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【市況】明日の株式相場に向けて=AIアルゴによる無機質なハイボラ相場

日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
 きょう(13日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比508円高の2万6843円と急反発。日経平均は500円を超える上昇で前日の下げを帳消しにしてお釣りがくる上げ足をみせた。前日はAIアルゴリズムによる機械的な売りによって取引時間中は漸次下値を切り下げる相場を余儀なくされたが、きょうは真逆の展開である。前日と並べれば合わせ鏡を開いたようなチャートであり、寄り後はAIアルゴの買いが全体相場をひたすら押し上げる格好となった。

 今朝の取引開始前の段階では市場関係者の間から強気の声は聞かれなかった。いわく、底堅さは発揮するかもしれないが上値は重いだろうという見方が大勢である。しかし、寄り付きに売り買い交錯のなか日経平均は100円あまりの上昇で始まった後、一定のリズムで資金が流れ込み、労せずして上値を買い進む動きへと発展した。厳密には、買い進むのではなく前日の空売り玉を機械的に粛々と「買い戻す」展開で、実需ベースの買い参戦が伴わない無人エスカレーター相場の趣きだ。後場後半はややダレる場面があったが、終盤に再び買いの勢いが増し、最後まで“無機質な物色意欲”は旺盛だった。

 マーケットの耳目を集めたのは、前日の日本時間夜9時半ごろに発表された3月の米消費者物価指数(CPI)である。この数字次第では、米国発の波乱相場のトリガーが再び引かれる可能性があった。実際、それを先取りする形で、前日の東京市場は先物を絡めた空売りの仕掛けが観測されていた。そして、米CPIはフタをあけてみれば、前年比8.5%上昇で40年ぶりの高水準となったが、事前コンセンサス(8.4%)を若干上回った程度でネガティブインパクトはなかった。加えて、物価の基調を図るうえで重視される、エネルギーと食品を除いたコア指数の方は6.5%の上昇で、市場予測(6.6%)を下回った。

 これを受けて米国株市場はNYダウナスダック指数ともに高く始まったのだが、買い一巡後は伸び悩み、午後に入るとマイナス圏に沈んだ。超ハト派から超タカ派に宗旨替えしたブレイナードFRB理事が、「インフレ抑制こそが最も求められている」との発言をしたことがマーケットの強気ムードを削ぎ落す形となった。これは株価を下げることをインフレ沈静化の一手段と考えるFRBにすれば、ブレイナード氏に「ナイスジョブ!」の掛け声がかかるところだったかもしれない。取引終了時点でNYダウは87ドル安、ナスダック総合株価指数は40ポイント安と小幅ながら前日の終値を下回ったことで、引け味は悪いものとなったのだが、しかし東京市場でその流れは大きく変わることになった。

 市場では「鬼門とみられた3月の米CPIがコア指数で見れば思ったほどではなく、東京市場でも安堵感が生まれたが、かといってFRBの金融政策のピッチが緩やかになるということはない。ただ、4月以降のインフレ指標は前年同月の発射台が高いこともあって、伸び率という点では鈍化する公算が大きい。その流れが今回のコア指数の伸び率がコンセンサスを下回ったという事実で、改めて意識された」(生保系エコノミスト)とする。

 ひとつ気がかりな点は、中国のゼロコロナ政策による主要都市のロックダウンだ。直近では地域によって解除の動きが出ているが、生産や物流などサプライチェーンリスクが数字として反映されてくるのはこれからである。また、FRBの金融引き締めが実際に強化されるのは5月からで、特にQTが0.5%の利上げと同時にスタートするとすればそのインパクトは大きい。5月のゴールデンウィークを挟み国内企業の決算発表ラッシュとなることを考慮すると波乱要素は残されている。これを4月後半に前倒しで織り込むのか、5月大型連休明けに下げ圧力が顕在化するのかは現状では読み切れないが、突っ込み買い、吹き値売りのスタンスは当分維持しておくところと思われる。また、米インフレとFRBの金融引き締め政策に関心が向かい過ぎて、ウクライナ問題と新型コロナ感染拡大に対する警戒感が忘れ去られたようになっているが、ここもしっかりとウォッチしていく必要がある。

 あすのスケジュールでは、特に目立ったイベントはないが、午前中に20年物国債の入札が行われる。海外では韓国中銀の金融通貨委員会、トルコ中銀の金融政策決定会合、ECB理事会の結果発表及びラガルドECB総裁の記者会見、3月の米小売売上高、3月の米輸出入物価指数、4月の米消費者態度指数(ミシガン大学調査・速報値)、2月の米企業在庫などが予定されている。なお、フィリピン、タイ、インド市場は休場となる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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