【市況】明日の株式相場に向けて=「メタバース関連」は異次元の強み発揮へ
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
原油市況の急落は株式市場全体でみれば好材料には違いない。前日の米国株市場でのハイテク株買いも、WTI原油先物価格が終値で1バレル=100ドル台を大きく割り込んできたことが、買い戻しを誘発する形となった。ただし個別では、まさにネガフィルムを見るがごとく銘柄の高安が入れ替わり、これまで物色人気が集中していた銘柄がいきなりハシゴを外されたような崩れ方をするので注意が必要だ。原油価格をはじめ、コモディティ価格の高騰と歩調を合わせ買われた資源関連やその周辺セクターについては、ともすると急反落オンパレードと化してしまう。東京市場でいえば非鉄株のボラティリティが高く、少し前に遡って大紀アルミニウム工業所<5702>の急落や、前日の大平洋金属<5541>のストップ安など、順張りで乗っていた向きにすれば慌てるよりない。かといって、足もとの半導体関連の高値に食いついても、商品市況が再び騰勢を強めれば反落の憂き目にあう。文字通り、次に出る賽の目が偶数なのか奇数なのか、丁半勝負をかけるような趣きである。
前日(15日)の米ハイテク株高は、原油価格の急落の影響もあるが、それ以上に16日(日本時間あす未明)に判明するFOMCの結果とパウエルFRB議長の記者会見を、“売り方”つまり空売りポジションの側が警戒して買い戻したというのが大きな要因だ。その流れが、東京市場にも波及した。今週14日にアップした「明日の株式相場に向けて=16日危機説の逆目は出るか」でも触れたが、このFOMCの結果が判明する16日というタイミングで恐怖を感じていたのは、買い方よりもむしろ売り方の方であった。
今回のFOMCで25ベーシスポイントの利上げを行うことは事実上ほぼ確定しているが、マーケット関係者の耳目を集めているのは、今のFRBの姿勢がタカ派・ハト派の、どちらに傾斜しているかということだ。その意味でパウエルFRB議長の記者会見にスポットライトが当たることになる。インフレの高進はもちろん金融引き締めを促す最大の動機づけとなるが、ウクライナ問題によって傷んだ経済に、拙速に金融の蛇口を締めることでオーバーキルとなるのはパウエルFRB議長も強く認識しているはずだ。供給不全がもたらすボトルネック型のインフレ圧力に対し、ムキになって金融引き締めで対抗しても火に油を注ぐことになりかねない。市場関係者からも「パウエル氏のコメントは、今後の利上げペースやFRBのバランスシート縮小について、どちらかといえば、外部環境をみながら、という文言を入れつつ言外にハト派色を織り込むのではないか。ドットチャートもそれに準じたものになる可能性がある」(ネット証券アナリスト)という意見が聞かれた。
ただ、仮にハト派寄りであっても、このビッグイベントを通過したことが全体相場底入れの契機とはなりにくい。ウクライナ情勢次第で今後も大きく振り回されることになるが、噴き値は売りで対処し突っ込み買いに徹したい。1月からの下落相場では日経平均は25日移動平均線が見事なまでに上値抵抗ラインとなっている。今回のリバウンド局面も売り方主導であり、下向きの同移動平均線を上抜く形には至らない公算が大きそうだ。
個別株戦略も短期スタンスが基本となるが、コモディティ市況や為替の動向に影響を受けにくいセクターに照準を合わせてみたい。ここ静かにテーマ買いの動きに乗っているのがメタバース関連だ。IMAGICA GROUP<6879>やシーズメン<3083>、gumi<3903>などは既に動兆著しいが、これ以外に、チャート的に上値余地の大きさをイメージさせるものでは、ANAP<3189>、エスユーエス<6554>、ポート<7047>、クリーク・アンド・リバー社<4763>、Kudan<4425>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、日銀の金融政策決定会合が18日までの日程で行われる。1月の機械受注統計、2月の首都圏マンション販売など。また、東証2部市場に守谷輸送機工業<6226>が新規上場する。また、海外では10~12月期ニュージーランドGDP、インドネシア中銀やトルコ中銀の金融政策決定会合、更に英中銀の金融政策委員会の結果及び議事録の開示も予定される。米国では、3月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数、2月の米住宅着工件数、2月の米鉱工業生産・設備稼働率などに注目が集まる。(銀)
出所:MINKABU PRESS