【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(2):富士通、塩野義、半導体関連
富士通 <日足> 「株探」多機能チャートより
富士通<6702>が反発、寄り後早々に740円高の1万9445円まで上値を伸ばした。その後はやや伸び悩んでいるものの、1万9000円大台を維持した水準で売り物をこなした。26日付の日本経済新聞が、「(同社の)全額出資子会社のスキャナー大手、PFUをリコー<7752>に売却する方針を固めた」と報じたことで、マーケットの視線を集める格好となった。報道によると、富士通は保有株式の8割を売却(約800億円)し、企業向けソフト開発に注力する方針が伝えられている。市場関係者によると「売却による収入は一回計上すれば終わりだが、それよりも利益成長の期待できない事業部門を外し、成長部門に経営資源を注ぐことで得るメリットは大きい。選択と集中による収益体質の改善はポジティブ材料」(中堅証券ストラテジスト)とする声があった。
■塩野義製薬 <4507> 7,086円 +140 円 (+2.0%) 本日終値
塩野義製薬<4507>が反発。25日の取引終了後、集計中の22年3月期連結業績について、売上高が2940億円から3350億円(前の期比12.7%増)へ、営業利益が900億円から1100億円(同6.3%減)へ、純利益が1000億円から1140億円(同1.9%増)へ上振れて着地したようだと発表したことが好感された。出資する英ヴィーブヘルスケア社が米ギリアド・サイエンシズ<GILD>に対して行っていた抗HIV薬訴訟の和解に関して、一部和解金や特許ライセンス契約に伴う一時金などを計上した。また、今後の米国における抗HIV薬の売上高に対するロイヤルティーについて、将来受領予定のロイヤルティー相当分についても22年3月期売上収益として認識することも要因としている。また、55円を予定していた期末配当を60円に引き上げるとあわせて発表した。年間配当は115円(前の期108円)となる。
■ハピネット <7552> 1,495円 +26 円 (+1.8%) 本日終値
ハピネット<7552>は3日ぶりに反発。25日の取引終了後、集計中の22年3月期連結業績について、売上高が2800億円から2820億円(前の期比8.7%増)へ、営業利益が50億円から55億円(同29.4%増)へ、純利益が32億円から35億円(同35.1%増)へ上振れて着地したようだと発表しており、これが好感された。トレーディングカードやカプセル玩具の販売が引き続き好調に推移したことに加え、「Pokemon LEGENDS アルセウス」などヒット商品があったことも寄与した。なお、業績の上振れに伴い、60円としていた年間配当を5円増額修正し65円(前の期50円)に引き上げた。
■日立造船 <7004> 685円 +8 円 (+1.2%) 本日終値
日立造船<7004>が3日ぶりに反発。25日の取引終了後、集計中の22年3月期連結業績について、売上高が4200億円から4400億円(前の期比7.7%増)へ、営業利益が150億円から153億円(同0.6%減)へ、純利益が55億円から75億円(同76.1%増)へ上振れて着地したようだと発表しており、これが好感された。工事のコストダウン及び固定費の削減への取り組みが奏功するほか、為替差損益や持ち分法投資損益の改善などが寄与する。また、税金費用の減少もプラスに働いたという。
■DyDo <2590> 4,950円 +35 円 (+0.7%) 本日終値
ダイドーグループホールディングス<2590>は小幅反発。25日の取引終了後に発表した4月度(3月21日~4月20日)の国内飲料事業販売状況で、販売本数が前年同月比1.3%減となったが、織り込み済みとの見方が優勢のようだ。稼働日数は1日多かったが、チャネル別で自販機、流通ともに減少したことが響いた。
■東京エレクトロン <8035> 55,630円 +290 円 (+0.5%) 本日終値
東京エレクトロン<8035>、アドバンテスト<6857>、レーザーテック<6920>など半導体関連株が揃って切り返す動き。前日の米国株市場ではインテル<INTC>、エヌビディア<NVDA>、アプライド・マテリアルズ<AMAT>、マイクロンテクノロジー<MU>、アドバンストマイクロデバイシズ<AMD>など半導体関連株が軒並み高くなり、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も4日ぶり反発した。SOX指数は前日に3000大台を昨年5月以来約1年ぶりに下回ったが、この日は再び大台を回復した。これを受け、東京市場でも半導体製造装置関連の主力株に買い戻しを誘発した。ただ、アドテストはあすが22年3月期の決算発表で、レーザーテックも明後日に22年6月期第3四半期の決算発表を控えており、積極的に上値を買い進む動きには発展していない。
■キヤノン電子 <7739> 1,473円 -118 円 (-7.4%) 本日終値 東証プライム 下落率トップ
キヤノン電子<7739>が3日続落。同社は25日取引終了後に、22年12月期第1四半期(1~3月)の連結決算を発表。営業利益は前年同期比44.9%減の10億1400万円となり、通期計画の81億1000万円に対する進捗率は12.5%にとどまった。カメラ用部品など需要が回復した製品の増産対応を進めたことで売上高は同2.8%増の205億9200万円となったが、半導体をはじめとする電子部品や材料の逼迫、原材料価格の高騰などが利益面に影響した。なお、通期業績予想は従来見通しを据え置いている。
■住友金属鉱山 <5713> 5,468円 -401 円 (-6.8%) 本日終値 東証プライム 下落率2位
住友金属鉱山<5713>、DOWAホールディングス<5714>など非鉄関連株が安い。中国での新型コロナウイルス感染拡大に伴う都市封鎖が世界のサプライチェーンに与える影響が懸念されており、景気の先行き不透明感が強まっている。足もと、銅やアルミニウムなど非鉄市況も軟調となっており、これが非鉄関連株の重荷となっている。住友鉱については個別で悪材料が出ており、特に下げがきつい。同社は前日25日にインドネシアでのニッケル製錬所建設に関する事業化検討を中止すると発表した。このプロジェクトは同社が掲げる長期戦略の一翼を担うものであっただけに、これを嫌気した売りも出ているようだ。
■日本取引所グループ <8697> 2,014円 -85 円 (-4.1%) 本日終値 東証プライム 下落率9位
日本取引所グループ<8697>が後場に入りマイナス圏に沈む。きょう正午ごろ、23年3月期業績予想を発表。営業収益を前期比2.2%減の1325億円、営業利益を同10.9%減の655億円と減収減益の見通しを示しており、これが嫌気されたようだ。配当予想も前期比20円減の52円(中間・期末それぞれ26円)と減配を見込む。同時に発表した22年3月期決算は、営業収益が前の期比1.6%増の1354億3200万円、営業利益が同1.5%減の734億7300万円だった。株券の取引が増加したことが寄与し営業収益は小幅に増加したものの、各種システムの維持・運営費などの営業費用が増加し営業利益は小幅減となった。
■INPEX <1605> 1,465円 -54 円 (-3.6%) 本日終値
INPEX<1605>や石油資源開発<1662>が安い。25日の米原油先物相場はWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の6月限が前日比3.53ドル安の1バレル=98.54ドルに下落した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う中国の都市閉鎖(ロックダウン)により原油需要が減少するとの警戒感が強まった。この原油安を受け、INPEXなど石油関連株に売りが膨らんでいる。
株探ニュース