ではなく、細胞などを積み重ねて、生体に近い立体的な組織や臓器を作り出すことができる装置で、同社は主に創薬分野で、有用な化合物の候補(医薬品などの候補物質)を探るスクリーニングキットや、スクリーニングサービスへの将来的な展開可能性について検証しています。

 また、部分移植のパーツを提供する再生医療への応用やバイオリアクター(細胞の代謝機能を利用して、新しい物質をつくる学術領域)でも、他企業や学術機関などとアライアンスを構築しながら、事業化を模索しているといいます。

2024年までに既存体外診断薬原料の代替目指す

 同社は今回の調達資金を、体外診断薬を含む再生医療用細胞培養加工において主に使用するシステム開発、体外診断薬開発と再生医療の関連事業で使用する理化学機器のリース・購入に使う予定です。

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(出典:イークラウド)

 体外診断薬については、アライアンス構築を進めている医療メーカーとの関係性を継続し、また、体外診断薬と、その原料や再生医療のパイプラインの拡充を図ることで成長を実現するとしています。

 同社は、2024年までに自社の開発品を既存体外診断薬原料の代替として提供すべく、研究開発を進めています。また、2024年度には、複数項目(感染症、腫瘍マーカー、ホルモン系疾患などの一般的な既存の免疫診断項目に対し、1割程度となる5項目以上を目標)の体外診断薬に対応できるようにするとともに、順調に進展すれば、同年度中の次世代診断薬に対する原料提供もあり得ると見込んでいます。

 並行して、ナノ粒子、ナノ粒子の製造方法、また、ナノ粒子を含有する体外診断薬に関する一連の知的財産網を国内だけでなくグローバルにも構築していく計画で、3件の特許出願の準備が完了しています。

 再生医療のCMO事業に関しては、2023年3月に再生医療のパイプラインの項目を1つ立ち上げ、2024年にはパイプラインを3つに拡充する計画で(2項目目以降のパイプライン導入について、医療関連企業だけでなく、大学病院を含む医療機関とも協議中)、また、CDMO事業として、製造受託のみならず製造開発支援も実施していく方針で、2025年2月末を目標に体制を構築したい考えです。

 バイオ3Dプリンターの実用化事業については、沖縄県の令和4年度バイオ関連産業事業化促進事業の枠組みの中で事業を推進し、2025年までにビジネス展開の可否を判断するとしています。

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(出典:イークラウド)

類似上場企業(業態やサービス・製品などで類似性の見られる企業)

・トランスジェニック <2342> [東証G]
・キャンバス <4575> [東証G]
・ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ <6090> [東証G]
・DNAチップ研究所 <2397> [東証S]
・メディネット <2370> [東証G]

発行者・募集情報

由風BIOメディカル株式会社
沖縄県うるま市字州崎12番地75沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センター105
資本金:75,000,000円
発行可能株式総数:4,000,000株
発行済株式総数:2,220,000株
設立年月日:2020年6月8日
決算期:5月

■代表取締役
中濵数理
谷正風

■募集株式の数(上限)
普通株式 133,320株

■募集株式の払込金額
1株当たり 750円

■申込期間
2022年10月26日~11月8日
※募集期間は10月26日~11月7日。11月8日は、募集期間の最終日である11月7日中に上限募集額に達し、早期終了した場合、その後24時間のキャンセル待ちに申し込める期間。

■払込期日
2022年11月24日

■目標募集額
15,048,000円

■上限募集額

99,990,000円

■投資金額のコース及び株数
99,000円コース(132株)
198,000円コース(264株)
297,000円コース(396株)
495,000円コース(660株)

■資金使途
・調達額15,048,000円(目標募集額)の資金使途
ソフトウェア開発費 11,737,440円
手数料 3,310,560円

・調達額99,990,000円(上限募集額)の資金使途
生産設備 29,933,910円
理化学機器リース 24,570,300円
分析機器 14,500,000円
ソフトウェア開発費 11,737,440円
手数料 19,248,350円

■連絡先
由風BIOメディカル株式会社
098-923-3683

※本株式投資型クラウドファンディングの詳細については、イークラウドの下記ページをご覧ください。

ナノバイオロジーで診断医療の技術革新と再生医療の社会実装に挑む「由風BIOメディカル」

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