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【市況】明日の株式相場に向けて=SBG、東エレク、そしてもう一人の伏兵

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(9日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比249円安の2万7999円と5日ぶりに反落。フシ目の2万8000円台をわずかながら割り込んだ。前日時点で日経225ベースの騰落レシオ(25日移動平均)は130%を超えており、目先過熱感も意識せざるを得ない局面にあったが、きょうはセオリー通り反動安に見舞われた。

 前日の米国株市場は高安まちまちの展開であったが、NYダウナスダック総合株価指数ともに朝高後に値を消す展開で引け味が悪く、東京市場もここでの押し目形成は仕方ないところではあった。結局下げ幅としては大引け時点で250円弱の下げにとどまり、それほど気にすることもない上昇一服場面と捉えることもできる。ただ、値運びがやや不穏だった。きょうの日経平均は前日終値近辺で寄った後、斜面を転がり落ちるように水準を切り下げた。上昇トレンド途上の利益確定の動きにしては「売り急ぐムードが強過ぎて、強弱観が対立する気配がなかった」(ネット証券アナリスト)というコメントも聞かれた。

 きょうの相場で悪役となったのはいうまでもなく、前日の決算発表を受けた東京エレクトロン<8035>とソフトバンクグループ<9984>の急落である。東エレクは前日引け後に発表した4~6月期決算で営業利益が前年同期比17%減と2ケタ減益を示し、これが嫌気された。FPD製造装置の低調が足を引っ張ったもので、エッチング装置をはじめ半導体製造装置の売り上げそのものはデータセンターの増設需要などを背景に堅調に推移したもようだ。しかし、足もとでメモリー半導体の在庫急増などが観測されるなか、このタイミングの決算悪に対してはマーケットも疑心暗鬼に陥りやすい。同社株は一時4600円あまりの大幅下落で25日移動平均線近辺の4万5000円割れ寸前まで売り込まれる場面があった。その後は下げ渋ったが、大引け時点で4000円を超える急落となった。

 そして、ソフトバンクGも寄り付きこそ前日比100円安程度の下げだったが、その後は売り急ぐ動きが顕在化した。特に後場に入ってからは、「押し目買いニーズの弱さを確認したヘッジファンド筋の売り(空売り)が乗せられた形跡があり、下げが加速したようだ」(中堅証券ストラテジスト)とする。こちらは、前日引け後に衝撃的なネガティブ決算を発表し、市場関係者の間でも話題となっていた。22年3月期第1四半期(22年4~6月)決算は、最終損益が3兆1627億円の大幅赤字というもの。四半期としては前例がない過去最大の損失で、これで2四半期連続の赤字決算となる。決算説明会で孫正義会長は「7兆円あったビジョンファンドの利益がほぼ消えた」と自嘲気味に語ったが、市場では「改めて丁半博打的なビジネスモデルにリスクを感じた投資家も多かったのでは」という意見もあった。

 この2銘柄で日経平均株価を230円近く押し下げた。つまりこの2銘柄を除けば日経平均の下げはわずか20円に過ぎないという理屈も通りそうだが、そうとも言い切れない。きょうは値下がり銘柄数が1200近くに達し、値上がり銘柄数の2倍以上に膨らんでいた。そして日経平均寄与度の御三家といえば、東エレク、ソフトバンクG、ファーストリテイリング<9983>が挙げられるが、このうちファストリについてはここ最近、「謎の上昇トレンドを形成中」(ネット証券アナリスト)で、きょうも全体地合い悪のなか1200円を超える上昇でほぼ高値引け、6連騰と気を吐いた。これが日経平均の下げを緩和する側に回っている。ファストリの異彩を放つ上げ足は「ファンダメンタルズの評価ではなく、株式需給要因。空売り玉の買い戻しによる踏み上げ相場」(同)という。信用倍率は0.24倍、日証金では貸株だけ積み上がり貸借倍率は何と0.0倍。同社株は時価総額こそ大きいが品薄株の典型であり、機関投資家による空売り玉も含め踏み上げ相場の典型となっている。明日以降、この御三家の値動きが日経平均にどういう波紋を生じさせるのか見極めたい。

 あすのスケジュールでは、7月の企業物価指数など。海外では7月の中国消費者物価指数(CPI)、7月の中国卸売物価指数(PPI)、タイ中銀の政策金利発表のほか、米国では7月のCPI発表が予定されており、マーケットの関心が高い。また、米国では6月の財政収支や6月の卸売在庫・売上高も開示される。国内主要企業の決算発表では、大林組<1802>、日本マクドナルドホールディングス<2702>、楽天グループ<4755>、富士フイルムホールディングス<4901>、資生堂<4911>、ブリヂストン<5108>、東芝<6502>、ホンダ<7267>、住友不動産<8830>、第一生命ホールディングス<8750>などがある。(銀)

出所:MINKABU PRESS

最終更新日:2022年08月09日 17時13分

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