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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】直近IPOなど中小型株に物色の矛先が向かうか

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「直近IPOなど中小型株に物色の矛先が向かうか」

●英国の減税案撤回をきっかけにリバウンド強まる

 10月に入り日経平均株価は買い戻しの動きが強まり、10月3日につけた2万5621円を安値に窓を空けてリバウンドを演じ、6日には一時2万7399円まで上昇した。金融市場に混乱をもたらした、英トラス政権による所得税の最高税率引き下げを柱とする減税案がわずか10日で撤回されたことをきっかけに、市場ムードが一変した。

 急反発に転じた日経平均株価だが、心理的な抵抗線が位置する25日・75日移動平均線水準まで上昇したことにより、週末7日はいったん達成感が意識される格好となった。日本時間の7日夜に米雇用統計の発表を控えていたほか、米連邦準備制度理事会(FRB)高官らによる利上げ継続発言などが相次いだことも重荷となった。

 米国では雇用統計を通過した後も、12日には米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、13日に9月消費者物価指数(CPI)、14日に9月の小売売上高、10月のミシガン大学消費者態度指数などの経済指標の発表が続くため、これらの結果を受けた長期金利の動向に株式市場は振られやすい。さらに、6日の取引終了後に決算速報値を発表したアドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>は、従来見通しを下回ったことが嫌気されて時間外取引で売られており、今後本格化する日米決算に対する警戒感も高まりそうである。これらの要因が主力株の手掛けづらさにつながるなか、足元で強い値動きを見せている直近IPO銘柄のほか、テーマ性のある材料株など中小型株に資金は向かいやすいだろう。

●今後、活躍が期待される「注目5銘柄」

◆eWeLL <5038> [東証G]
訪問看護に特化した専用電子カルテシステム「iBow(アイボウ)」を中核に、カスタマーサポートやiBow事務管理代行といった訪問看護現場の支援サービスを提供。iBowは全国47都道府県、約2000カ所のステーションに従事する訪問看護師などに利用されているが、国策でもある「地域包括ケアシステム」は未だに社会的に確立しておらず、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)関連として成長期待が高まる。同社は9月20日に東証グロース市場に上場。翌21日につけた4295円を高値に26日安値の3050円まで売られた後は、足元でリバウンド基調を継続。上場来高値4295円を捉えてくるようだと、4295円から3050円までの下落幅をリプレイスした5540円がターゲットとして意識されてこよう。

◆グローバルセキュリティエキスパート <4417> [東証G]
サイバーセキュリティソリューションやセキュリティーエンジニア育成サービスなどを手掛ける。日本経済団体連合会(経団連)は10月4日、「経団連サイバーセキュリティ経営宣言 2.0」を公表し、サイバーセキュリティ対策の推進に向けて、経営・企画管理・技術者・従業員の各層で人材育成と必要な教育を行うことなどを宣言。今後、大企業のみならず同社が顧客とする中堅・中小企業においてもサイバーセキュリティ教育の需要拡大が見込まれる。株価は9月7日の安値4980円まで調整したが、リバウンドに転じると8月につけた年初来高値7140円を更新。10月7日には一時8700円まで買われる場面があった。いったんはピーク感が意識される可能性はあるが、7140円から4980円までの下落幅をリプレイスしたターゲットは9300円となり、節目の1万円が視野に入ってくる。

◆gumi <3903> [東証P]
自社オリジナルおよび他社IPを活用したゲーム開発・運用を行っており、「ファイナルファンタジー」シリーズのスマホゲームなどをスクウェア・エニックス・ホールディングス <9684> [東証P]に提供。また、ブロックチェーンゲームやNFTなどのコンテンツ開発も積極的に推進している。9月下旬にはクルーズ <2138> [東証S]の子会社CROOZ Blockchain Labが参画するプロジェクト「PROJECT XENO」への出資を決定するなど、メタバース関連としても成長期待が高まろう。株価は切り上がる25日移動平均線を支持線としたトレンドを形成しており、昨年5月高値1433円が射程に入ってきた。

◆インソース <6200> [東証P]
講師派遣型研修や公開講座、eラーニングなど企業向け研修事業を手掛ける。岸田首相は先日の所信表明演説で、重点分野の一つにリスキリング(学び直し)をはじめとする「人への投資」を挙げ、個人のリスキリングの支援に5年で1兆円を投じると表明。 株価はこれを好感してリバウンド基調を強め、昨年12月半ば以来およそ10カ月ぶりに3000円台を回復した。いったんは昨年12月高値とのダブルトップ形成が警戒されるものの、昨年12月高値3090円から今年1月安値1638円までの下落幅をリプレイスした4542円辺りが、次第にターゲットとして意識されてくるだろう。

◆マーケットエンタープライズ <3135> [東証P]
ネット型リユース事業を展開。10月6日、同社が運営するリユースプラットフォーム「おいくら」が、茨城県ひたちなか市において地域社会における課題解決を目的とした不要品リユース事業の実証実験を開始したと発表。循環型社会の形成と廃棄物削減を目指す取り組みであり、足元でリユース市場が活発化していることも追い風となって、他の自治体などでの導入も期待される。株価はボトム圏で推移していたが、足元で25日線にサポートされてリバウンドを演じ、75日線を突破してきた。目先は7月高値の1230円が意識されてきそうだ。

(2022年10月7日 記)

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