【特集】MSOL Research Memo(4):大企業を主体に優良顧客を数多く抱え、安定・効率的な事業運営を実現(2)
MSOL <日足> 「株探」多機能チャートより
■会社概要
(3) 営業体制
営業については新規顧客の開拓と既存顧客の維持・関係強化の2つの観点から見る必要があるが、新規顧客と既存顧客の双方に対して共通した強みをマネジメントソリューションズ<7033>は有している。それは、PMO支援専門会社としての同社のポジショニングだ。現状、PMO支援業務のプレイヤーはコンサルティング企業が中心で、彼らは前工程のコンサルティング(事業戦略等の企画立案と提案)に付随したサービスとして後工程のPMO支援も行うという状況にある。それに対して同社は、PMO専門会社として顧客企業側に100%寄り添ってPMO支援サービスを提供している。新規顧客開拓の順調な進捗や、既存顧客に対する高いリピート率は、この同社の独自ポジショニングが威力を発揮した結果と弊社では見ている。
創業から17年が経過して現在取引している顧客数も約130社と着実に積み上がってきており、ホームページのinfoメールによる問い合わせや取引先からの紹介による新規顧客獲得は依然として多く、いわゆるプル型営業で顧客を拡大してきたわけだが、上場後の採用力強化に伴い、コンサルタント確保の目処もたったため、2021年に新規顧客開拓のための営業部門を新設し、プッシュ型の営業も開始している。現在は新規顧客(2~3社/月)の3~4割がプッシュ型営業での獲得となっているようだ。
新規顧客と一旦契約した後は、その関係をいかに長く続けるかが重要なポイントとなる。大企業では常時複数のプロジェクトが進行しており、PMO支援へのニーズは常に存在している。それを着実に取り込んで息の長い関係を続けることは、営業効率を高めるうえで極めて重要であり、経営の安定化にも大きく寄与する。その状況を端的に表す指標の1つがリピート率であるが、同社は約90%以上の高いリピート率を実現している。これは顧客満足度の高いサービスを提供してきたことの結果とも言える。PMO支援専門企業として今まで積み重ねてきた多くのナレッジやノウハウ、顧客との強い信頼関係の構築が同社の強みとなっている。
また、受注に際しては顧客企業との直接契約を基本としており、下請けの仕事は取っていない。同社の事業ドメインであるPMO実行支援の前段階として、事業戦略やIT戦略などについてのコンサルティングが存在することもある。そうした前工程の部分を担うマネジメントコンサルティング会社やITコンサルティング会社と同社が業務提携を行い、後工程のPMO支援業務を同社が担うということは(将来的に)考えられる。しかし、そうした場合でもコンサルティング企業の下請けではなく顧客企業との直接契約にこだわる方針だ。
対象顧客は上場企業もしくはそれに準ずる大企業が多い。大企業では常時複数のプロジェクトが走っており、PMO支援に対するニーズが数多く存在していることが第1の理由だ。また、一般論としてコンサルティング会社を活用するには相応の料金がかかるため、それを負担できるだけの経営体力が必要という現実的な問題も背景にあると弊社ではみている。
2022年4月時点のPMO支援サービスの顧客数は約130社(うち約40社はプライム市場上場企業であり、その他はそのグループ企業が多く、9割は上場企業である)と直近3年間で約3倍に拡大しており、約250のプロジェクトに携わっている。事業の成長とともにコンサルタント数も638人(2019年10月時点で227人)まで拡大している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《ST》
提供:フィスコ