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【市況】【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─四重苦にあえぐ株式市場、突破口はいずこに?!

株式アドバイザー 北浜流一郎

「四重苦にあえぐ株式市場、突破口はいずこに?!」

●企業価値向上巡る議論に一石を投じた永守氏CEO復帰

  日本電産 <6594> [東証P]の最高経営責任者(CEO)が交代することになった。これまで関潤社長がCEOだったのだが、永守会長がCEOに復帰し、関氏はCOO(最高執行責任者)に就任するという。

 CEO交代の理由について永守会長は、「業績、株価を改善するために、早い決断と対処が必要な段階にあると考え、創業者で事業のすべてを知り尽くした私が短期的に指揮をとることにした」と語った。この発言で特に興味深かったのは、「株価を改善する」だ。通常、この種の会見で経営者が株価に言及することはまずない。株価の変動は、自分とは関係がないかのように装うのが普通だ。

 しかし、永守氏は常に株価を意識し、日に幾度も自社株の動きをチェックしていることで知られている。それだけに、最近の自社の株価には、「残念で耐えられない。1万円ぐらいで残っていれば私の出る幕はなかったのだが、ここまで下がるとなかなか厳しい」と語っていた。この発言は実に好ましい。株価は自分とは関係ないという姿勢の経営者たちに、爪の垢を煎じて飲ませたくなる。

 実際、株式を上場している以上、経営者たちはもっと株価を意識し、下げ続けているなら、市場のせいにばかりしないで、企業価値の向上・好転策に必死で取り組むべきだろう。そうすれば、株価はもっと上るはずなのだ。この点でも、永守会長の姿勢は好感が持てる。

●米ハイテク企業の決算が本格化、ネット関連株への投資は回避

 市場環境は改めて書くまでもなく、最悪に近い。(1)ウクライナ戦争、(2)インフレの進行、(3)米利上げ観測の三重苦に加え、最近では(4)急激な円安が加わって四重苦となっている。

 特に株式市場への影響が大きいのが、米利上げ観測だ。この原稿を書いている時点では、5月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.25%ではなく、0.5%の引き上げがあり得るとの見方から、週末に日経平均株価は大幅下落となってしまった。

 この種の売り材料は短期に消化されるので、週明け以降は特に神経質になることはないが、気味が悪いのは週末にかけて米国のハイテク企業、マイクロソフト<MSFT>、アルファベットA<GOOGL>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>、アップル<AAPL>、メタ・プラットフォームズ<FB>などの決算発表が予定されていること。

 すでに発表があったネットフリックス<NFLX>のように期待を裏切る企業があると、市場は大きく下げしてしまう恐れがある。この点、警戒が必要なので、ここではネット関連株への投資は避け、次のような銘柄に投資しておきたい。

 まずは日本電産になる。ここは永守会長のCEO復帰に期待して投資しておきたい。週末22日が10円安に終わったことも好ましい。市場は会長のCEO復帰を冷ややかに受け止めたことになるが、今後見方が変わるだろう。

 日本電産の傘下に入ったことで、収益が回復に転じることが明らかになったOKK <6205> [東証S]も浮上を開始したばかり。市場での人気は低いものの、日本電産とセットで続伸が見込める。

 開発中の新型コロナ経口治療薬の動物実験で、胎児に奇形を引き起こすリスクが確認されたとして大きく売り込まれたあと、反発に転じていた塩野義製薬 <4507> [東証P]の戻りが順調だ。急落で空いた窓を埋めに向かう可能性が高く、要注目だ。

 米国の利上げを背景に金融株は堅調な値動きを続けていて、なかでも絶好の動きだった新生銀行 <8303> [東証S]が週末に失速した。過去に販売した投資信託について、顧客の取得価格などを誤って計算していたことが明らかになったため、売られたと見てよい。金融機関としてあってはならない過ちではあるが、すでに業務改善に着手していると見てよく、株は拾いどころになる。

 週末下げた銘柄の中には、サンリオ <8136> [東証P]もあった。キティちゃんブランド製品の需要が欧州や中国で高まりつつあることに加え、国内でもこれからサンリオピューロランドの集客力が高まることを考えると、目先の反落はチャンスだ。

 ユニークなビジネスを展開中の銘柄にも目を向けておくと、グロース市場銘柄のフリークアウト・ホールディングス <6094> [東証G]がある。DSP(ネット広告をリアルタイムで取引する広告配信サービス)に強く、今後の発展力に期待が持てる。

2022年4月22日 記

株探ニュース

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