【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(2):パンパシHD、DOWA、レーザーテク
パンパシHD <日足> 「株探」多機能チャートより
パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>が3日続落。前週末10日の取引終了後に発表した5月度の月別販売高で、既存店売上高が前年同月比0.7%減となり、3カ月ぶりに前年実績を下回ったことが嫌気された。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う規制が解除されたことで、ディスカウント事業、GMS事業ともに、週末、祝日は大型店舗を中心に賑わいを見せ、アウトドア、レジャー、旅行関連、自転車などが伸長した。ただ中旬以降に、外食の代替需要が縮小した影響で食品の売り上げが鈍化したことや、前年より休日(土曜日)が1日少なかったことが響いた。
■DOWA <5714> 4,520円 -205 円 (-4.3%) 本日終値
DOWAホールディングス<5714>が4日続落。SMBC日興証券は10日、同社株の投資評価を「1」から「2」へ引き下げた。目標株価は5800円から5300円に見直した。環境事業や電子材料、金属加工事業は多少の景気変動には左右されないディフェンシブな収益構造だが、金属市況変動(特に白金族)に業績変動リスクがあると思われる点を考慮した。23年3月期の連結営業利益は500億円から515億円(会社計画500億円)に増額修正したが、24年3月期の同利益見通しは471億円から445億円に減額修正した。金属市況の軟化に加え、全般にコスト上昇を見込んでいる。
■レーザーテック <6920> 16,810円 -560 円 (-3.2%) 本日終値
レーザーテック<6920>や東京エレクトロン<8035>、アドバンテスト<6857>といった半導体関連株が安い。前週末10日の米国株式市場で5月消費者物価指数(CPI)が予想を上回る上昇となり、米長期金利が上昇したことから高PER銘柄のハイテクなどグロース株が下落した。特に、主要な半導体関連株で構成する米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3.6%安と下落したことを警戒する売りが膨らんでいる。
■窪田製薬HD <4596> 199円 +50 円 (+33.6%) ストップ高 本日終値
窪田製薬ホールディングス<4596>がストップ高。この日寄り前、100%子会社の米クボタビジョン・インクが開発している「Kubota Glass」が、FDA(米国食品医薬品局)において医療機器の登録を完了したと発表しており、これが好材料視された。「Kubota Glass」はARテクノロジーを活用し近視治療を目指す製品。今回の登録完了により、台湾に続き米国でも販売が開始されることになる。なお、同件による22年12月期業績への影響はないとしている。
■ユークス <4334> 710円 +100 円 (+16.4%) ストップ高 本日終値
ユークス<4334>がストップ高。同社は10日取引終了後に、23年1月期第1四半期(2~4月)の連結決算を発表。経常利益は前年同期比62.8%増の3億5900万円となり、上半期計画の7300万円を大きく超過した。売上高は同88.5%増の10億100万円で着地。ゲーム、パチンコ・パチスロ、モバイル各分野で複数のプロジェクトの開発が順調に進行しているという。また、為替差益1億1100万円を営業外収益に計上したことが経常利益を押し上げた。なお、上半期及び通期の業績予想は従来計画を据え置いている。
■トーホー <8142> 1,402円 +178 円 (+14.5%) 本日終値 東証プライム 上昇率トップ
トーホー<8142>が全般安のなか急反騰し年初来高値を更新。前週末10日の取引終了後、23年1月期の連結業績予想について、売上高を2000億円から2010億円(前期比6.6%増)へ、営業利益を5億円から12億円(前期4億4600万円の赤字)へ、最終利益を1億円から4億円(前期比19.2%増)へ上方修正し、あわせて未定としていた中間配当で5円を実施し中間5円・期末5円の年10円(前期5円)にしたことが好感された。全国的なまん延防止等重点措置が3月に全面解除されて以降、人流が増加するなかで外食産業の景況感が徐々に上向いており、同社グループの主要事業である業務用食品卸売事業も業況の改善が進んでいることが要因としている。なお、同時に発表した第1四半期(2~4月)決算は、売上高480億1000万円(前年同期比4.7%増)、営業利益3億1700万円(前年同期3億600万円の赤字)、最終利益1億3300万円(前年同期比2.3倍)だった。
