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【市況】【村瀬智一が斬る!深層マーケット】連休を控えて商い膨らまず、日米決算を手掛かりとした日替わり物色に

RAKAN RICERCA 代表取締役 会長 村瀬智一

「連休を控えて商い膨らまず、日米決算を手掛かりとした日替わり物色に」

●日経平均は直近のリバウンド部分を帳消しに

 今週の日経平均株価は、週初は海外休場の影響により市場参加者が限られ、売り先行から一時2万6571円まで下落する場面があった。その後は円安進行を受けて輸出関連株が物色されたほか、米国での半導体株買い戻しを受けて指数インパクトの大きい値がさ株などへ買いが波及。21日には2万7580円の高値をつけ、週初の安値から1000円超のリバウンドを見せた。

 ただし、21日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が国際通貨基金(IMF)主催の会合に参加し、5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.5%の利上げを検討すると発言。改めて金利上昇が警戒されて、22日の日経平均株価は前日比447円安と反落し、今週半ば以降の上昇部分を帳消しにした。また、米国では主要企業の決算発表が相次いでおり、ネットフリックス<NFLX>やテスラ<TSLA>などの決算反応にも影響を受ける格好となった。

 日本では来週後半からゴールデンウイークに入るため商いは膨らみづらく、方向感に欠けるなかで、外部環境の影響をより受けやすくなるだろう。基本的には5月のFOMC通過後のアク抜けを想定するものの、通過まではこう着感の強い相場展開が見込まれる。インデックスに絡んだ売買に振らされやすくなるなか、日米決算を手掛かりとした日替わり物色となろう。

 来週の米国ではアルファベット<GOOGL>、マイクロソフト<MSFT>、クアルコム<QCOM>、メタ・プラットフォームズ<FB>、アップル<AAPL>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>などの決算発表が予定されている。また、5月第1週には、アドバンスト・マイクロ・デバイシズ<AMD>の決算発表も控えており、決算を受けた米国市場の動向に日々影響を受けることになりそうだ。国内においてもオムロン <6645> [東証P]やファナック <6954> [東証P]、エムスリー <2413> [東証P]、信越化学工業 <4063> [東証P]、オリエンタルランド <4661> [東証P]などの決算発表が来週予定されている。

 ハイテクセクターや非主力の銘柄についても業績が手掛かり材料となるため、足元で売り込まれている銘柄や、バリュエーション面で割安感があり、かつ業績面でも安心感のある銘柄などに対しては、決算後の再評価などを見込んだ押し目狙いの動きも意識されてこよう。

●来週の活躍期待「注目5銘柄」

◆日本電気硝子 <5214> [東証P]
2021年12月期の連結売上高は前の期比20.2%増の2920億円、営業利益は同85.6%増の327億円で着地。続く2022年12月期は売上高が前期比13%増の3300億円、営業利益は同12.9%増の370億円を見込む。また、5カ年の新中期経営計画では、2026年12月期に売上高4000億円、営業利益450億円を目指す。新事業として全固体ナトリウムイオン二次電池など新製品の事業化や半導体分野における基板ガラス、カバーガラス、LTCC材料事業の拡大などを掲げる。経済産業省が電気自動車(EV)向けの次世代電池「全固体電池」の開発で自動車メーカーなどへの支援を決めたと報じられているが、脱炭素の研究開発に向けた政策支援は同社などの追い風になろう。株価はPBR0.5倍水準まで調整しており、修正リバウンドに期待したい。なお、22年12月期第1四半期決算の発表予定日は4月28日。

◆デクセリアルズ <4980> [東証P]
スマートフォンや自動車領域など向けに機能性材料を提供。2022年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結営業利益は前年同期比2.4倍の207億円に拡大。併せて通期の同利益を従来予想の210億円→245億円に上方修正しており、修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は84.5%に達する。また、4月21日にはESGの対応に優れた日本企業のパフォーマンスを示すインデックスである「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」の構成銘柄に選定されたと発表。足元の株価はエフィッシモ キャピタルの保有比率低下が嫌気されて調整トレンドを形成しているが、支持線として意識される200日・52週移動平均線に接近しており、押し目狙いの動きも入りやすくなろう。なお、22年3月期決算の発表予定日は5月10日。

◆イーグル工業 <6486> [東証P]
4月21日に、2022年3月期連結売上高を従来予想の1390億円→1408億円、営業利益を58億円→78億円に上方修正。自動車・建設機械業界向け事業で、顧客の自動車生産台数が予想を上回って推移した。また、舶用業界向け事業でも需要が好調に推移。急激な円安も業績を押し上げた。株価は21年8月高値の1384円をピークに調整が続き、足元ではPBR0.5倍台の水準にある。株価4ケタ割れで調整一巡感も意識されやすい水準であろう。22年3月期決算の発表予定日は5月12日。

◆日本シイエムケイ <6958> [東証P]
2月8日に2022年3月期第3四半期累計(4-12月)決算を発表。連結営業損益は16億8500万円の黒字(前年同期は20億1700万円の赤字)に浮上し、併せて通期の同損益を従来予想の18億円の黒字→28億円の黒字(前期は16億7600万円の赤字)へ大幅に上方修正している。車載分野における部品不足の影響は不透明ながら、世界で自動車販売台数が回復し、受注は好調に推移している。株価は上方修正を好感して上昇したものの、その後は利食いに押される格好となり、510円~650円水準でレンジを形成。レンジ下限レベルからの仕切り直しに期待したい。なお、22年3月期決算の発表予定日は5月13日。

◆小森コーポレーション <6349> [東証P]
1月27日に発表した2022年3月期第3四半期累計(4-12月)の連結営業損益は12億1400万円の黒字(前年同期は18億7100万円の赤字)に浮上。通期の同損益も15億円の黒字(前期は23億3200万円の赤字)に転換する見通し。採算管理の強化や経費削減に加えて、為替レートが想定より円安に振れたことが寄与する。株価は配当狙いの反動と、自社株買い終了で需給面での下支えがなくなった影響により低迷しているが、3月安値とのダブルボトム形成からリバウンドをみせてきている。PBR0.38倍とバリュエーション面の割安感も意識されよう。なお、2022年3月期決算の発表予定日は5月13日。

2022年4月22日 記

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