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【特集】笹木和弘氏【先行き不透明な相場、FOMCを境にどう動く】(2) <相場観特集>

笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)

―目先自律反発もFRB利上げ警戒で模様眺めムード―

 3連休明けとなった20日の東京株式市場では日経平均株価が堅調な値動きを示した。前日の米国株市場ではハイテク株中心に買い戻され、NYダウナスダック総合株価指数いずれも反発。これを受けて東京市場も足もとリバウンドに転じている。ただ、空売りの買い戻し一巡後は上値も重い展開だ。日本時間の明後日未明に結果が判明する米連邦公開市場委員会(FOMC)を見極めたいとの思惑から買いが手控えられた面もある。秋相場の入り口に立つ日米株式市場はここからどう動くのか、先読みに定評のある市場関係者2人に今後の見通しと物色の方向性などについて聞いた。

●「『逆金融相場』でNYダウ2万9000ドル割れも」

笹木和弘氏(フィリップ証券 リサーチ部長)

 20~21日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)では、一部で1%利上げの可能性も指摘されているものの、実際は0.75%の利上げが行われるとみている。その後、市場の焦点は11月のFOMCでの利上げ幅が更なる0.75%となるか、あるいは0.5%になるかに向かっていくだろう。今回のFOMCで0.75%の利上げとなった場合、株式市場には買い戻しが入ることもあり得るが、一時的な動きにとどまりそうだ。

 足もとの米国市場は、業績相場が終わり景気過熱を抑えるために金融引き締めを行う「逆金融相場」の後半戦の状況にあるとみられる。更に言えば、金融引き締めが企業業績と景気の落ち込みをもたらす「逆業績相場」に入るか、どうかの瀬戸際にあるともいえるだろう。いまは、米国の株か債券のどちらかを選ぶとなると、金融引き締めに伴う景気悪化で先行き長期金利が低下することを視野に債券買いが優位となる時期なのかもしれない。

 そんななか、NYダウはFOMC後に一時的に3万2000ドル前後まで上昇するかもしれないが、秋相場でのトレンドは下向きで今後1ヵ月程度では2万8800ドル前後までの下げがあり得るとみている。いずれにせよ、ボラティリティの大きい相場となりそうだ。

 個別の米国株では、ディフェンシブ株などが物色されそうだ。イーライ・リリー<LLY>は2型糖尿病治療薬や飲み薬の円形脱毛症治療薬といった材料が注目を集めそうだ。また、アセアンに続いて日本でも新型コロナウイルスに対する警戒感が弱まり、今後は人の移動が活発化することも予想される。この環境は中型機の出荷を再開したボーイング<BA>にとって追い風に働くだろう。更に、アクティビスト(物言う株主)のエリオット・インベストメント・マネジメントが投資し、今後のイーコマースの取り込みが期待されるペイパル・ホールディングス<PYPL>にも注目したい。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(ささき・かずひろ)
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家の傍ら投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・香港・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。

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