■gumi <3903> 643円 +72 円 (+12.6%) 本日終値 東証プライム 上昇率2位
gumi<3903>が急反発。前週末10日の取引終了後、ブロックチェーンゲームの開発及び配信を行う子会社をシンガポールに設立すると発表しており、これが好感された。新会社gCG社の設立は、ブロックチェーンゲームの開発・運用からトークン発行に至るまでをワンストップで展開するための体制を整備するのが狙い。今後はgCG社を通じてWeb3.0関連企業や有力IPホルダーと事業連携し、ブロックチェーンゲームの開発及び配信を積極的に行うことでメタバース事業の更なる拡大を図るとしている。同時に、ブロックチェーン領域に係るファンド「Decima Fund,LP」を組成するとともに、ファンド組成に係る子会社gCI社をシンガポールに設立すると発表した。ファンド組成は、グローバルの未上場トークンへの投資を主とした既存ファンドに加え、上場トークンへの投資や国内プロジェクトのインキュベーションを主として実行する戦略ファンドを組成し投資事業の更なる拡大を図るのが狙いとしている。なお、同時に発表した22年4月期決算は営業損益が22億6200万円の赤字(前の期15億1400万円の黒字)となった。「乃木坂的フラクタル」や「ラグナドール 妖しき皇帝と終焉の夜叉姫」の貢献などで、売上高は189億4200万円(前の期比1.7%増)となったが、一部タイトルにおける版権手数料の支払いなどに伴う売上原価の増加に加えて、新規タイトルの配信開始に合わせた大型プロモーションの実施などによる広告費の増加が響いた。23年4月期業績予想は非開示としている。
■VIX短先物 <1552> 2,552円 +284 円 (+12.5%) 本日終値
国際のETF VIX短期先物指数<1552>は大幅に3日続伸。同ETFは「恐怖指数」と称される米VIX指数とリンクしており、米国市場の波乱時には上昇する特性を持つ。先週末10日の米VIX指数は前日に比べ1.66(6.36%)ポイント高の27.75に上昇した。同日に発表された米5月消費者物価指数(CPI)は前年同月比8.6%上昇と市場予想を上回り、インフレ懸念が高まるなかNYダウが880ドル安と急落した。この米株安に逆行する格好で、この日の東京市場でVIX短先物は値を上げている。
■大泉製作所 <6618> 1,150円 +106 円 (+10.2%) 本日終値
大泉製作所<6618>が5連騰。前週末10日の取引終了後、フェローテックホールディングス<6890>が連結子会社化を目的に大泉製に対してTOBを実施するとともに、大泉製が行う第三者割当増資を引き受けることを明らかにした。これが好感され、全体下げ相場のなかも買い優勢の展開となっている。今回の子会社化によって大泉製の財務基盤を強化し、中国でのサーミスタ事業の協業を中心とした両社の具体的な業務提携を促進する狙いがある。TOB価格は1株1300円で、買い付け予定数は151万900株(下限設定なし、上限は買い付け予定数と同じ)。買い付け期間は6月13日から7月25日まで。第三者割当増資では77万株を割り当てる予定で、これにより調達した資金はサーミスタ素体焼結ラインの増設とサーミスタ生産設備の自動化投資に充てる。
■トビラシステムズ <4441> 834円 +52 円 (+6.7%) 本日終値 東証プライム 上昇率4位
トビラシステムズ<4441>が急反発。同社は10日取引終了後に、22年10月期第2四半期累計(21年11月~22年4月)の単独決算を発表。営業利益は前年同期比2.0%減の2億8000万円となったものの、通期計画5億1300万円に対する進捗率が54.6%となっていることが好感されたようだ。売上高は同20.9%増の8億3800万円で着地。主力の迷惑情報フィルタ事業はモバイル向け、固定電話向け、ビジネスフォン向けの売り上げがいずれも伸長した半面、利益面ではのれん償却が影響した。なお、通期業績予想は従来計画を据え置いている。
株探ニュース