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【特集】大谷正之氏【日経平均は再び乱調モード、試練の5月相場を占う】(1) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―決算発表本格化を前に思惑錯綜、ここは買いの好機なのか―

 25日の東京市場は、連日で大きく下値を探る展開となった。前週末の米国株市場では、FRBによる金融引き締め強化の思惑を背景にNYダウが一時1000ドルを超える下げをみせるなど波乱安の展開を強いられた。東京市場でも企業の決算発表本格化を前に買い手控えムードが強く、日経平均株価は一時2万6500円を割り込む水準まで売り込まれた。5月相場を目前にして投資家はどういうスタンスで株式市場と向き合えばよいのか。経験豊富で相場の見通しにも定評のある市場関係者2人に意見を聞いた。

●「5月相場は前半軟調も、後半上昇の可能性」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 5月相場を含めた今後1ヵ月程度の株式市場を眺めた場合、前半は様子見を含め軟調な展開もあり得るが、後半にかけては堅調な値動きが見込めるとみている。

 前半は、5月3~4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と日米の決算発表が注目される。まずFOMCに関しては、5月と6月に0.5%の利上げを行うこともあり得るほか、量的引き締め(QT)に踏み切る可能性がある。特に5月FOMCに対する市場の反応は注目されるだろう。

 また、米国では今週アップル<AAPL>やアマゾン・ドット・コム<AMZN>など有力IT企業の決算発表がある。株価が急落したネットフリックス<NFLX>の例もあり、投資家は米企業の決算に神経質になっている。当面の相場は米株式市場が主導する展開が続こう。日本企業の決算発表は5月13日がピークになるが、決算の結果待ちで5月中旬までは様子見基調が続く可能性があるだろう。

 しかし、5月後半にかけてはFOMCや日米決算もほぼ一巡する。特に、今回の決算では日本企業は保守的な業績予想を発表することも予想される。こうしたなか、注目イベントの一巡と日本企業の保守的な予想を見越したうえでの業績回復期待も膨らみ、株価は後半は堅調な展開が見込めるだろう。

 今後1ヵ月程度の日経平均株価の予想レンジは下値は2万5500円前後、上値は2万8200円前後を見込んでいる。

 個別銘柄では、円安の効果が期待されるトヨタ自動車 <7203> [東証P]や日産自動車 <7201> [東証P]といった自動車株や、東京エレクトロン <8035> [東証P]などの半導体関連株などに注目している。また、新型コロナウイルス感染にピークアウト感が出るなか、GW期間中の人出の増加も期待されるだけに、旅行小売株などにも投資妙味が膨らむとみている。


(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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