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【市況】米国株式市場見通し:下落にようやく一服感、経済正常化に期待


ウクライナ戦争は依然リスクとなるが、FOMC通過で、不透明感が一つ後退し、下げ止まりそうだ。売られ過ぎとの見方も広がりつつあり、この水準からの一段の売りを躊躇させるだろう。値ごろ感の買いに加えて、新型コロナ規制の撤廃による経済正常化期待を受けた押し目買いにも弾みがつきそうだ。世帯の過剰貯蓄は依然2.6兆ドルと高水準で、金利上昇下でも経済活動の正常化に伴う消費拡大が成長をけん引するだろう。また、企業の配当水準がパンデミック前の水準に回復したことも買い材料になりそうだ。一方、ヘッドラインリスクは存続するため、変動率は依然高そうだ。ロシアとウクライナは停戦交渉を継続しているが、速やかに合意されるとは考え難く、西側諸国の軍事介入の可能性を含め、ロシアの攻撃が激化する可能性は依然リスクだ。

FRBは2018年以来で初めての利上げを実施し、引き締めサイクルを開始。注目されていた金利予測では、メンバーが年平均7回の利上げを予想していることが明らかになり、前回12月の3回予想から大幅に引き上げられた。経済がパンデミック前の水準に回復するなか、政策金利のFF金利誘導目標は0.25%-0.5%と、経済封鎖が実施される直前20年3月の1.25%-1.5%を依然、かなり下回る水準だ。今年、FRBの予想通りにあと6回の利上げを実施したとしても、パンデミック直前の水準に戻るだけで過剰に高い水準ではない。国債相場の長短金利の逆転で景気後退懸念も浮上しているが、経済は、緩やかな金利上昇に耐え得る程に十分に強いと考えられ、相場の支援材料になるだろう。パウエル議長が21日に全米企業エコノミスト協会(NABE)での経済政策会議に出席する予定で、演説内容に目だ。引き締めのペースをさらに詳しく見極めたい。

経済指標では、2月シカゴ連銀全米活動指数(21日)、3月リッチモンド連銀製造業指数(22日)、2月新築住宅販売件数(23日)、10-12月期経常収支、週次新規失業保険申請件数、2月耐久財受注速報(24日)、2月中古住宅販売仮契約、3月ミシガン大消費者信頼感指数確報値(25日)などが予定されている。そのほか、バイデン大統領はウクライナ戦争を巡る北大西洋条約機構(NATO)サミット参加のため欧州を訪問する。ロシアの激しい攻撃に対する西側諸国の軍事介入の可能性に注目だ。

主要企業決算では、スポーツ用品ブランドのナイキ(21日)、ソフトウェアメーカーのアドビ、クルーズ船運営のカーニバル(22日)、住宅建設のKBホームズ、食品メーカーのゼネラル・ミルズ(23日)、レストランチェーンを運営するダーデン・レストランツ(24日)などが予定されている。

クルーズ船運営会社は新型コロナ規制の緩和を背景に業績回復が見込めそうだ。また、住宅建設会社は、レナーの最高経営責任者(CEO)が「金利が上昇しようと、買い手の買い意欲は強い」と強気の見方を示しており、強い需要を背景に良好な決算を期待したい。ナイキは見通しにおいて、ロシアやウクライナでの店舗閉鎖による業績への影響に関する言及に注目だ。

(Horiko Capital Management LLC)

《FA》

 提供:フィスコ

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