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【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─目先は自律反発のタイミング

経済評論家 杉村富生

「目先は自律反発のタイミング」

●ベアマーケットラリーの認識は必要!

 目先は日米両市場ともに、自律反発のタイミングを迎えている。先週央、騰落レシオなどテクニカル指標は売られすぎのサインを発信していた。それに、8月16~17日の戻り高値に対して、9月6~7日の直近安値ではNYダウが3233ドル(下落率9.4%)、日経平均株価が1954円(同6.6%)の急落を演じている。

 8月26日のパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の講演(ジャクソンホール会合)をきっかけに、世界の株式市場の時価総額は1週間に5兆ドル(約700兆円)が吹っ飛んだ。それだけに、やむを得ない面はある。ETF(上場投信)の配当金捻出のための売却、リスクパリティなどのヘッジ売りがあったと思う。

 ただ、上値は限定される。現状はベア(弱気)マーケットラリーだ。ブル(強気)ではない。こんんな局面では従来の戦法とは逆に、強いときは売り、弱いときは買いを考えるのが定石だ。そして、再三指摘しているように、基本戦術は個別銘柄対応である。なにしろ、外部環境は相変わらず、不透明要因が多すぎる。

 FRBの金融政策がそうだが、9月13日発表の8月の米CPI(消費者物価指数)上昇率、9月20~21日のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利上げ幅(0.75%が確率74%)、およびドットチャート(FOMCメンバーの金利見通し)などを見極める必要があろう。

 日本市場では日経平均株価採用銘柄の入れ替えがある。今回は煩雑だ。すなわち、9月29日に日本電産 <6594> [東証P]が採用され、上場廃止の静岡銀行 <8355> [東証P]が除外される。10月3日にはSMC <6273> [東証P]、HOYA <7741> [東証P]が採用、ユニチカ <3103> [東証P]、沖電気工業 <6703> [東証P]が除外される。

 さらに、10月4日には再上場のしずおかフィナンシャルグループ<5831> [東証P]が採用される。除外されるのはマルハニチロ <1333> [東証P]だ。3段階の銘柄入れ替えによって、トータルではパッシブ運用のファンドを中心に5200億円の売り圧力が発生するという。

●投資妙味が膨らむ厳選12銘柄

 もちろん、日本市場は相対的に打たれ強い。これには日米の景況感の違い、日本株の出遅れ、政治の安定、コロナ克服(感染者数のピークアウト)、景気対策(30兆~40兆円)を準備、インバウンド解禁、NISAに代表される資産倍増計画などがあろう。金融教育は国家戦略である。

 物色面ではどうか。とりあえず、元気な銘柄にマトを絞りたい。好業績の国際紙パルプ商事 <9274> [東証P]は大商いだ。M&A戦略をテコに 、グローバル企業への展開を図っている。HANATOUR JAPAN <6561> [東証G]はインバウンド拡大のメリットを受ける。

 再生可能エネルギー関連のレノバ <9519> [東証P]、テスラ<TSLA>関連のウルトラファブリックス・ホールディングス <4235> [東証S]は抜群に強い。ウエストホールディングス <1407> [東証S]、Abalance <3856> [東証S]の商いが弾んでいる。出来高は株価に先行する。

 このほか、アップル<AAPL>が最新型の「iPhone14」を発表した。アップルファミリーのデクセリアルズ <4980> [東証P]、オプトラン <6235> [東証P]は要注目だろう。デクセリアルズは最近、ノートパソコン、スマホ用部材に加え、EV(電気自動車)向けに注力、実績を残しつつある。

 産業廃棄物処理の三和油化工業 <4125> [東証S]、不動産ビジネスの霞ヶ関キャピタル <3498> [東証G]は業容一変の夢を秘めている。超値がさ株に育つだろう。希少なヨウ素生産の世界的な企業、K&Oエナジーグループ <1663> [東証P]は 天然ガスの採掘のほか、富津LNG(液化天然ガス)基地を有する。

 小物では中古車買い取り・販売のアップルインターナショナル <2788> [東証S]が面白い。2022年12月期は28.2%増収、最終利益は91.1%増の計画だ。1株利益は59.6円と予想されている。株価は大出直りだが、PERは6.8倍、PBRは0.75倍と出遅れが著しい。500円はあってもよいと思う。

2022年9月9日 記

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