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【特集】テラスカイ Research Memo(1):クラウド・インテグレーターのリーディング企業として飛躍

テラスカイ <日足> 「株探」多機能チャートより

■要約

テラスカイ<3915>は、クラウドシステムの開発・導入支援を行うクラウド・インテグレーターで、Salesforceを中心に導入件数は同社単体で5,500件を超える。クラウドシステムの開発支援ツールやグループウェアサービス「mitoco」など自社開発製品も手掛けている。また、子会社でAWS、Microsoft Azure等の導入支援や、AIプラットフォーム、量子コンピュータ領域への展開も進めている。子会社のBeeX<4270>が2022年2月に東証マザーズ市場(現、グロース市場)に株式上場しており、今後も連結対象子会社として株式を保有していく方針となっている。

1. 2022年2月期の業績概要
2022年2月期の連結業績は売上高で前期比12.9%増の12,578百万円、経常利益で同15.2%減の661百万円となった。売上高はSalesforceを中心にクラウドシステムの構築・導入支援案件の受注が好調で、過去最高を連続更新した。一方、利益面では子会社4社((株)Quemix、TerraSky(Thailand) Co., Ltd.、(株)リベルスカイ、(株)テラスカイ・テクノロジーズ)の先行投資に伴う経常損失額が合計で260百万円となったことが響き減益となった。これら子会社の損失を除けば経常利益も2ケタ増益だったと見られる。

2. 中期経営計画
同社は株式上場後、初めて3ヶ年の中期経営計画を発表した。今後もクラウドサービス市場の高成長が続くことが予想されるなか、クラウド・インテグレーターの国内リーディング企業として飛躍していくため、2023年2月期に広告宣伝費等の先行投資を実施して経営基盤の強化を図り、2024年2月期から利益ベースで急成長を目指す計画となっている。2025年2月期の業績目標は売上高で28,483百万円、経常利益で2,426百万円となる(3年間の年平均成長率は売上高で31.3%、経常利益で54.2%)。コア事業であるSalesforce周辺で新たな市場(人材派遣、MA(マーケティングオートメーション)、AI、データ分析等)が生まれてきており、子会社を通じてこれらコア周辺事業に取り込んでいくことで成長を加速していくほか、サブスクリプションモデルとなる「mitoco」の拡販に注力していくことで業績目標を達成していく考えだ。コア周辺事業については、コア事業の開発ノウハウ等が生かされることや、マルチ・クラウドプラットフォームにもグループ各社で対応できる強みが生かせることから、今後の成長余地は大きいと言える。

3. 2023年2月期の業績見通し
2023年2月期の連結業績は、売上高で前期比26.1%増の15,858百万円、経常利益で同99.1%減の5百万円を見込む。SalesforceやAWS等のクラウドシステムの構築・導入支援案件の拡大に加えて、「mitoco」の成長やテラスカイ・テクノロジーズをはじめとした子会社の事業展開により売上高は高成長が続く見通し。一方、利益面では広告宣伝費を数億円投下することに加えて、子会社における先行投資費用の増加が減益要因となる。広告宣伝費は企業のブランド力向上及び「mitoco」の認知度向上を目的としたものとなり、第3四半期以降にテレビCM等を実施する予定にしている。「mitoco」については経費精算に加えて勤怠管理機能を新たに追加するほか、AIエンジン「ENOKI」を活用したパーソナルアシスタント機能についても強化していく予定にしており、利便性の大幅向上とプロモーション強化によって成長加速を図る。全体の受注状況は引き続き好調なことから、2023年2月期もエンジニアの採用状況が業績計画達成の鍵を握ることとなりそうだ。連結従業員数については、前期末比425名増の1,202名を予定している。

■Key Points
・コロナ禍を契機に企業のDX投資が加速、パブリック・クラウドサービス市場は年率2ケタ成長が続く見通し
・中期経営計画を発表、2024年2月期以降は利益ベースで高成長路線に転じる見通し
・2023年2月期は広告宣伝費の増加や子会社の先行投資により増収減益見込み

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《ST》

 提供:フィスコ

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