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【特集】佐藤正和氏【日経平均戻りどこまで、米株主導の上昇相場の行方】(2) <相場観特集>

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

―2万8000円台半ばは上値も重い、為替動向にも関心高まる―

 週明け12日の東京株式市場では、日経平均株価が一時は400円近い上昇で2万8600円台まで水準を切り上げる場面があった。米株市場ではインフレ懸念の後退がハイテク株などを中心とする買い戻しの動きを誘い、NYダウナスダック総合株価指数の戻り足が続いている。東京市場でもこの流れに追随する形だが、日経平均2万8000円台半ばは上値も重い。また、円安基調にある外国為替市場の動向も気になるところだ。今後の株式市場と為替相場の見通しについて、それぞれの業界第一線で活躍する市場関係者2人に話を聞いた。

●「ドルは98年147円台高値更新の可能性も」

佐藤正和氏(外為オンライン シニアアナリスト)

 基本的には、ドル高・円安基調は続くとみている。7日にドル円相場は1ドル=144円99銭をつける場面があった。この背景には、日本と米国の金融政策の方向性の違いで金利差が拡大していることがあるだろう。

 特に、直近では欧州中央銀行(ECB)やオーストラリア、カナダなどの中央銀行が大幅な利上げを発表しており、依然として超低金利政策を続ける日本との差が一段と際立った格好だ。

 20~21日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるが、3回連続となる0.75%利上げはほぼ確定したとみている。FOMCに先立つ13日には米8月消費者物価指数(CPI)が発表される。7月の前年同月比8.5%上昇に対して、8月は8.0%程度に落ち着くとの予想もあるが、CPIが多少前月に比べ低下したとしても0.75%利上げは変わらないだろう。

 次の焦点は、11月FOMCであり、市場では0.5%利上げが有力視されている。この予想は0.25%にも0.75%にもなり得るが、利上げが続くという基調は変わらないだろう。

 9月FOMCのすぐ後の21~22日には日銀金融政策決定会合も開催される。日銀は金融政策を維持するとみられており、同会合後の為替動向も注目される。

 こうしたなか、今後1ヵ月程度のドル円相場のレンジは1ドル=141円00~147円00銭前後を予想している。場合によっては、1998年8月に記録した147円64銭を抜くこともあり得るだろう。ドルの独歩高のなかでの円の独歩安という、現在の相場はなお続くと思う。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(さとう・まさかず)
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。通算20年以上、為替の世界に携わっている。

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